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フィンランド・グラスアート展@東京都庭園美術館
ぐるっとパスを利用して東京都庭園美術館で開催中の「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」展へ行ってきました。
先週の上野に続いて今度は目黒で「サマーナイトミュージアム」
17時から21時(入館は30分前)までで、入館料も一般・65歳以上は団体料金、学生は無料に。
夕涼みに・・・とはいかない暑さでしたが、館内はガラスの輝きもあってかひとときムシムシした外気を忘れて楽しめました。
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北欧デザインに魅かれる人は多いと思いますが、わたしもそのひとり。
アルヴァ・アアルトのフラワーベース、カイ・フランクのティーマプレート、ティモ・サルパネヴァのキャセロール。これらを実際に毎日のように使ってその実用性とデザイン性の高さを納得しているだけに、今回の展覧会はとても興味深いものでした。
彼らのデザインの源泉と作品になるまでの試行錯誤とはどんなものか。出展されている芸術的志向の高いプロダクトは「グラスアート」と呼ばれ、ロシアから独立した1917年以降、国民としてのアイデンティティを取り戻そうとする人々の動向のなか、フィンランドらしさとは何かを模索しつつ現代の生活によりそうモダン・デザインとして次々と生まれたアート・ピース。
厳しい自然やその歴史を取り込みながらもどこかおおらかで親しみやすさのある作品たちに、日本の簡素で無駄を排除したシンプルな「用の美」に通じるものを感じます。
展覧会の構成は
第1章 フィンランド・グラスアートの台頭
アルヴァ・アアルト/アイノ・アアルト
グンネル・ニューマン
第2章 黄金期の巨匠たち
カイ・フランク
タピオ・ヴィルっカラ
ティモ・サルパネヴァ
オイヴァ・トイッカ
第3章 フィンランド・グラスアートの今
マルック・サロ
ヨーナス・ラークソ
作品は制作年代順に展示されていて、デザイナーの個性とデザインの変遷を旧朝香宮邸の各居室を巡りながらみられる贅沢。展示形式ではあるものの、美術館のいわゆる箱型の展示スペースではなく邸宅内での展示というのがグラスアート作品にとっても最良と思われました。
インテリアとして居室に置かれるアートとして、作品が置かれる場面を具体的にイメージできたのはとても良かったです。クラシカルとモダンの融合がそれはそれは素敵でした!
では、気に入った作品を。
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いちばん最初に撮った作品。花を活けているイメージがすぐに湧いた。
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思い出したよね、映画『かもめ食堂』でスーツケースにびっしり詰まったキノコ。
クラゲのような浮遊感もあるひらひらした曲線が魅惑的。
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テラス手前にあったこの作品は、照明の当てかたもあってかとても印象的でした。
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タイトルはシベリウスの『フィンランディア』から。雄大な自然を感じる。
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カーテンレールに仕込まれた照明器具に感心する。おうちを傷つけないように、でも作品もキレイに魅せたい、の工夫が。
実際には、もっと窓辺に寄せて自然光が差し込むのがいいのでしょう。時間と共にガラスの光がうつろう様は想像するだけでため息もの。
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個人的にはこの辺のモダン・デザインにビビビッときました。
篠田桃紅さんの作品と共にモダンな和室に設えてはどうだろう。
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オイヴァ・トイッカの作品は、どこかとぼけた感じと愛くるしさが最高!
このボンボンのちいさいの、いいな〜かわいいな〜と思うのだけどお値段はかわいくないのでお迎えできない〜🤣
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窓辺に並べると透過した光に輝いて美しいシエッポと、松の樹なんですね〜
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北欧神話に登場する宇宙を貫いてをそびえる大木ユグドラシル。
神オーディンがその木に吊り下がって自分の体を槍で突き仮死状態からルーネ文字を発明したとされます。文字の発明は知識、知恵の源泉。タイトル「知恵の樹」からそれを思い出したのですが、果たしてそこからインスピレーションを得たかは知れず。
フィンランド独自の神話ってあるのかしら?・・・美しさに惹きこまれながらそんなことを考えていました。
最後は現代のアーティスト、マルック・サロやヨーナス・ラークソ。
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マティス展とどちらか一つにしようと思っていた図録は、このフィンランド・グラスアート展の図録に決めました。
まだまだ紹介しきれない美しいグラスアート作品。クラシカルな邸宅でみるモダンデザインのフィンランド・グラスアート。どちらかというと使う商品としてのプロダクトへの関心から出かけましたが、デザイナー自身と作品、という関心へも広がってこれから違った角度でみることができそうです。いい夏の思い出ができました。
展示されているデザイナーたちの小さく実用的なアートピースを生活に取り入れたいなら、イッタラ(iittala)の店舗を訪ねてみてください。カラフルに暮らしを彩るユニークな日用品は使ってみると手によくなじんでシンプルデザインの良さを実感しますよ!
会期2023年9月3日までです。