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 医師による漢方薬治療効果発現時間

 漢方薬は長く飲まないと効かないのですか?
 私は診察中に患者様から様々な質問を受けます。漢方薬が効き始めるまでの時間に関する質問のその一つです。それに対して
 「治療しようとしている症候や病気の性質、
そしてなによりも医師の腕次第」とお答えしています。
 漢方治療の一つの目的が体質改善です。たとえば、アレルギー体質や冷え症、虚弱体質、疲れやすいなどの体質の他、不眠・いらいら・くよくよというその方のストレスに対する反応の仕方を調整することを目的とした場合では、数ヶ月~数年という時間を通して、薄皮をはぐように改善してことはよくあります。このように病気を引き起こす体質や性質を改善しようという治療を本治といいます。

 それに対して、比較的新しく出てきた症候や症状に対して漢方薬で治療することを標治といいます。例えば、葛根湯、麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯などは風邪の初期に有効ですし、人参湯、真武湯は下痢に、五苓散は頭痛、嘔気に即効性があります。これからの季節は花粉症の季節ですので、小青龍湯や葛根湯加川キュウ辛夷が頻用されるのではないかと思われます。

 さて、最近では非漢方専門医から漢方薬の処方や、患者様自らドラックストア等で購入されるケースが増えています。そのため、我々のクリニックに来られる方は一般に用いられる漢方薬が効かない場合が少なくありません。それに対して数種類の処方を重ね合わせて薬効を調整し、煎じ薬を用いたりします。

 今から花粉症で悩まれる方が増えることでしょう。耳鼻科・眼科でも有効な薬や治療法が開発されていますが、それでも聞かないという方にとっておきの漢方治療を紹介します。それは私の師匠の日本東洋医学会石川友章会長に教えていただきました。小青龍湯や葛根湯加川キュウ辛夷という麻黄を含んだ処方を基本に、水はけをよくする処方、熱を冷ます処方、冷えを取る処方、皮膚乾燥に対する処方、目のかゆみに対する処方、疲れを取る処方などをその方の体質(漢方では証)に随って組み合わせます。

 もちろん、そのまま1日量で重ねますと飲みづらくなり、副作用が出やすくなるだけでなく、効果も減ることがあります。そのさじ加減はまさに医師の腕次第です。

 そして、漢方や鍼灸には副作用などがあります。チョットかじった位で家族以外の治療を行ったり、本を書いたりして体調不良を来した場合のリカバリーが出来ない素人さんは手を出さない方がいいです。

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