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CHAPTER1:秘境へ-first season-

秘境生活の3年間が終わった。長いようでとてつもなく短く濃密な時間だった。振り返ってみれば、良いことも悪いことも、通常の5割増しくらいの感覚だったように感じる。

普通に暮らしていたら絶対に出会えなかった人との出会い、起こらなかったに違いない出来事を山のように体験しては反芻して、大きく成長できた自分がいることは確実。

少しづつ記憶の引き出しを開けながら、振り返りもかねて、ここに記憶の記録をしたためていこうと思う。

2018年、あれは確か12月のこと。

静岡でゲストハウス改修をの仕事をしていた私は、住み込み先から地域おこし協力隊の面接へ。「可能な限りの山奥で自分の生きる力を試してみたい。自給自足に近い、農ある暮らしがしたい」という熱意だけを頼りに、村長をはじめ、受け入れ先の職員さんたちに未来のビジョンを精一杯話した。

どうにか面接をクリアして、まだ寒さの残る2月下旬、私は南信州にある秘境の村に足を踏み入れた。初めて降り立ったJR飯田線の平岡駅。これからの期待と不安が入り混じる複雑な心境の中、無事に引っ越しの荷物搬入も終わり、とうとう期限付きの秘境生活が始まった。

しばらく写真を撮る余裕もなかったらしく、少し生活に慣れた頃にIpodで撮影した写真で、一番まともなのがこの何気ない春の風景だった。

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