アジソン病の診断がつくまで
セカンドオピニオンに行った病院で
「これ、甲状腺じゃないですね・・・」
「いつから、食事や水を食べれてないんですか?」
と、獣医の先生に尋ねられ、
「食事をまったく食べなくなってから今日で9日目。水をほとんど飲まなくなって9日目、全く飲まなくなって3日です。」
と、わたし。横でぐったりして全く動けなくなり軽くなってしまった「ふく」を診ながら、先生は次々に問診されていきました。
「12日間もまったく食べてないんですか?水も?」
「はい。2日前に他院で皮下注射の点滴を一度しましたが、よくなりませんでした。」
「大至急、別の検査をします。」
それから30分くらい経った後、また診察へ呼ばれ、
「ふくちゃんは、獣医師達で先ほど検討しましたが、エコーや特殊な血液検査の結果、アジソン病で確定できると思います。」
と、獣医の先生に言われ、初めて聞く病名にとまどいました。
「どんな病気なんでしょうか?」
「うちの病院でも4〜5年に1頭診るかどうかくらい珍しい病気です。原因不明でストレスに弱い子がなりやすいと言われています。副腎が萎縮してホルモン等が出なくなり、体全体の機能や代謝ができなくなり、ほっておくとこのまま亡くなってしまいます。」
「薬を生涯ずっと毎日飲み続ける必要はありますが、ちゃんと治療をすれば長く生きる子も多いです。」
と、獣医さん。
「ちゃんと薬を飲んで治療をすれば、寿命近くまで普通に生きられるっていうことですか?」
と、わたし。
「正直に言うと、寿命は厳しいかもしれません。過去にうちで診たワンちゃんは5〜6歳以上で発症されたことが多く、平均して4〜5年でした。」
その後も先生の説明は丁寧に続きましたが、頭の中でショックと悲しみがグルグルして、あまり覚えていません。
説明が終わると、すぐにふくちゃんの点滴が始まり、閉院時間までなるべく長く点滴を入れた方が良いと言われ、私は一度帰宅しました。
かかりつけ医での度重なる誤診?
実は、かかりつけ医は別のB病院でした。ペット保険が病院の窓口で使えるので、ふくを迎えてから利用していました。
先生も複数いて、スタッフの方にも可愛がっていただき、併設のトリミングやペットホテルも時々利用していたので、安心して受診していましたが、時々「あれ?」と診断に疑問を持つことがありました。
1回目はケンネルコフの診断で、1ヶ月以上薬を服用しても咳がひどくなり、再診察の結果、薬を全部やめたら、途端に咳が止み、誤診だとは言われませんでしたが、薬の返品をして返金されたことがありました。
2回目は、今年の6月。ふくがおちんちんをずっと舐めるので受診したところ、膀胱炎と診断。膀胱炎は薬で治りましたが、その後もおちんちんを舐める動作が続き受診すると、当時喜んで食べていた「鰹節」や「煮干し」などの魚アレルギーだと言われ、魚類の全除去を行いましたが、治らない。再受診すると、血液検査を行われ、今度はウラジロガシという漢方などの原料で尿のトラブルに良いサプリメントが処方され、3週間続けて飲むように言われました。さすがに不安になり、A病院にセカンドオピニオンに行き、再検査をしていただくと、微細な血尿や砂の成分が尿から検出され、結石の前の段階だろうと言われ、投薬を受けるとすぐに改善しました。
3回目は今年の10月。
急にごはんを食べなくなり、7日間何も食べず、水もほとんど口にせず受診。これは、結構よくあるわがままで、1歳半の反抗期には、よくあること。または、夏バテかな?そのうち食べだしますよ、と獣医師に言われました。
8日目から水も全く飲まなくなりましたが、散歩に行く元気がある程度。ヨタヨタっと歩き、散歩以外はほぼ寝て過ごしていました。時々、水で濡らしたガーゼを当てて水分補給をしていますが、嫌がり、飲まない状態が続きました。10日目に受診。皮下注射の点滴をされましたが、まだ水も食事も取れず、ぐったりしたので、翌日に再受診したところ、血液検査を行い、
「甲状腺機能低下症ですね。薬を出すので、ちゃんと飲ませて2週間後にまた受診してください」
と言われ、やっと病名がわかって、少し安心し、帰宅後に薬を飲ませると、水が少し飲めた‼︎
少し元気になって安心したのも束の間、夜中になると、グルグル家中を歩き回って、ほとんど寝ず、わたしも夫もどうして良いかわからない状態に。
12日目、朝一番に受診すると、獣医師は、ふくの背中の皮を摘んで、
「脱水してないし、薬で少し元気になっているみたいだから、点滴も必要なし。このまま続けて飲めば大丈夫。お母さんがあんまり食べろっていうから、反抗してるんじゃない?」
と。
無性に腹が立ったけど、ふくのために我慢して帰宅しましたが、目に力はなく動けず体重も激減して軽くなり、白い目やにがどんどん出てきて、前に飼っていた先代わんこが老衰で亡くなる前にとても似ていて、わたしは怖くなりました。
その日の昼に、通っていた「犬の幼稚園」のトレーナーさんからLINEがきて現状を話すと、
「他院を受診してみた方がいいです。それも大至急に」
と言われ、紹介を受けた動物病院に電話すると、セカンドオピニオンは院長しかされず、次の予約を最短の2日後に入れました。
その2時間後、動けないのに、いつもの散歩に行きたがるふくを風に当てて友達ワンコに会ったら元気になるかもと思い、いつもの公園に連れて行くと、いつもは相手もしてくれない長老ワンちゃんが珍しく、ふくに寄り添って、顔の目やにを舐めてくれました。何か感じるものがあったのでしょうか。
それを見ていた、いつもの犬友のママたちに、
「明らかにふくちゃん、おかしいから、別の病院にすぐに行ったほうがいいよ。いますぐ、行きなさい」
と、なかなか決断できないわたしに勢いをつけてくれました。
そして、現在も受診しているA病院を受診し、各種検査をやり直していただき、やっと「アジソン病」が発覚しました。
A病院の獣医師の先生に聞くと、アジソン病は開業医では診ることが少なく、似たような病気も多いため、なかなか診断がつかないそうで、B病院の誤診とは言えないとおっしゃっていました。その日の点滴時にも、A病院では検査数値で見ると明らかに重度の脱水症状で、
「最善は尽くしますが、とても危険な状態で衰弱していて、点滴も少量ずつしか入れられず、何かのショックで亡くなる可能性もあります。」
と言われていました。B病院では、背中の皮を摘んで、すぐに戻るかの古典的な脱水検査方法のみ。もっと早くA病院に連れてきていれば・・・と悔やみます。
痛いとも言えないワンコ達。獣医師さん1人で内科から外科、眼科や皮膚科まで診ないといけないのだから、難しいのだとは思いますが、わたしはもうB病院には行きません。
今思えば、点と線がつながった!
今思えば、全く関係ないと思っていたことが、線のように繋がります。
①春頃から、裏の家の新築工事の騒音などで、粘液便を出した
→ストレスへの耐性が弱っていた
②娘の結婚式などで動物病院併設のホテルに預けると嫌がり、飛び出すように出てきて、翌日から下痢することが多くなった
→アジソン病が始まっていたのかも?代表的な症状らしい
③8月に足先に赤いカビ状の皮膚炎が初めて出てきた
→免疫力が下がっていたのかも?
④散歩が大好きだったが、嫌がったり、途中で抱っこをせがむようになった
→アジソン病の代表的な症状らしい。猛暑で地面が熱くて嫌がっているんだと思っていた。
⑤ごはんのドライフードを時々食べなくなって、寝ていることが多くなった
→成長したのと、反抗期なのだと思っていた
⑥おちんちんを舐めることが多く、膀胱炎になり、微量の血尿が出た
→去勢済みだが、成長に応じた性衝動だと受診時に言われていた。膀胱炎やその他の尿トラブルは関係性はわからないが、アジソン病で起こることもあるらしい
⑦横に寝た姿勢から起き上がる時に、突然、キャン鳴きで痛そうにすることが数回あった
→受診したがレントゲンで異常なく、神経痛かもと言われた。神経痛もアジソン病では起こるらしい。
⑧犬の幼稚園やペットホテルに預けた際に、動かないことが多く、吐くこともあった
→おとなしくなった=成長と思っていたが、アジソン病が原因らしい
後になって思えば、ふくは、こんなにサインを出していました!
タラレバですが、もっと早く気づけていたらと、後悔していますが、素人のわたしにアジソン病などわかるはずもありません。
でも、一番そばにいたから異変もなんとなくわかって、何度も受診したけど、その時は答えが出なかった。早く気がつけば治る病気でもないけど、確定診断がされたこの日は漫画の1コマのように頭が真っ白でした。