学生と辿る村の暮らし
写真家さんたちの来村のちょっと前、ふとしたきっかけで知り合った大学生に村内を案内することになった。初めての来村案内。彼女が何を求めて村に来るのか?何がしたいのか?明確なニーズをそれとなく掴むため、メッセンジャーでやりとりをする。結論を言うと「なんでも大丈夫!」ということになったので、山仕事体験・地域をぶらぶら歩く・地元民に昔話を聞く、の三本柱で行くことに決めた。
まずは村内を公用車でウロウロ。山桜や茶畑の広がる春の景色を満喫する。それから、恒例の山のお師匠(?)のところで、木材チップや薪づくりの体験をさせてもらう。私もこの時にはじめて薪割り機を触ったと記憶している。とても聞き上手な大学生相手とあって、師匠も普段より饒舌になり、山の暮らしや日本の現状や林業の大切さについて熱いトークを聞かせてくれた。
次に、先輩移住者から「行ってみるといいよ」とお勧めをいただいた80代後半・元小学校教師のおじいさんを訪問する。完全なる初対面なので、私もとても緊張していたことを覚えている。「こういうわけで昔のお話を聞かせてほしい」とお願いをしたところ快諾していただき、子ども時代の記憶からゆっくりと言葉を紡ぐようにお話をしてくださった。もちろん、戦中の話もあった。多趣味で博識で、歩く博物図鑑のような方だった。
そんなこんなで無事に初の村内案内が終わり、夜は私の家に泊まってもらって朝早くに出発。「また来たいです」と言ってもらえたのが何よりのギフト。2年目に入って、ようやく人を案内できるくらいまでにはなったんだ……!という事実が少し嬉しくなった。次は写真家さんたちのアテンドが待っている。この村の好きな景色や人や聞いてほしい物語を紹介できる人がいるって、幸せなことだ。
ぶらぶら歩いていたら野菜をもらってしまった。これぞ田舎あるある。