メンソレータム? メンターム?
みなさん、薬局でよく見る「メンソレータム」と「メンターム」の違いってご存知ですか?
今回はそんなお話です。
話は明治時代の滋賀県から始まります。
1905年、八幡商業学校に英語教師としてやってきたウィリアム・メレル・ヴォーリズは、キリスト教の伝道もしようとして仏教徒の地元民と対立し、英語教師をクビになってしまいます。
その後仲間達と会社を設立し、アメリカの製薬メーカーのメンソレータム社と契約して、メンソレータムの日本代理店となります。
それが後の「近江兄弟社」です(祝100周年!)。
(兄弟で立ち上げた会社ではなく、キリスト教的な「ブラザー」という意味だそうです)
「メンソレータム」は、メンソール(Menthol)とペトロレータム(Petrolatum)を組み合わせた造語です。
苦労の甲斐があって、メンソレータムは全国で売れるようになりました。
その後色々あって会社が傾き、1974年に会社更生法を申請、メンソレータムの販売権も失います。
翌年、ロート製薬がメンソレータムの販売権を獲得し、1988年にはロート製薬がメンソレータム社を買収してしまいます。
近江兄弟社は大鵬薬品工業の支援を受けて再建を目指しますが、主力商品のメンソレータムは売ることが出来ず、その製造設備を使って類似商品を作ることにします。
元々「メンソレータム」は日本人には言いにくいとして、略称として「メンターム」という商品名を1967年に登録していて、それを使うことにしました。
まったく同じ成分ではダメなので、メンソレータムの成分の一つの黄色ワセリンを、メンタームは白色ワセリンにしたのです。
メンソレータム
製造・販売 : ロート製薬
含まれる成分 : 黄色ワセリン
シンボル : リトルナース
メンターム
製造・販売 : 近江兄弟社
含まれる成分 : 白色ワセリン
シンボル : メンタームキッド
まとめるとこういうことです、ややこしいですね。
ちなみに二つのシンボルマークのデザインはどちらも今竹七郎によるもので、オリジナルのリトルナースはメンソレータム社の創業者の孫娘がモデルと言われています。
1974年までは近江兄弟社のメンソレータムが売られていたわけで、中高年の中には覚えてらっしゃる方もいると思います。
ちなみに今人気のあるリップの一つが、ニベア・ディープモイスチャー・リップなんだそうです。
UVカットもしてくれるそうで、今度買ってみよっと(笑)。
薬局に行ってリップクリームを見たら、今回の話を思い出してください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。