子どもがアウトライナーを使ったら、「作文」はもっと楽しくなるかも?
最近ある本を読んで、文章を書くのがかなり楽になりました。
著者はTak.さん。初版は2015年5月ですが、8年近く経った今も全く色褪せない内容です。
この本では、アウトライナーでの文章の書き方を2つに大別していました。
まずアウトラインを作り文章の構成を考えてから中身を埋めていく「トップダウン型」。
もう一つは、思いつくまま好きなように書いていき、後からアウトラインを組み立てていく「ボトムアップ型」です。
■「文を書く→構成を考える」って、楽です♪
これまで、私は典型的なトップダウン型でした。というより、それしか知りませんでした。
ただ、先に構成を考えてから文を書き始めても、その枠組みに文章が収まったことはほとんどありません。
色々と発想が浮かんでも構成に上手く嵌らず、活かせないまま持て余していました。
そうしてふわっと浮かんだ発想を削ぎ落とすと、後に残るのは面白くもない通り一遍の筋書きのみ。
ところが、ボトムアップ型で書くと、その発想を後から構成に活かせるんです。
文章の入れ替えや階層の移動がキーボードを叩くだけで簡単にできるからこそですね。
これは、私にとっては衝撃的なことでした。
同時に、ボトムアップ型の方が書きやすいのって、大人よりもむしろ子どもなんじゃないかな、と思ったのです。
(注)著者のTak.さんはボトムアップ型こそ至上!と言っているわけではありません。トップダウンとボトムアップを相互に行き来する「シェイク」と言うプロセスが大切だと語られています。詳しくは上記書籍をご一読ください。
■学校で教えている「トップダウン型」作文法
小学校の国語の教科書指導書には、文章の「はじめ」「なか」「おわり」を意識して指導するよう書かれています。
説明文を書くときも、物語を創作する時も、「はじめ」「なか」「おわり」の構造を意識して、と。
文章を書く前にはどんな内容にするか、ワークシートや付箋を使って「はじめ」から順に大まかな構成を考えて、それに肉付けをしていくように文を書く授業展開をされる方が多いように思います。(自分の周りだけでしょうか?)
これがトップダウン的な書き方ですね。
■子どもこそ「ボトムアップ型」の方が向いている?
でも、実際に書き始めると、子どもたちの多くがその「最初の構成」から思いっきり逸れていきます。
書くことで発想が広がり、筆が走るのでしょう。
ここで再構成して書き直してを繰り返すことができればいいのですが、紙と鉛筆を使った授業で時間内にそれを行うのはなかなか難しいのが現状です。
(また、多くの子どもにとって鉛筆での“書き直し”は苦痛です。)
結果、発想を飛躍させすぎて支離滅裂な文章になるか、構成から外れないように書かれた味気ない文章になるか…。
思いつくまま自由に書いて、後からじっくり構成を組み直すことのできる「ボトムアップ型」の文章の作り方って、本当は文章を書くのが苦手な子どもにこそ向いている作文法かもしれません。
■GIGA端末がある今なら、学校でもアウトライナーが使える!
ボトムアップ式の文章作成は、紙と鉛筆では難しいです。
KJ法のように付箋やカードに文章を書いて組み替える手法もありますが、付箋一枚に一文を書いて組み直すと言うのは、煩雑に過ぎます。
全児童にGIGA端末を支給されている今なら、アウトライナーを使って書けるんですよね。
もちろんタイピングができればそれにこしたことはありませんが、フリック入力や音声入力をしてからドラッグで入れ替えてもいいと思います。
残念ながら、学校の中では「文章を書けるようになる」という目的に、「鉛筆で文字を書くことに慣れる」と言う目的を合体しようとする教員の方が多いように思います。
もちろんそれが出来るに越したことはありませんが、文字を書くのが苦手でも(努力では如何ともし難い微細運動の苦手さを持った子もいますので)、文章を書くことそのものを楽しんでもらうのもありじゃないかな、と思うのです。
さて、ここまで書き連ねてから思ったのですが、すでに実践されている方はいないでしょうか?
「児童 アウトライナー」で検索しても全然ヒットしないのですが、これだけ情報端末の活用が進んできましたので、全国のどこかで誰かはやっているはずです!
ご存知の方がいらっしゃいましたら、どなたか教えていただければ幸いです。