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歌を作ること

1.宅録家としての姿

私は長年宅録をしています。宅録とは「自宅で歌や楽器の録音をする事」で、今巷に溢れているDTM(デスクトップミュージック)とは別物と考えています。

私が宅録を続ける理由の根本は「歌を作りたいから」で、言い換えるとメロディを作りたいからです。楽器演奏の下手くそな私にとって、楽器演奏はあくまで「歌を補完するもの」です。とは言え、私のポリシーとして、自分の曲は歌も楽器演奏も全て自分でする、これを長年守っています。(ドラムだけは住環境的な問題から、パソコンに演奏させています)

制作に要する時間は、休みが月曜日しかない現在は大体5〜6週間(実質5〜6日)というところでしょうか?以前はこれより膨大な時間をかけていた事もあったのですが、今は曲を作るスピードが劇的に上がりました。休みが週2日になれば、このスピードが倍になると思います。

2.歌を作ること

歌を作り始めたきっかけはバンドでした。全ての曲がオリジナルソングのバンドだったため、それは自然な流れでした。バンドに在籍中に初めて自分で曲を作り、周りにチヤホヤされ、その勢いでバンド脱退後も自分一人で曲を作り続けてきました。最初は経験値が低く、拙い曲もあったものの、経験を積み重ねることで作曲のスキルは上がっていきました。

私にとっては、メロディメイキングが最大の関心事。メロディメイキングこそが私の生き甲斐、と言ってもいいくらいです。私の歌の風合いは日本にはまず存在しません。海外に目を向けても、類似のものはあったとしても、ジャストそのもの、というものは無いと思います。

3.出発点

私は80年代のアメリカやイギリスの音楽を聴いて育ちました。今に至るまで日本の音楽を聴いた事は一切ありません。80年代のヒットチャートを賑わした綺羅星の如き名曲たち。それが、小学5年の頃からの私の音楽遍歴のルーツです。私の音楽的感覚の根源はここにあり、私のメロディの根本的な美意識はあの時代からスタートしているのは間違いないです。チャートを賑わす様なメジャーなアーティストの曲は片っ端から聴きました。ビルボードのTOP100にランクインしている曲をくまなく聴きました。それが中学生の頃ですから、もうマニアと言ってもいいですね。毎週土曜日にNACK5で放送されている小林克也さんのThe best hit USAを毎週聴いていますが、彼は私が中学生の頃からのヒーローです。彼の英語と元気なあの声が今でも聴けるのがとても幸せです。彼ほどかっこいい英語を喋る日本人は居ないと思います。彼にも私は間違いなく影響されています。

4.メロディはどこから?

私の場合、鼻歌の様に何にも依存しない、独立した単体のメロディがポンと出てくる事は皆無です。

作曲の第一段階は、大体の場合ギターを使いながらです。ある特定のコード進行や、特定のリフから、メロディが生成される事が多いです。

最初は適当にそのコード進行やリフに合わせて英語で歌ってみます。辻褄は度外視して、本当に適当な「文言」で。(この適当な文言から、後々ストーリーが浮かんでくることが多々ありますので馬鹿に出来ません)

多くのソングライターがよくやるのは、コードに鼻歌でメロディをつけたり、コードの上にキーボードの単音でメロディをつけたりしますが、私は絶対にしないです。

何故鼻歌でないのか?何故キーボードなどで短音のメロディを作らないのか?実は、私のメロディメイキングのスタイルがここにあります。

私の私感では、もし日本語で歌をつくるのであれば、ひょっとしたら、前述のスタイルでいいのかも知れません。何故なら、日本語の母音は5つしか無いからです。

例えば、「あーめーがーふーるー(雨が降る)」という歌詞にメロディをのせる場合、そこに5箇所の音階を載せるのが一番やりやすく、一般的ですから。

しかし英語には、沢山の母音と子音が存在しており、アクセントや抑揚が多彩です。

従って、これを音楽に当てはめる時、細かなリズムの変化や、小さな抑揚の変化への順応に長けており、その長所を最大限に活かす歌唱法として私が考えているのが、

歌詞の内容だけでなく、語数、語感、さらにはどの単語を使うかによって、メロディを変えるという手法。(いえ、変えると言うより、自然と変わってしまいます。自然にそのメロディが出て来てしまう、と言った方がいい)

上の全ての要素が有機的に結びつき、影響し合うのです。ですから歌詞の内容を何にするか、それ自体が、メロディを作る、とも言えます。

一例を示します。

ある特定のメロディで
I was thinking about the old days.
と出て来たとします。これを、the old daysの部分だけを言い換えて2行目が
I was thinking about the long agoとなったとします。この時、もう既に、この1行目と2行目のメロディは違うメロディになったりします。

実際にこの例を聴いてみると、メロディが変わっているのが分かると思います。一番最初の歌い出しの部分です↓↓


5.ハモリという言葉は嫌いだけど

私の曲の大きな特徴として、ボーカルの多重録音によるハーモニーが多用されている、ということ。ハモりが綺麗ですね、とよく言われるけど、これは私にとって当たり前の手法であり、楽器を録音している時よりも、物凄く気持ちいいんです。最近は「三重奏」をよくやる様になりました。ボーカルのトラックは普通に6〜8トラックくらいできてしまうんです。

ハモリは何の準備をしなくても、即応出来ます。楽器の場合はある程度の練習が要る場合もあるから、歌は私にとっては楽なんです。

山下達郎さん程ではないですが、多重ボーカルが使われている好例が↓↓↓です。(歌い出しからしばらく後です)

これからも宅録を続けます。お読み頂きありがとうございました。


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