③オファーサイト ― 御社の金で焼肉を食べよう
今回はオファーサイトについてお話します。
就活に使うサイトやサービスでリクナビやマイナビといった就活ナビサイトは有名ですが、これから就活を始める方でオファーサイトの存在を知っている人はまだ少ないのではないでしょうか。オファーサイトはまだ台頭してきて数年しか経っておらず、運営会社の規模もそこまで大きくないため、人事担当者や就活生など就活に関係している人間でない人にはあまり知られていないようです。事実私もオファーサイトの存在を知ったのは昨年(大学3年)の秋ごろのことでした。
しかしオファーサイトは今までの就活の構造や方式を根底から覆し、学生にとっても企業にとっても合理的な就活・採用を可能にするものです。うまくいけばオファーサイトをメインにして効率的に就活を進めることができます。
オファーサイトの始め方から使いこなし方までを解説していきます。
オファーサイトとは?
オファーサイトとは、企業が学生のESやプロフィールを読んで「採用したい」と思ったら説明会や面談、選考へ招待するオファーを送るサービスのことです。
学生はサービス利用開始時に氏名や所属大学、学生時代に力を入れたこと、自己PRなどのプロフィールを登録します。サービスによっては性格診断などを受けさせられるところもあります。学生の利用料は原則無料です。
企業はお金を払って登録することで、自社の情報を登録し、登録した学生のガクチカや自己PRなどのプロフィールを読むことができます。このとき学生の氏名や所属大学は公開されないことが多いようです。そして企業が学生のプロフィールを読んで「この学生を採用候補に入れたい」と思ったら、その学生に「オファー」を送り、企業の紹介と説明会や面談の案内を送ります。
オファーを受けた学生はオファーの内容や企業名を見て、その企業のオファーを承諾するか辞退するか決めます。オファーを承諾した場合は企業担当者とのチャット画面が作られ、そこで日程の調整などをした上で当日指定された場所(企業のオフィス内会議室や貸し会議室など)に向かいます。
場合によっては選考にそのまま呼ばれることもあります。また一部のサービスや企業では焼肉や弁当などを食べながら学生と話す機会を設けるところもあります。
オファーサイトを使うメリット
オファーサイトを使う最大のメリットは、自分に合った企業を自分から探さなくても企業の側からアプローチしてくれることです。
通常は自分の特性を分析してわかっていても、それがどのような企業や業界で活かせるのか調べなければなりません。しかしオファーサイトは自分の特性やできることをプロフィールでアピールしておけば「あなたの特性や経験が当社で活かせると思います」と企業の方から教えてくれます。これによって大幅に時間を節約できるとともに無駄な道を進まなくて良くなります。
オファーをもらい続けることで自分のESや性格がどんな企業や業界に需要があるのかがわかるようになります。「この業界なら自分は強い」と判断すればその業界の大手やオファーを貰っていない企業に自分からエントリーするのも良いと思います。また自分が評価されている点がわかれば、その後の選考でその点をアピールするための準備をすることができます。
またオファーが来るとき、たいてい企業から「あなたのES(プロフィール)を拝見し、〇〇というところに魅力を感じました」と送られてきます。このように自分の書いたESを褒められたり自分を承認してもらえる体験は、どうしても精神的に辛くなりがちな就活中の身にとって非常に大きな心の支えになります。この体験をするためだけでもオファーサイトに登録する価値はあります。
さらにオファーを承認したあとは企業とメッセージのやり取りをしますが、このメッセージは企業にメールを送るときと同様にビジネスマナーに気をつけて文章を書いて送らなければなりません。マナー講座や対策サイトなどを読むことで一応の対策はできますが、慣れないうちはメール一通送るのにも大変な労力を使います。しかしオファーを承認して企業とのメッセージを毎日のように送っていると、段々と要領を得ることができスラスラと正確に書けるようになります。このように場数を踏むことでビジネスマナーに則ったメッセージを書くことに慣れることができます。
オファーサイトを使うデメリット
オファーサイトも万能ではありません。
オファーサイトのデメリットや注意点についてもお話しておきます。
まず大手企業(特に歴史や知名度のある会社)からのオファーは期待しないほうが良いです。そもそもオファーサイトを使っている企業は自社の力だけでは学生に知られない企業であり、黙っていても応募者が来る企業はオファーサイトを使いません。
しかし大手を第一志望に考えている学生でも、同業界の他社からのオファーを受けることで業界研究になったり滑り止めになることもありますので、オファーサイトを使う意味がないことはないと思います。
またプロフィールが優秀で非常に多くの企業からオファーをもらった学生は、オファーを検討するのにまとまった時間を費やす事になったり、オファー自体をうざったく感じてしまうことも考えられます。
しかしオファーにすべて返事を出さなければならないわけではありませんし(もちろん辞退にしろ承諾にしろ返事を出すに越したことはないのですが)、来るオファーに魅力がなければそのオファーサイトは自分に合っていなかったとして退会しても良いと思います。
主なオファーサイト
オファーサイトは数種類あり、サイトごとに利用している企業や特色が違ってきます。
私が使っていたオファーサイトをいくつかご紹介し、それぞれの違いを述べたいと思います。
それぞれに公式サイトへのリンクを貼っておきますのでそこからすぐにでも登録可能ですが、このあと企業研究に使うOpenWork(旧Vorkers)に会員登録しておき、そこを経由してオファーサイトに登録するとOpenWorkのプレミアム会員権を無料で取得できるので、そちらを経由することをおすすめします。(一部サービスのみ)
①OfferBox
OfferBoxはオファーサイトのなかでは代表的な存在です。
登録企業数5100社と他サービスを圧倒しており、企業タイプも千差万別で、老舗中小からもベンチャーからも来ます。
いろんなサービスがあって迷ってる方や、複数のサービスに登録することに抵抗のある方はとりあえずここだけ登録することをおすすめします。
オールラウンダーではありますが、どこかに特化しているわけではないので行きたい業界や業種を本格的に絞っている人は他のサービスを使ったほうが近道かもしれません。
②ニクリーチ
ニクリーチは名前だけなら聞いたことのある方も多いかと思います。
通常のオファーサイトは説明会や選考に呼ばれることが多いのですが、ニクリーチは人事や現場社員の方とのランチに招待するオファーが届きます。そこで就活の進捗や自分のやってきたことについて社員さんとお話したり、社員さんに仕事のことをお聞きする事ができます。なお他の人から聞いた話ですが、ランチは焼肉に限らずお寿司などいろいろとあるらしいです。
私も2回ほど焼肉をごちそうになりましたが、企業のコストがかかるからかオファーの数はダントツで少なかったです。また自分が行きたいと心から思える企業には出会うことはできませんでした。
身も蓋もないことを言ってしまえば焼肉のために登録するサービスです。
③dodaキャンパス
dodaキャンパスは「転職ならduda」でお馴染みのdudaが新卒就活生向けに運営しているサービスです。アプリやサイトのデザインがきれいで、企業とのやり取りをする画面もチャットアプリ風になっています。
登録企業は社歴の浅いベンチャー企業が多いですが、dodaの運営会社が所属しているパーソルグループの企業からのオファーが目立った印象があります。
また「dodaキャンパス新卒エージェント」というサービスがあり、dodaの社員さんが私に合った企業の募集を見つけて紹介してくださるサービスもありました。この企業や業種のチョイスが自分の希望をかなり反映されたものだったので、何度もお世話になりました。
④キミスカ
キミスカは私が最初に登録したオファーサイトです。
来たオファーの数は非常に多かったのですが、志望業界・業種を登録しているにもかかわらずそれに含まれない業界の企業からもオファーがそのほとんどを占めていたので就活終盤はあまりチェックしていませんでした。
傾向としてはニッチな産業の老舗中小企業が多いイメージです。そういった企業に務めたい方やとにかくオファーが欲しい方、他サービスでオファーがなかなか来ない方は登録してみると良いかと思います。
⑤passion navi
passion naviさんはベンチャー企業、とりわけ創業したてのスタートアップ企業に特化した企業が多いのが特徴です。サービスのノリが体育会系で、登録している企業からのメッセージも熱いものばかりです。そういったノリに抵抗がなく、ベンチャー企業に入って若いうちからバリバリ働いて成長したい人にはもってこいのサービスかと思います。
この他にもいろんなサービスが存在していますし、日々新しいサービスが生まれています。どのサービスも基本的に学生は無料で、採用する側の企業がコストを負担しているケースが多いので、迷ったらとりあえず登録し自分に合っていなければ見切るというスタンスで臨むのが良いかと思います。
自分に合ったサービスを見つけて使いこなしてください。
得られるオファーの中身は就活本番直前からは説明会や選考が多いですが、それ以前のタイミングではインターンシップへの招待が多いです。
次回はインターンシップの探し方と本番への臨み方についてお話したいと思います。