CLAP CLAPとこれからのリク
「…いつものNiziUの曲と明らかに違う」
初めて聴いた時の感覚は、皆さん共通していたはず。
では具体的に何が違うのか?
確かにこれまでのタイトル曲において、これほどクールな曲調は他にありませんでした。しかし2周、3周とするうちに、より目についたのは歌割りの特異さ。いつでも挑戦することならできた新しいコンセプトよりも、本質的にはむしろこちらの方が重要かもしれません。
多少変化はあれど、今までのNiziUの曲において各メンバー、もとい各組の役割はほぼ決まっていました。
マコリクがサビで土台を作り、リオマヤアヤカがキーリングパートで曲を彩り、リマユカがラップをぶちかまし、ミイニナがその歌唱力で曲のレベルを上げる…といった具合に。
想定できる「役割固定」の意図は主に2つ。
1つは、一度聴いただけで「これはNiziUの曲だ」と、強く印象づけるため。
カムバ方式を取り、年中音楽番組に出演するわけではないNiziUにとっては決して無視できない効果があるはずです。
もう1つはパートを専念させることにより各々の強みを活かし、伸ばすこと。発展途上のままデビューしたNiziUにとって、普段の練習にて基礎能力を底上げしながらパフォーマンスの質を担保するには最善の策と言えるでしょう。
ところがこの「分業制」は、ASOBOにてその外壁が剥がれ、CLAP CLAPでは目に見えるように瓦解していきました。基本マコリクが担っていた1番サビはマユカから始まり、ラスサビまでまさに全員総出でパズルを埋めていきます。
この変化をもたらしたのは他ではないパフォーマンス力の底上げでしょう。誰もが踊って歌える、製作陣からそんな信頼を勝ち得たからこそ、パートごとにメンバーを固定せずに(いい意味で)遊ぶことができる。そこで化学反応が起きれば次に繋がる…という好循環が生まれます。
そして何より、オーディション以来「個」の成長にフォーカスされがちだったNiziUが、「チーム」の成長として明確な形を生み出した。この一歩はとてつもなく大きいと思うのです。
…と、ここまでが前置き。今回焦点を当てたいのは、もちろん我らがリクです。
元来の彼女の役割を言語化すると「難しいことを難しく見せずに土台を作る」、いわば仕事人といったところでしょうか。難しいパート、つまりダンスの見せ場でありながら歌唱力を求められるサビを任せられ続けたのは何らおかしくないはずです。
ただそのサビが各メンバーに散らばった今回、リクの役割が大きく変わったとは思えません。
MVでは目立たなかったものの、パフォーマンスでは一目瞭然。頭を振りながら軽々と歌い上げるその姿を見ると、順当に成長しながら更に一段階上のタスクを任されていることがわかります。
そしてこの「目立たなかった」ことにも良い面があるのも実情。というのも、アーティストに限らずスポーツやビジネスの分野においても、リクのような仕事人タイプが目立ち過ぎないことは強い組織の特徴として挙げられるからです。
でも、いるんですよ。同じタイプでありながら、今回の曲で自らも強く目立った常識外れのバケモn Super girl が。
…僕はこれまで、「リクのライバルはニナ」と思い込んでいたんですよね。いや別に間違っていたとも言い切れないんですけど、「もしマコリク以外がサビを担ったらどうなるか」まで考えが至っていなかったんです。猛省。
マコとリク、それぞれに強みと良さがあるのは周知のことなので比べるような馬鹿なことはしないとしても、これからも9分割された少ないパイを2人が奪い合いそうだ、ということは容易に想像できます。
本人がどう捉えているかは知る由もないので置いとくとして。
このまま自分の強みを貫き磨き続けるか、また違う武器を身につけて新たなポジションを確立するか… 新曲を通じて一番大きな分岐点に立ったのは、他ならぬ彼女だと思うのです。
これも個人的な意見ですが、アーティストは皆エゴイストな一面も持ち合わせて良いと思っています。優しすぎる NiziUは特に。
もっと目立ちたい、ステージ上では私が一番だ。表現の世界において、決して間違った姿勢だとは思えません。たとえグループの一員だとしても。これまでのリクの言動やJ.Y.Parkから受けた言葉を振り返ると尚更です。
だからこそ僕は、虹プロで再三見せてくれたような彼女の爆発的成長に期待したい。大江梨久のポテンシャルはこんなもんじゃないぞ、と。
メキハピのサビも、テカピクテイカーのジャンプも、スパサマのフェイクも、全てを過去にするような彼女の進化が近い将来に形となり、そのきっかけとなったのはCLAP CLAPだった…という想像を膨らませると、ライブや次のカムバがより楽しくなるはずです。
いつか来るその日まで、今はWaku Wakuを貯めておきましょう。