ポエムですが、イマドキの薬学生に思うこと。
あくまでポエムですが。
私が同窓会長だったり、某薬学部の非常勤講師やっていたりするためか、薬学生さんから何か特別な存在かと勘違いされてしまうことがたまにあります(それがまったく勘違いであることは友人諸氏がよく知っています。感心な人間ではありません)。
昨今、情報が増えたせいか大学教員の洗脳が良いのか、いわゆる「意識の高い学生さん」に声をかけられます。彼らはスーパー薬剤師を目指しているのか知らんですが、学部生のうちから実によく情報収集し、名のある先生の講演に足を運び、SNSグループに参加し、学生団体を運営し…
まあ、良くやってるなあと関心する一方で、もったいないなあとも思います。
薬剤師になったら嫌でもやらなきゃならないことが山ほどあります。なんで社会に出たら嫌でもやらなきゃならないことを学生のうちからわざわざやるのかなー?といつも不思議に思ってみています。
学生時代の自由さは学生時代にしかありません。学生時代にできることは「人生のオプションを増やすこと」だと思います。
学生のうちから周りの雰囲気に流されて「最先端でイケイケで今求められる薬剤師像」なんてものを追ってばかりいたら、それしかないつまらない人間になっちまいます。薬剤師になるなんて、人生の数あるオプションのひとつにしか過ぎません。そして、薬剤師になることは目的ではありません、ただの手段のひとつです。(まあカネかけて6年も行くんだから薬剤師になるのは絶対条件だがな!)
薬学教育の中には面白いものがたくさんあります。現場に直結する臨床系の科目よりも、学生時代はめんどくせーと思う衛生化学とか微生物学とかの方が人生を豊かにします。臨床系のことは現場に出たらそれが仕事になるわけで、いくらでも実践で身につければいいでしょ。
そして、薬剤師のあり方も時代の流れでドンドン変わっています。「最先端でイケイケで今求められる薬剤師像」ってのは私が学部生の頃と今とではかなり違うと思います。
そもそも「最先端でイケイケで今求められる薬剤師」なんてのは、報酬改定の方針とかでガラリと変わります。あんなもん信じちゃいけませんし、あんなもんに左右される人生はたまったもんじゃありません。
大切なのは「自分で考えて時代にあわせて変わっていける」ことだと思います。今そこで業界の雰囲気みたいなやつが醸し出している「最先端でイケイケで今求められる薬剤師像」なんてのはあなたが必死になって国家試験通って社会人になった頃にはもうなくなってるかもしれない。そればっかり見て育ってしまったら、社会人になって時代が変わった途端にポッキリ折れる。「自分で考えて変われるようになる」には、学生時代に学生にしかできないアホなことたくさんするほうが大事じゃねーのかと思っているのですが、なかなか解ってもらえません。大学の先生方はもしかしたら腹の底では同じようなこと思っているのかもしれませんが、そんなことうっかり表で言うと親から苦情が来るので言わないだけです。酔わせたら言うと思いますが。
私は処方せんつまんねー、漢方面白いけどぜんぜんわかんねー、ってブラブラしてたら周囲の先輩が心配していい人に出会わせてくれて、まあ気がついたらこうなっただけ。学生時代は楽器持って遊んで、バイトして、女の子と遊んで、薬学と関係ない本を読んでました。
で、尊敬する先生とか教授とそんな話をしてみると、立派な先生方も実はだいたい似たような感じだったりします。スーパー薬剤師を目指して学生時代を過ごしていないの。同期の人間を見渡しても、社長や部長になっているのは教室の後ろで遊んでいたか、めったに教室にいなかった連中ばっかり。
ということで、意識の高い学生さんにとって私はどうみても感心な先輩ではありませんので、その点は了承の上、お付き合いください。
それから、私は立場も立場なので母校の大学を応援していますし、そこで学ぶ学生さんも応援していますが、別に母校が立派な大学だなんてこれっぽちも思っていません。
どっちかというと、もっとしっかりやれやコラ!なんじゃあの国家試験合格率はボケ!と机蹴飛ばしている方です。大学なんてそんなもんです。大学なんて大事にしなくて良いんです。大学もいずれどうなるかわかりません。それより、友達を大切にしたほうが良いです。いい年になってもアホなことできる友達を作ってください。