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平出隆+聞き手・秋葉直哉『降るものと生るもの』via wwalnuts叢書18
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『降るものと生るもの』
via wwlnauts叢書18
初版第1刷は2015年5月1日
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詩人で造本家でもある平出隆さんが制作されているvia wwalnuts叢書18『降るものと生るもの』(平出隆+聞き手・秋葉直哉、初版第1刷 2015年5月1日)が、Amazonから届いた。封筒の中に、平出さんが製本法を独自に創案された8ページの美しい冊子が入っている。この叢書は、今までも数冊、購入したことがある。おそるおそる解体してみたこともある。乱暴に扱うと破れそうで、優しくそっとページをめくる。おのずと読みの姿勢も正される。
封筒に印刷されているのは、平出さんが中高生の頃、通いつめられていた北九州市門司の書店「金榮堂」で使われていた書皮(書店で掛けるカバー、1960年代)を再現したもので、伊丹十三さんのデザインだという。
聞き手の秋葉直哉さんが、平出隆さんの語りの糸を丁寧に手繰られて、中高時代、浪人時代の金榮堂書店での思い出や同人誌のこと、若い頃の映画への傾倒、装幀家の菊地信義さん、作家の吉井由吉さん、芸術家の加納光於さんたちとの出会いが紡がれていく。
最後に、平出さんの超大作『鳥をさがしに』(双葉社、2018年)の中から秋葉さんが引かれた「言葉と形象とのあいだには渡り甲斐のある川がある、と勘づきはじめていた」という言葉に、平出さんが思わず「何ページでしょうか」と問われている。秋葉さんは物凄く緻密な読書人だと思う。ここでの語りが、後に2018年発行の自伝的回想録『私のティーアガルテン行』(紀伊國屋書店)に繋がってゆくのだろう。
平出さんが「言葉と形象とのあいだ」の「渡り甲斐のある川」を「溺れないようにと、藁をも摑む思いで」渡られてゆく試みは、千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館で、2018-19年に開催された《言語と美術―平出隆と美術家たち》に結実する。私は残念ながら、足を運べなかったので、せめてと思い図録だけは購入した。
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装幀 菊地信義
思潮社 1982年11月15日 第1刷
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20歳頃から詩(のようなもの)を書きはじめた私にとって、平出隆さんは稲川方人さんとともに常に憧憬の的だった。菊地信義さん装幀の『胡桃の戦意のために』(思潮社、1982年11月15日第1刷)は、小口が手垢まみれになってしまった。同作は芸術選奨を受賞され、帯をかえたものが発売されたのに、購入しなかったのが悔やまれる。後年、ここに綴られている111の詩篇はすべて、パソコンに入力した。この本の両袖にある不思議な図像が「鰯網」であることは、この『降るものと生るもの』で初めて知った。