学生インターン①駆け抜けた暑い夏
山間部は酷暑だった
新緑の季節も終わり、季節は夏へ。最南部といっても信州なのだから、夏もそれなりに涼しいだろうとタカをくくっていた自分。正確に言えば同じ村内でも標高や集落の場所によって気候・気温差があるのだが、この時に住んでいた地区のあまりの暑さには、正直に言って打ちのめされた。記憶が確かならば、40℃オーバーを計測した日もあって、昨年よりますます過酷さを増している気配すらある。何度か自宅で熱中症になってしまい、残念ながら今後はクーラーなしでは夏を越せないかもしれないとすら感じていた。
学生インターンシップ
そんな中、約1か月のあいだ、大学生のインターンシップ受け入れ事業のサポートをすることになった。私が個人的に担当するのは、日米ハーフ女子・建築学科専攻・特技は写真・グラフィックデザイン・イラスト等、村人の写真をたくさん撮りたい、古い建物をいろいろ見てみたい、という学生Sさんに決まった。会わせたい人、見せたい景色、カメラで切り取ってほしい暮らしの風景が次々と浮かんでくる。せっかく滞在するのだから、記憶に残る思い出になってほしいと願いつつ、おおまかなスケジュールをあれこれ組んでいるうちに、その日はやってきた。
駆け抜けた夏のはじまり
迎えたインターンシップ初日。1か月分のおおまかな予定は組んでいたのだが、どちらかといえば行き当たりばったりという感じが彼女の希望のようだった。たしかに毎日が予定通りでもつまらない。誰かと時間の約束などがない限りは、当日の朝にすべての予定が変わったってかまわないのだ。限りなく自由でいい。はるばるやってきたこの秘境の地で遭遇する「偶然」の数々を楽しむことが一番なのかもしれない。「可能な限り村を満遍なく周って、村人に会いまくる!」をモットーに、駆け抜けるような暑い夏が始まった。
冒険のような日々
彼女と過ごしたひと月は、毎日がちょっとした冒険のようだった。行く先々で次々と巻き起こる出来事(予想外も含む)の数々に、笑ったり驚いたり感動したり、時にはしんみりしたり……あまりに目まぐるしすぎて、記憶が抜けている部分もある気がする。20代前半の若い感性とまっすぐな目は、この村で何を見て、何を感じて、何を考えて、何を記憶に刻んだのだろう。短い魔法のようだったひと夏を、写真を頼りに少しづつ思い出しながら、振り返ってみようと思う。(次回につづく)
田舎あるある、愛おしい風景。