愛か復讐か5
5
月日は経ち、春休みになった。
篠からみつはが連日塾を休んでいるとの報告を受けた。
冗談半分で「可哀想だから俺が代わってあげたい」と言った。
それに伴うように、数日後に俺はインフルエンザになった。
自宅待機が明け、インフルエンザから復帰した時には新学期は始まっていたので、新学年での初登校は緊張した。
今年は中学も最後の年だし、初めての受験も控えている。
どうやらみつはは数日休んで良くなったらしく、安心した。
しかし安心したのも束の間。
俺は1週間後におたふく、髄膜炎、睾丸炎のトリプルパンチを喰らい、1週間近く入院した。
初めての入院だ。
熱が40℃を超える日が2日続いた。
とても苦しかった。
唯一の救いは、みつはに代わって俺に降り注いだ、みつはを守れたという満足感があることだ。
病気に病気を繰り返した俺は1ヶ月で10kg減量した。
サッカーで鍛えた自慢のフィジカルもこの1ヶ月で水の泡となった。
5月の体育祭の部活動対抗リレーに出るために3年間頑張ってきたのに、フィジカルコンディションが戻らなかった。
とても悔しかったのを思い出した。
幸いにも勉強の方は塾で先取り学習をしていたので、いつもの点数をとる事ができた。
中間テストが終わり、部活動の集大成へと突入する。
俺には中1の時に彼女がいた。最初で最後の彼女。
彼女ができたことで俺は部活動でレギュラーに抜擢された。
4ヶ月で別れてしまったが、別れた後も俺のパフォーマンスは落ちなかった。
その時を思い出して、俺は集大成に向けて彼女が欲しかった。
誰を彼女にしたいかは決まっている。
もちろんみつは。
みつはは柳本と少し前に別れたという情報を手に入れた。
これを逃すまいと、俺は3日後にみつはに2度目の告白をした。
みつはの家まで行って告白した。
返事は「時間をください」とのこと。
俺は僅かな期待を抱きながらその場を後にした。
続く
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