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チャートを形成する買い手と売り手の心理が全く分からなかったあの頃の自分に送る手紙。

私がトレードを学び始めた頃は、「ダブルトップは下落のサイン」といった断片的な情報だけをインプットし、実践でかなり負けた記憶があります。環境認識を正しくできていなかったんですね。

一方で、ダブルトップは下落のサインというのは間違いではなく、所定の条件下においては、ダブルトップが出現すると機能することが多々あります。しかし、「何故、下落するのか」は、当時の私には説明ができませんでした。

最近はというと、FXのシミュレーターで検証をしているときに、買い手と売り手の心理をマルチタイムで読むことの大切さを身に染みて感じています。(これはほぼ全て師匠である青牛さんのおかげ。詳しくは別のnoteを読んでください。)

このnoteも人のためというよりは自分の頭の中の整理として作成しました。相場は様々な要素で成り立っているので、一概には説明できませんが、気づきがあれば更新しようと思っています。(間違っている部分もあると思うのでご自身で解釈してください。投資は自己責任でお願いします。)


イントロダクション:株取引の板情報(気配値)で考えると買い手と売り手の心理が分かりやすい

さて、チャートが形成されるときの買い手と売り手の心理を考える上で、株取引の板情報(気配値)を使うと、何故、そのような動きをしたのか、これからどのような値動きが発生するのか予測する助けになります。

FXの世界には、株取引のような板情報はありませんが、ローソク足単体やそれらの連続性を見ることで心理を想定することができると思います。

今回は、起点となる価格から上昇し、押し目をつけて、トレンドが継続するパターンについて、買い手・売り手の心理がどのように変化するのか考えてみたいと思います。

1.為替取引が成立する条件とは

まずは、為替取引が成立する価格=現在価格となります。
たとえば、「1ドルを100円で売りたい人の売り注文」と「100円で1ドルを買いたい人の買い注文」が合致することで、為替取引が成立します。

FXや株取引の目的は儲けることですから、買い手であれば、今後、価格が上昇が見込まれるのであれば、「できる限り安く買い、高いところで売りたい」と考えるのが基本になりますし、売り手であれば、できる限り高いところから売り、安いところで買い戻したいと考えるわけです。

これらの「儲けたい」といった思惑が現在価格を動かしていく要因となります。

2.板情報(気配値)とは

これはあくまで株取引の板情報ですが、FXにおいても、現在価格(為替取引が成立している価格)を中心に、チャート上には見えませんが、各価格帯において、成り行き注文を含む未成立の買い注文と売り注文があります。(oandaのオーダーブックとかは別議論になるので置いておきます)

3.価格が上昇するとき

次のようなドル円の仮想板情報があると仮定(分かりやすいように10円刻みに1つずつ買い・売りの注文が入っているとします。ドル円がそんなに価格になるわけないだろ!という指摘はやめてくださいね。)します。現在価格は1$=100円とし、値動きの始点も100円から動くとします。

ここで、何かしらの理由で今後の上昇を見込んだ人が1$=110円の売り注文に対し買い注文を入れ、取引が成立したとします。そうすると、現在価格は、1$=100円から1$=110円となり、次の売り注文は1$=120円となります。1$を買うには120円が必要になるわけです。これに伴い、値動きも先程の100円から110円に上がります。

この価格の上昇がこれが呼び水となって、「これから上昇するならば、できる限り安い価格で買いたい」と思う買い手が、元々の買い注文価格を諦め、これまでよりも高い売値に飛びついていく(勿論ついていかない人もいる)こととなります。これらの連続により、価格が1$=160円まで上昇すると仮定します。値動きもこの動きに応じて上昇ラインを描くことになります。

ここで一度、買い注文も売り注文もリセットされた状態にします。

4.押し目を付けてさらに上昇するとき

このように、ある程度、上昇すると、当然ですが利益を確定したい心理が働きます。これまでの流れでいえば、1$=50円~130円で買った人は確実に利益が出ている状況です。利益確定をするには、買ったものを売るわけですから、160円~140円の買い注文の価格に対して売り注文を出すことになります。

上記のとおり、赤枠の価格帯で買いポジションを持った人のうち、3人利益確定すると、160円から140円に下がることになります。

上記の利益確定と同じタイミングで、
「ここまで上昇したんだから下落が始まるかもしれない」と売り注文を入れる人(画像の水色○部分)が出てくるわけです。このように特段の根拠もなくそろそろ下がるだろうと考えることをギャンブラーの誤謬(ごびゅう)といいます。

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しかし、利益確定する人はこの3名で終わったとすると、さっきまで1$=160円だったのが、140円~150円で買える割安状態になります。

そうなると、買い手は少しでも安い金額で買いたい生き物ですから、1$=140円~150円を狙って買い注文を入れていくことになります。

1$=140円~150円で買われると、価格が上昇するため、買い手側は「やっぱり上昇トレンド継続だ!」と判断し、少しでも安く買いたいと160円以上になっても買い手がどんどん売り注文を買い、価格が再度上昇していきます。

これと同時に、先ほど登場したギャンブラーの誤謬(ごびゅう)により「ここまで上昇したんだから下落が始まるかもしれないと売りでエントリーした人」が何を考えるかというと、建値を超えて、価格が上昇していくわけですから、「このままだとマイナスが膨らんでやばい!」と考え、損切りを1$=180円の時点で入れるなどして、損切り(買い)を確定させます。

つまり、押し目を付けた後の買い手は2種類の人種がおり、

・上昇を見込み、買い注文を入れる人
・下降を見込み、売り注文を入れたが上昇したために損切りする人

が生まれるわけです。意味合いは異なりますが、注文の執行は同じ「買い」ですから、価格がどんどん上昇することになります。

5.上昇トレンド継続の可能性が過小評価から過大評価に変わる

ここで、上昇トレンド継続の可能性について考えていきます。
当初は、ギャンブラーの誤謬(ここまで上がったんだからそろそろ下がるだろうという心理)により、上昇トレンドは過小評価されていることになります。

しかし、先ほどの「新規買い」と「損切による買い」により、価格の再上昇が続くと、「これはまだまだ上昇トレンドが継続するはずだ」と過大評価に変わります。

一方で、過大評価が続くと、再度、ギャンブラーの誤謬(ここまで上がったんだからそろそろ下がるだろうという心理)が再度発生し、過小評価→過大評価→過小評価・・・と繰り返され、上昇トレンドが継続することになります。これが、上昇トレンドが継続する理由の一つです。

6.トレンドが転換するとき

当然ですが、上昇トレンドが継続し続けることはありません。どこかで必ず下降する場面が出てきます。有名なトレーダーであるラリー・ウィリアムズの著書にも、次のような記載があります。

「市場が天井を付けるのは、売り圧力によるものではなく、買い手がいなくなるからである。市場が大底をつけるのは、買い圧力によるものではなく、売り手がいなくなるからである。市場が安値近くで引ければ、それはみんなが売ったことを意味し、そのあとは上昇に転じる可能性が極めて高い」

ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版

このことを先ほどの板情報に置き換えて考えると次のような状況かと思います。

通常は、ここまで一直線に落ちることは少ないと思いますが、現実的にはもう少し新規の買い注文や利益確定の売り注文が入ることで、チャートっぽくなるわけです。このチャート形状になれば、誰でも理解ができる三尊が形成されるわけです。(反転する価格帯等は適当です。)

7.この値動きが各時間足において発生している

トレーダーには、
・スイングトレーダー
・デイトレーダー
・スキャルパー

など、様々な時間軸で取引きをしている人がいます。

それぞれの時間軸で、前述した買い手と売り手の人間心理を反映した値動きが発生しています。これが、「相場はフラクタル」といわれる所以で、異なる時間軸であっても、人間心理は同じなので、各時間軸で同じような形状のチャートが形成されるのはこのためだと思われます。

8.結果的に生まれる値動きはローソク足によって表現される

このような人間心理の結果、生まれた値動きは、ローソク足などにより表されます。ローソク足はこの値動きを横軸の時間軸(1分足、15分足、1時間足など)で区切られて表現された断面図ともいえます。FXの場合は、このローソク足を見て値動きを把握し、それに裏打ちされた相場参加者の心理を考えられるようになるとよいのかなと思います。

9.応用するとマルチタイムフレーム分析やチャートパターンの理解も深まる

この値動きの買い手と売り手の心理を理解すると、「上位足では下降トレンドだけど、下位足ではダブルボトムを付けようとしているから、この反発を狙おう。」といった、いわゆるマルチタイムフレーム分析やチャートパターンの理解が深まると思います。

ここから先はご自身のためにも、自分で手を動かしながら考える事をお勧めします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。



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