加点効率がいいトリックってそんなにない~その1~
以前、JYYF主催大会におけるトリックの加点についての記事を書きました。
読んでくださった方ありがとうございます。
思いの外反応を頂いたので、この記事の最後に書いていたトップ選手が現在どんなトリックを選択しているかについて今回は考えていきます。
今回は今年行われた地区大会の1A部門優勝者のうち、特色の異なる3名の選手にフィーチャーして考察していきます。
※僕自身は1度もシャドージャッジの経験が無いので、一個人の見解になります。実際の採点と異なる可能性は大いにあります。
今回の着眼点
今回フィーチャーする選手は
EJ優勝:コバヤシ トウヤ選手
SJ優勝:マエダ ヤスタカ選手
WJ優勝:ナンバ ツカサ選手
以上の3名です。
3名それぞれの決勝の演技を次の着眼点で見ていきます。
選んでいるトリックの系統
エレメント(トリックの要素)数
クリッカー平均点とエレメント数の比較
加点されている・加点されてそうなトリック
選んでいるトリックの系統は、シンプルにどんなトリックをやっているのか見ていきます。
ここで言うエレメント数は、加点されているかどうかは一旦考えずに、ストリングやヨーヨーを操作しているものを全部エレメントとして数えます。ただし、トラピーズ等明らかにかぶっているものは数えません。
最終的にトリックの系統やエレメント数と公開されているクリッカー平均点を比較して、加点されてそうなトリック、されてなさそうなトリックを整理して、JYYFの大会だとどういう考え方で評価しているかを考察します。
スコアシートはそのまま掲載出来ないので、出典のリンクとクリッカー平均点を記載していきます。
では早速コバヤシトウヤ選手から見ていきましょう。
EJ優勝:コバヤシトウヤ選手
昔から変わらず音ハメが気持ちいいフリーをするコバヤシ選手です。
ミウラハジメ選手もそうですが、以前サムシングに所属していた選手はスズキヒロユキ氏に叩き込まれたのであろう音楽と綺麗にマッチした構成が特徴です。
トリック構成は、水平軸(普通の投げ方)もホリゾンタルどちらでもホップ系、比較的構造がシンプルなスラック系、連続した2.0以上のフックが印象的なラセレーション系となっています。
レールコンボは横と縦それぞれ一つずつありますが、メイン武器という感じではないですね。
エレメント数は195くらいと数えました。今回は、明らかにストリングしか動かしてないスラックも数えてます。
決勝は3分=180秒の演技のうち、ヨーヨーを手に持ってる時間+ヨリ調整+グラインドの時間が20秒弱ありました。
なので160秒ヨーヨーを回している間に190を超えるエレメントを繰り出してることになります。
速過ぎですわ...
そんなコバヤシ選手のクリッカー平均点は127.5点です。
190近いエレメントがあったにしては少なめな印象ですね。
何が加点されていて、何が加点されていないんでしょう。
今回のEJの動画は、選曲次第でクリッカーの音が聞こえるものになっていまして、コバヤシ選手の動画は比較的全編通して聞こえます。
クリッカー音が聞こえるので、詳細に見ていきます。
ただそのままだと聞こえにくいので、google chromeの拡張機能でイコライザーを掛けてクリッカー音を聞きやすくしました。
イコライザーというのは、低音、中音、高音域の音のバランスを整えるエフェクトのことで、クリッカー音である高音域以外を小さくすることでクリッカー音を聞きやすくしてます。
ホップ系は見るからに加点されているので、最初のホップパートで何が加点されているかを見ます。
まずこのパートだけ見ていきます。
あれ、トラピーズのところでクリッカーなってないな。
う~ん...?
まぁちょっと置いておきます。
クイックホップのところは音楽に埋もれていて聞こえないので割愛。
クイックホップ後のイーライで1点、首周りからインバーテッドで取るところで2点、インバーテッドから肩にかけるところは1点。
次の肩からインバーテッドに戻るところは加点されてないように聞こえます。
恐らく首周りからインバーテッドで取る部分とヨーヨーの軌道、手のストリングのかかり方が同じなので、被りとみなされているんでしょう。
確かに、跳ね上げて肩から外れた後の構造は一緒なので、被りと言われても納得せざるを得ないかなと思います。
そのあと同じく跳ね上げたヨーヨーを左手側のインバーテッドで取るんですが、これは腕がストリングの下を通っていて形が変わっているので加点されています。
その次のホップもヨーヨーの位置的には変わらないですが、手の向きが変わっている(インバーテッド→オルタネイト)ので、加点されてますね。
ふぅ、なかなか長くなりそうです。
レール系は冒頭に紹介した記事で書いたので飛ばして、次はこのスラックパートを見ていきます。
注目したのは、まず3つ目と4つ目のトリック
マツウラタケシ氏が流行させたエレメントですね。
3つ目と4つ目のトリックでスラックの作り方は一緒なんですが、スラックを掛けた後の形が違います。
ただ、4つ目のトリックでマウントした時にはクリッカーが聞こえないです。
これは先ほどの肩越しのホップからインバーテッドで取るトリックと同じで、流れが違う場合でも構造が同じであれば被りとみなされるということなんだと思います。
よぉくよぉく聞くとちょっとだけクリッカーが聞こえるんですが、他と聞こえ方が違うということは、ジャッジによる差が出る部分なんでしょう。
やると分かりますが、ヨーヨーの軌道を変えないといけないので流石にこの2つは別物と見て欲しいところです。
続いてその直後のスラックを叩いて軌道を変えるトリック。
このトリック、スラックを作ってマウントするまでにクリッカーが2回聞こえるんですよね。
最初はスラックだけの動きでクリッカー入ってるのかと思いましたが、スラック作るときにマウントを1回挟んでるのでそこが加点されてるんですね。
やっぱりスラックの操作自体には加点は入らないですね。
とはいえ、スラックの軌道を変えた結果マウントして加点されているので合わせ技一本って感じだと思います。
最後にホリゾンタルパートを見ていきます。
ここも殆どクリッカーが聞こえないですが何回か聞こえるので、そこだけピックアップします。
1つ目はビハインドバックホリゾンタルの最後のバインド
2つ目はリキャプチャー→ホップの次のクロスアームでマウントするところ
3つ目はインバーテッドイーライ
これ全部1点です。
ビハインドバックのバインドが1点なら大体のホリゾンタルトリックは1点だと考えていいんじゃないでしょうか。
つまりはホリゾンタルって相当離れ業じゃないと2点以上入らないんですよ。
続きます
想像以上に長くなったので、今回はここで終わろうと思います。
残るマエダ選手とナンバ選手の演技の考察とまとめは次回以降になります。
来年からシャドージャッジを経て公式ジャッジを目指そうと考えています。ジャッジ側に関り始めたら100%こんなこと書けないので、今のうちに書けることを無責任に書いていこうと思います。
次回も是非お付き合いください。