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NiziUとコロナの2年半戦争

※本noteはCOVIT-19(新型コロナウイルス)の危険性や公的機関の対応の是非、ワクチン接種やマスク着用に対する賛否を問う物では決してありません。ご留意ください。



令和最強ガールズグループ。
某トーク番組が初出の肩書きですが、新元号の2年目にデビューし、破竹の勢いで数々の偉業を成し遂げてきたNiziUの9人にはピッタリです。

ですが、ここには避けては通れないもう一つの顔が存在します。それが「コロナ禍のアイドル」という側面。
パンデミックと共に誕生し、活動3年目となる今日に至るまでウイルスに振り回され続けるグループは有史を振り返っても極めて稀でしょう。

そんな憎き疫病も徐々に鳴りを潜め始め、イベントにおいても「有観客」「オフライン」という文字が目立ち、活動範囲・規模も本来あるべき姿に戻りつつあります。

そして今年の更なる飛躍を期待する上で、今回はコロナウイルスが9人に、運営に、WithUに、何をもたらし何を奪っていったかという観点から、私見と推測を交えながら約2年半を振り返っていきます。

・2020年上中旬  虹プロ〜プレデビュー(Make you happy期)

2019年終わりに中国で観測された謎のウイルス、程なくして日本でも感染が確認、緊急事態宣言の発令。
半ばパニック状態にあった日本社会において、夢を追いかける彼女たちの姿は誇張なしに希望の光でした。

自粛生活により本来視聴しなかったはずの層がスッキリに釘付けとなったのも追い風となりました。僕含め「コロナが無かったら虹プロやNiziUに出会わなかったかもしれない」方は沢山いらっしゃるはずです。
こうしてNiziU並びにMake you happyは、文字通りのロケットスタートを切ることとなりました。

想定以上の幕開けに運営側は嬉しい悲鳴…と言いたいところですが、現場単位で見ると悲鳴の音の方が大きかったように思えます。
例えるなら、キャパシティを遥かに超える金額が急に口座に振り込まれるようなものです。1万円を1,000万円にすれば賞賛されますが、1億円を1,000万円まで減らしてしまうと「勢いが落ちた」と蔑視されかねません。

そういった内外からのプレッシャー、そしてコロナにより一旦白紙となった活動スケジュール。
自由に日韓を渡航できない環境下で運営が採った方針は、カムバ方式のオンとオフの濃淡を本来よりも強めるというものでした。


・2020年下旬 デビュー(Step and a step期)

この時期のNiziUはまさに「時の人」。
表では様々な音楽番組やバラエティ番組に引っ張りだこ、裏では錚々たる企業のタイアップCM撮影や雑誌取材に臨みました。各SNSを覗けば“縄跳びダンス“があちこちで流れ、「NiziU旋風」はどこにいても感じることができました。

普通のアーティストが一生かけても積めないかもしれない経歴を僅か3ヶ月で塗り尽くしたNiziUですが、この期間の実態がそれほど華やかだったかは疑問が残ります。
少し前まで"Ordinary girl"だった彼女たちにとって、確かに「メディア慣れ」の時期は必要だったのでしょう。しかし、あれだけ心身に負担のかかる過密スケジュールを8人で乗り越えなければならなかったのは、やはり荒治療であったと思わざるを得ません。

コロナによって想定より増えたであろう仕事量を、コロナに伴う隔離のせいで短い日本滞在期間に詰め込まなければならない。その功罪は、日が経つごとに疲れが見えるメンバーの表情に表れていました。
NiziUの知名度は間違いなく確かなものになりましたが、当時の運営方針が正しいものであったか、僕の中では答えが出ていません。


・2021年上旬 Take a picture/Poppin‘ Shakin‘ 期

2021年は両A面シングルのリリースから始まりました。片や1月からCM起用、片や2月にデジタル先行配信という抜かりないプロモーションを振り返ると、6月プレデビュー→12月デビュー→翌年4月シングル発売までは、グループ結成当初から予定されていたのではないかと思います。

逆に予定が泡と消えてしまったのはショーケース。ここからは完全に憶測となりますが、当初は5~7月の開催が予定されていたのでは? と考えられます。

上記2曲リリース時点でセットリストを組むには十分な曲数であったことや、“ライブ映え“する曲ことFESTAが4月に先行公開されたことも考慮できますが、やはり一番の根拠となるのは後述する空白期間の存在。
いずれにせよ感染爆発に伴う第3回緊急事態宣言と緊迫した情勢と共に、NiziUお披露目の舞台は幻となってしまいました。


・2021年中旬 Super Summer期

「極寒の夏」「氷河期」「ダントツの不遇曲」… この時期を称する題目は、どれも不名誉なものばかりです。
仕方ありません。デジタルリリースかつMVも振付も公開されないような十分とは程遠いプロモーション。その他ビハインド等のコンテンツもそれをカバーできる水準ではありませんでした。

ですがもし、この期間にツアー規模でSCが開催されていたとしたら?
2022年を経験した僕達は既に分かりますが、ツアー期間中はもちろん、公演前はTeaserやグッズ販売、その後はビハインドや一部曲のライブ映像公開など、長きに渡ってコンテンツは途切れません。
もし開催されていれば、Super Summerは「アルバムまでの繋ぎ」ではなく、「SCで初披露され勢いづける曲」となり、2021年…いや数年後までの活動計画すら全く別物だったかもしれません。

この視点を持つと見えてくるのが、SUPER SONIC 2021出演の背景。
スパソニ出演発表時にSCの開催も近いのでは?と盛り上がった記憶がありますが、実情における因果は逆で、年内でのSC開催の芽が無くなったからこそフェスへの参加をこぎつけたとすれば…
出演者の中でも一際異色なNiziUが、単独ライブよりも先に夏フェスのトップバッターを飾ったことにも辻褄が合います。

夢のない話のように思えますが、その後のバズリズムライブや翌年のライブツアー,ドリフェス等に繋がる経験になったと考えれば、当時の情勢下で有観客開催に踏み切ったスパソニ運営陣には未だ足を向けて眠れません。


・2021年下旬 Chopstick期

4月のシングル発売から実に7ヶ月後の発売となった1stアルバム『U』。その7ヶ月が全てアルバム作成期間だったかというと決してそうではなく、デビュー以降まとまった時間を作れずにいた実力の底上げに費やされたと思われますが、その答え合わせは翌年以降となります。

当時は「Take a picture の年」という印象が強かったのですが、長い目で見れば空白期間における練習時間こそが2021年の本質だったと考えると何とも皮肉な話です。

さて話は逸れますが、虹プロ当初から彼女たちの一つの武器は「親近感」でした。
いつかどこかですれ違ったかもしれない素朴な子達が、オーディションを勝ち抜きスター街道を駆け上がっていく。その反面、リアリティショーでは年相応の姿を見せてくれる。そんな“精神的な“近さは今でも色褪せません。

しかし残酷にも“物理的な“距離は真逆で、アリーナツアーまでにWithUがNiziUを生で目にできた機会は2度のフェスのみ。(※ロケ地での遭遇や歌番組の観覧は除く)
コロナという見えない壁に阻まれ、我々にとっての9人はいつまでも遠い存在でした。

だからこそ、NiziUの楽曲には初期からどこか切なさ・儚さを纏っていました。まるでWithUのじれったさを投影するかのように。
その想いが具現化されたのが初のファンソングとしてリリースされたNeed U。そして“会えない“ことに対するテーマはその1年後のとある曲にも受け継がれていきます。
元気で明るいイメージが根強いNiziUにとって、こうして曲や表現の幅が自然と広がったことは、コロナがもたらした数少ないメリットかもしれません。


・2022年上旬 ASOBO期

グループ2曲目のデジタルシングルとなったASOBO。某前例を思い出して眉をひそめる人も少なくありませんでしたが、待ち構えていたのはその不安を取っ払うかのようなプロモーション。
周到なスケジュールから始まり、作り込まれたMVやグッズ販売。韓国にいながら日本の音楽番組にも出演し、言わば実物のCD“だけ“が無い状況でした。

そしてこれから世界を股にかけるであろうNiziUにとって、どこにいても日本で存在感を発揮できるノウハウを確立できたのは、かなり大きい成果だと言えるはずです。


・2022年中旬 CLAP CLAP期

待ちに待ったアリーナツアーが発表された5月20日以来、NiziUもWithUもまさにライブ一色となりました。まるで2年間の鬱憤を晴らすかのように。

その歓喜の渦の中で割りを食ってしまったのがCLAP CLAP。“ライブ映えする曲“と“ライブのための曲“は似て非なるもので、この曲はどう捉えても後者でした。

素晴らしい曲と素晴らしいライブであったことに異論はありません。それでも、いやだからこそ、大事な3rdシングルがライブの一部分を過ぎなかったのが惜しく思えるのです。
しつこいようですがもしSCが無事開催されていたら、これほどまでにライブ一辺倒にならなかっただろうと考えると、コロナウイルスはここにも影を落としました。

そして触れねばならないのがメンバーの感染
アリーナツアー初日を控えた7月には計5人が陽性判定を受け、神戸公演が延期・2つの音楽番組出演がキャンセルに。11月にはマコとリクの2人の感染が確認され、MAMAはリクを欠いた8人での舞台となりました。

コロナから得た恩恵は無視できません。それでもこうしてスケジュールやパフォーマンスに実害が生じたこと。そして何よりも、メンバーを大事に至るリスクに晒し健康を害したこと。これだけでもウイルスを憎む立派な理由になります。


・2022年下旬 Blue Moon期

10月に水際対策が大幅に緩和されて以来、NiziUの日韓渡航頻度は一気に増えました。裏返せば、これまでいかに隔離期間が活動の足枷になっていたかを実感させられます。

…ちなみに「メンバーが2週間実家でゆっくりできるから隔離期間はメリット」という意見に対して僕は懐疑的です。
1日も無駄にできないアイドルという職業において、じっと動けない2週間に焦る気持ちがあったかもしれません。その心情を知るのは彼女達のみだからこそ、善意100%だろうと「ゆっくりしてほしい」はファンのエゴに思えてしまいます。

閑話休題。この期間のNiziUはドームツアーにMAMAやAAAといった(準)海外活動、番組出演などの合間にリアリティ撮影もこなす充実の日々でした。
コロナによって断続的になってしまったものの、本来はこのようにバランスの取れた活動が理想だったのかもしれません。

CLAP CLAPで単独ライブという経験できずにいた日常を取り戻し、Blue Moonを置き土産としながら、AAAでも披露されたASOBOを挑戦状として渡航障壁が下がった世界へと歩みを進める。
2022年を以てようやく、結成前から苦しめられてきたコロナとの戦いは一区切りついたのではないでしょうか。



まとめると、コロナがプラスに働いた点は
・自粛によって得た視聴者を取り込み、スタートダッシュに成功したこと
・デジタルシングルによる活動ノウハウをいち早く獲得できたこと
・彼女達のキャラクター上難しいであろう“切なさ・儚さ“という表現の幅を広げられたこと

以上が挙げられます。

逆にマイナス面は
・渡航制限により断続的な活動方針を取らざるを得なかったこと
・ショーケース中止
・メンバーの感染による諸弊害
・隔離期間によるタイムロス

このあたりでしょうか。(※再三申し上げますが私見マシマシです)

…さて、先般「一区切りがついた」と述べましたが、コロナによって成し遂げられていない項目はまだまだあります。
一つはFESTAの存在。3月の「ユニ春!ライブ2023」にてUSJでの披露が発表されました。2年前に置き去られてしまった忘れ物を、一回りも二回りも成長した姿で取り戻します。

もう一つはライブでの声出し。今までの感謝を、感動を、思いの丈を声に乗せてぶつけ合う。NiziUとWithUにとってのParadiseはすぐ先にあると信じて締めくくります。


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