ジュブナイル・ドラマへの想い
こないだ、『ぼくがぼくであること』(山中恒、私が持っているのは角川文庫版、作品が世に出たのは1969年)を読みました。
この少年の冒険物語は、いつ読んでも面白いです。
その昔、NHKの少年ドラマシリーズでこの本がドラマ化されまして(1973年)、子供の頃の私はそれがとても好きでした。
そして同じタイトルの本を図書館で見つけて、読みふけりました。
角川文庫版を入手したのは、大人になってからですね。
※山中さんが妹尾河童の『少年H』の中の描写を疑問視し批判した『間違いだらけの少年H』を執筆したときに、自宅に右翼を名乗る者が脅しにきたのですが、そのとき奥様が、
「じゃあなた教育勅語を暗唱できる?」
と問うて撃退したエピソードが好きです。
エセやモグリが偉そうにするのをやっつけるエピソードは大好物です。
(『美味しんぼ』かっ?(笑))
この作品のことは置いておいて(← おいっ!?)、私はこういうジュブナイルが大好きなのです。
ここでいうジュブナイルとは、少年少女向けの物語のことです。
児童文学は今でも元気なのでしょうけども、テレビドラマは絶滅したと言っていいレベルですね。
(今はドラマと言えば大人に向けた作品だけです)
昔の少年ドラマシリーズ、後のドラマ愛の詩、『あばれはっちゃく』、『おもいっきり探偵団覇悪怒組』、『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』などなど。
ウルトラシリーズの端っこにある『電光超人グリッドマン』も、ジュブナイルドラマと言っていいでしょう。
魅力的なドラマたちも、アニメには勝てなかったようです。
※最近になってNHKで『アシガール』が放送されたことは、大きな驚きと喜びです。若君様がああいうことになってしまうと再放送もなくなりますけど……
※アニメではありますが、Eテレの『探偵チームKZ事件ノート』はジュブナイルとして楽しめました。
ジュブナイルというのは、大人にとっては非常識で馬鹿馬鹿しくてやってられないけれども、子供たちにとってはワクワクする物語であります。
(日テレの一部のドラマには近いものがあります)
たぶん一般的なドラマよりも難しい、その力加減が問題なのでしょう。
しかも実写だけに、子役の演技力がモロに問われます。
その点アニメは楽ですもんね。
『覇悪怒組』なんて、週イチで少年探偵団モノを見せてくれたわけで、本当に楽しみにしていました。
(上野めぐみは可愛らしかったなぁ)
『ちゅうかなぱいぱい』もいいエピソードが満載でね。
(小沢なつきがあんなことにならなければ……(← 今なら炎上モノ))
私が最高のジュブナイルドラマと思っているのは、マナカナが主演した『双子探偵』です。
これは本当によく出来たドラマで、原作をかなりアレンジして時代に合うようにしていて、ただ面白おかしいだけのドラマにはしていません。
マナカナの演技力もしっかりしています。
(原作ははやみねかおるの『名探偵夢水清志郎事件ノート』シリーズで、こちらは三つ子)
(他にも『天使みたい』とか捨てがたい名作の数々はあります)
※私は「聖地巡礼」なんて言葉がない頃からそれをやっていて、このドラマのもやってますけど、ネットでいい加減なミスを見つけることが多いのです。ちゃんと調べようよ!
こんな名作がソフト化されていないのですから、嘆かわしいことです。
もしかしたらCS放送の有料チャンネルで、こういったドラマが再放送されているのかもしれません。
いい作品は、それを見ることが出来なくなると無になってしまいます。
オリジナルのテープが消去されてしまった少年ドラマシリーズの多くは諦めるとしても、ほかは何らかの方法で見られる形で残してほしいと、切に願います。
昔なら年寄りの戯言で済ませてしまったことだとしても、今の技術なら容易いことだと思いますが。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。