「手書きは苦手」から考えたこと
前回「自分の手書きのあまりの遅さにイライラしてしまう」と書きました。
とはいえ、これは読書メモに関しての話。確かに「手書き」というものに苦手意識はあると思うのですが、公私に渡って毎日手書きもしております。
特に、コクヨさんの「測量野帳(SKETCH BOOK)」は30年近く使い続けています。
これまで深くは考えていなかったのですが、この機会に少し自分の手書き遍歴について考えてみることにしました。
かもしかの手書きへの苦手意識って、なんなのでしょう。
◾️ひとり考えながら書く、ということ(野帳遍歴)
自分が野帳を使い始めたのは、中学生の頃です。
山登りやバックパッキングが趣味だったので、当時憧れていたシェルパ斉藤さんと同じメモ帳を使いたかったのです。その頃愛読していた野田知佑さんや沢木耕太郎さんも普段からメモをとっているようだったので、自分も何かしら書かねば、と思ったのかもしれません。
中高生の頃は登山や旅の記録、料理のレシピ、学校や社会への批判等をつらつらと書いておりました。若さです。
大学時代には、ボランティア活動時の記録や考察を日記的に。そうそう、卒論でフィールド調査をしていたときの用途が、最も「野帳」的な使い方だったかもしれません。
前職はマスコミだったので取材メモや構成のアイディアメモが使途でした。取材時に常にポケットに入れておけるサイズ感と、ページ数的に1プロジェクトに1冊となることが多く、その薄さがちょうど良かったのです。
たったの40枚しかないので、頻繁に書き終わった達成感とリセット気分が味わえます。
今は、思いついたことや考えていることの思考ログを時系列で書き込んでいます。文章だったりフレーズを箇条書きにしたりと、書き方は色々です。
30年前と比べると若干値段は上がりましたが、変わらぬデザインがすてきです。
方眼タイプなので字の大きさが揃えやすく、図やイラストも描きやすいデザインです。
余計なことを考えずに使える。そこが好きです。
ここまでは特に苦手要素はありません。
むしろ、手書きが大好きな人の文章のように見えます。
おかしいな。
◾️話し合いを書く、ということ
メモ書きとは意味合いが異なりますが、書くと言えば大学時代はファシリテーション・グラフィックなるものにはまっていた時期もありました。
議論の流れをプロッキーで模造紙に書き表すことで、話し合いを整理しながら進行する技術のことです。
青木マーキーさんのミーティング・ファシリテーター養成講座に参加させていただき、基本的な色の使い方や、構造的にわかりやすく書くためのコツ、それと同時に書き表し方の自由さのようなものについても学ばせていただいたように思います。
ボランティア活動時の勉強会や会議の進行は言うに及ばず、10年あまり後に小学校の先生となり、黒板にチョークで書くときにも役に立ちました。
担任時代、子どもたちが学級会を進め、その流れを板書することがよくありました。話し合いの流れを書くことには、そこまで苦手意識を持たずに楽しんでできたと思います。
◾️傾聴しながら書く、ということ
いまの仕事の上でもっとも手書きが必要となるのは、保護者や子どもの話を聞くときでしょうか。悩みや困りごとについての話題が多いのですが、お聞きした話を整理しながら見せるためにペンで書くことが頻繁にあります。
そう、この「傾聴しながら手書きをする」というときに、若干苦手意識がわきおこるのです。
事実関係や思い、感情を話し手が整理しやすくするために書くので、シンプルに見やすくは当然として、どんな理解の仕方をする人なのかによって書き方を変えています。
短いフレーズにまとめた方が理解しやすい人
図で表した方が把握しやすい人
マインドマップがしっくりくる人
コミック会話(棒人間&吹き出し)が捉えやすい人
話した言葉をそのまま書き起こした方が、「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じる人
相手に合わせた書き方をするとなると、何に書くのかも変わってきます。
A4やA3用紙を使うこともあれば、付箋に書き出して操作したり、ホワイトボードを使ったり、iPadのGoodNotesを使うこともあります。
ここまではいいのです。書くことに集中すれば、それなりに相手に合わせて書くこともできます。
ですが、1対1で話しているときに書くことに集中していては、「ちゃんと聞いてもらってない」と相手に感じさせてしまいます。
傾聴において、書くことはあくまでプラスαに過ぎません。
一生懸命書いていては、本末転倒です。
このあたりに、私の書きの苦手さのポイントがありそうです。
そういえば、話を聞くときには、自分自身の振る舞いにも意識を向けるようにしています。
どんな表情で、どの程度の抑揚をつけて、どんな相づちを打てば相手は話しやすいか、自分を少し俯瞰するように注意を向けています。
なるほど。複数のことに意識を向けた状態で、書くことが苦手なのかもしれません。
◾️スモールステップで練習します
というよりも、かもしかは話を聞くときに色々やろうとしすぎている気がしてきました。
自分の目標を高くし過ぎて、書くことが苦手だと思い込んでいたのかもしれません。
子どもたちには、一つ一つ進めること、スモールステップの大切さを伝えていたのに、これはいけません。
今回この記事を書くなかで、少しばかり自分への分析を始めることができました。
もう少し低めの目標を再設定して、練習しようと思います。
まずは、自分で書いて見せたものをリライトして練習してもいいかもしれません。
というわけで、これを2025年のマイテーマにしましょう。
「欲張らずに、スモールステップで練習する」
来年もよろしくお願いします。