壮麗なる秋の祭り
秘境の村に残る四季の祭りや地域行事。ここに来て初めて秋祭りを見た。大名行列にお練りに獅子舞、青年太鼓と、全部盛りのような壮麗なお祭りだ。田舎や「ふるさと」と呼べる場所が無いまま育った私がイメージするお祭りといえば、夏祭りの屋台くらいだろうか……なんとも寂しい。
思えば「伝統のお祭り」というものをじっくりと見たのは、これが初めてだったと思う。出る側も見る側も、見知った顔の村人たちがいつもとは違う雰囲気をまとっていて、1年に1度しかないこの時間を思い思いに楽しんでいるように見えた。いいなあ、こういう風景、たまらなく好きだ。
なぜだか私も太鼓団のメンバーとして参加することになって、見よう見まねで太鼓を叩きながら、ひたすら神社を目指して歩く。現代のようにあらゆるニーズを満たすような娯楽がない昔、ましてやここまでの山の中となると、年に1度の祭りというのは山の民の大きな楽しみだったに違いない。
素敵な写真をたくさん撮っていた同期メンバーの作品を、後日フォトブックにまとめさせていただいた。これが「その地に続いてきた伝統のお祭りを記録に残すことって大切なんじゃないだろうか?」となんとなく感じた最初のきっかけであった。ちなみに私は長く愛用していたオリンパスのPENを引っ張り出してきて、お練りの合間にセピアモードで撮影。
それにしても、初めて足を踏み入れた冬からまもなく春を迎え、死ぬほど暑い夏が過ぎ、何がなんだかよくわからないままあっという間に秋を迎えてしまった。畑の野菜もすっかり終盤。
刻々と変化する夕暮れの美しさに見とれる毎日。