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ペイシェントボイスカフェ(解離性障害)
【日程】
2024.12.1
【ゲスト】
大石 匠さん
【イベント紹介】
患者と医療を繋ぐ活動の一環である。
薬剤師他、医療関係者が患者さんの実際のお話しを聴くことで、患者視点や想いを知り、臨床における薬剤師の発想を広げてコミュニケーション能力向上へ繋げていただくことを目的にしている。
また、参加者同士の交流の場としても機能している。
解離性障害
ビリー・ミリガン:24の人格を持っていると言われている
→何を言っているのか分からないと思うが本当
ストレスや心的外傷により
アイデンティティをまとめる能力が一時的に失われる精神障害
解離自体は100人に1人くらい
解離性障害という疾患は稀
平均寿命は60歳と若め:みんな自殺してしまうから
症状はたくさん・組み合わせいろいろ
解離性遁走:人格がどこか言ってしまう
離人症:幽体離脱のような感じ(自分を上から見ている感覚)
→意志と行動が合致していない
解離性同一性障害が多重人格のこと
体が動かなくなったり、耳が聞こえなくなったりする
演者は全部の症状がある
経緯
2017年に発症
仕事中に突然気絶した
左目・耳・手・足が動かない
気が狂いそうなほどの頭痛
→本当に死による救済が欲しかった
仕事中にどこかに行ってしまうとか真冬の野晒しもあった
2017年2月に息子が誕生した矢先だから
俺がおかしいはずがない
症状がどんどん悪化、自傷行為が頻発
自傷行為をしている人は痛くないのに、人が変わると痛い
息子は赤ちゃんだったが、満足に接することができたかという感じ
妻が出会った臨床心理士の先生
懇願されてカウンセリングルームへ
「本当にやばいよ」との話だった
自分が解離する時のイメージはお餅で引き伸ばされているような感覚
→離れそうになる程痛みが苦痛、離れてしまえば楽
↓
虐待が原因?
親や親族の関わりが虐待だったら、今までの頑張りは何だったのか?と思った
母親が話出すと手で頭を守る
100点とっても殴られる
前歯を折るケガをしても笑い転げていた
→これが普通じゃないのか?
妻からは「普通じゃない」と
フラッシュバックする記憶
妹が生まれた6歳の時
「あんたを育てるのは失敗したからこの子は絶対に失敗しない」
↓
お母さん、ごめんね
この子は失敗しないであげてね
僕はそれを一生懸命お手伝いするね
↓
なくことを封印した
実は・・・
苦しいほど心地よい
→しんどいのが安心
→メチャクチャな扱いを受けるのが安心
幼少期の人間にとって、親は世界の全て
親がその「普通」を唱えれば
子はその普通を生きる
自分を犠牲にして人を助けることこそが美徳
→自分が死んだらみんな悲しむ、ということに気づくまで時間がかかった
→自分が幸せになるから、みんなが幸せになる
→私のミッション「死なないこと」
離れる決意
妻の家業を手伝いたいと伝えると
「育ててもらったくせに」「破産させるぞ」
家族とは絶縁、実家は出禁
孫には会いたい
→「この子を貶してみたらどうなるんだろう?」
→絶対に会わせてはダメだ
↓
本当に悲しかったけれど
妻と息子を守るためにその道を選んだ
治療は難しい
何度も体を引き裂かれている少年
ツボの中に生き埋めにされている少年
真っ暗な牢獄で体育座りをしている男の子
海の底で呼吸ができない男の子
一人一人見つけていく作業
何度もペンや鉛筆で自分を刺し、ハサミや包丁で切り刻む
真冬で半袖一枚で外で夜を明かす
リストカット、首吊り、鎌で手首を切ろうとする
↓
私は統合はできないとのこと
危険な人物が出てくるトリガーは今でも存在する
全てが削ぎ落とされて
地位や名声はどうでも良い
→妻と息子が喜んでいるところを、その笑顔を一回でも多く見てから死にたい
強烈な希死念慮
死にたいのではなく無かったことにしたい
あるタイミングで抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬など
→精神障碍者3級も認定
自身のかかりつけ薬剤師さんは受け止め方が上手
→「受け入れる」ではなく受け止める
副作用の説明で、体調の予測が可能になった
積極的な疑義照会で助かった
→安心して話せることで前向きに治療に取り組めた
医療従事者の社会性の低さ
→一言で患者の心を抉り取るケースを救いうる
何でも相談できるありがたさ
息子が粉薬を、どうしても吐いてしまう
その上での強要は「虐待に近い」と教えてもらえた
↓
コーヒーと混ぜるのおすすめ
飲めるの試そうとダイエーに一緒に行って相談
息子と一緒に工夫することで克服
ゲーム感覚で行き着いたのは「いちご牛乳」
→ちょっとした悩みに親身に一緒に考えてくれるのはありがたい
息子のひとこと
麦茶を盛大にこぼした3歳が
「かわくよ!」
→だいたい何とかなるんだと思わせてくれた
精神疾患は甘え?
「みんな大変」「甘えだよ」
日本という国の精神的な強さ・・・は分かる
頑張り屋さんが心を病む
みんな頑張っているんだから、それ以上強要し追い詰めるのは違いますよね?
安心したら、最高のその人らしさを発揮できるんだから
課題の分離
アドラーが提唱
その事象は「誰の問題か」
依存ではなく自立を目指す
医療者の問題?患者さんの問題?
患者さんの問題は自分で解決してもらう必要がある
↓
分離←→同一視
普通はこう
みんな大好き
あなたと私の普通は違う
こころは身体を壊すことができる
こころは身体を癒すことができる
発想の制限がなくなっていく
相手にジャッジやアドバイスしないこと
目の前の相手に心からの承認・賞賛ができた時、マルっと認められた時、自分と相手の人生は輝く
異端だけど本質
働いてくれる人、来てくれる人、目の前の人の嬉しいが自分の嬉しいに直結する
究極の利己と利他
目指すのは対等
【質疑応答】
⚪︎精神疾患を抱えた人にどこまで踏み込んで良い?
↓
十人十色なので、何がトリガーになるか分からない。医師との関係がうまく行っているかをケアしてもらえたら嬉しいかもしれない。
嫌だとかの感情が出てきたら、それを拾ってもらえたら癒されると思う。最近こんなことがあって、というお話しをするだけでも良い。
⚪︎2人の患者さんから「死にたい」と言われたが、どんな対応をすべきだったのか?
↓
そういう人は、話が途切れないと思う。頑張ったね、は良いが、頑張ってね、はNG。頑張れって言われても頑張れないが、頑張ったね、と言われると頑張れる。
感情を拾ってあげるのが楽になる。死にたいという人は、本当に死んでしまう人がいるが、うつの人は、生きたいということを、死にたいという人もいる。話を聞くだけで変わる。
⚪︎虐待を受けている時に、人格分離があった?
↓
自分の中の20人のはっきりした性別や年齢は分からない。しんどい時に自分の中にいろんな人に任せて、でも任せながら統合して成熟していくが、別れたままになったのが私。
⚪︎解離性遁走で、深夜の上野公園で過ごすというのがあったが、思い入れが?
↓
私は静岡出身で思い入れは特にない。自傷行為の一つで、凍死しようとしていたようです。
⚪︎医療従事者は社会性が少ない、恵まれた人が多いと思うので、どうやって身につければ良い?
↓
病は悪で、健康は善?病気を治すことより大切なことがあることがある。その人が「生きる」ということを見てあげられるか。それを教育に入れられるか?というところ。
⚪︎精神疾患の方と話をする時に、大切なことはなんですか?
↓
目を見て笑うことですね。あとはリーダーが楽しそうにしていると、スタッフにも波及される。
次回予告
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