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陰謀論者とは何者なのか3|確率的テロリズム
確率的テロリズム(Stochastic Terrorism)とは、政治家や影響力のある人物が扇動的な言葉を使って情報を発信することで、聴衆から過激な反応を引き出し結果として破壊行為、暴力行為が発生する事象を指します。
多くの聴衆のうち、少なくとも 1 人が煽動に応じて行動するという統計的可能性に依存しており、情報の発信者は行動を直接命令したり指導したりする必要はありません。極端な行動を促すために陰謀論などの物語を継続的に発信するだけです。
確率的テロリズムの特徴
デマの流布
陰謀論者は、特定の集団や個人に関する捏造された情報や歪曲された情報を流布して、敵意や憎悪を増幅させます。
差し迫った危険や脅威を強調した物語を提示することで、誤った道徳的義務感を作り出し、過剰な反応を引き起こす可能性を高めます。
予測不可能な反応
陰謀論のメッセージを受け取る聴衆の中には、過剰反応を示す個人が含まれている可能性がありますが、その結果は、発信者の意図や予測を超えたところで発生するため「確率的」とされています。
責任の回避
陰謀論者は、実際に事件が発生したとしても、直接的に行動を指示したわけではないため、法的・道徳的責任を回避することができます。彼らは、自分の言葉が事件を引き起こす意図はなかったと主張し、実際の行動を起こした者を切り捨てることが可能です。
相関関係と因果関係
確率的テロリズムの研究では、相関関係に着目し、特定の人物やグループが過激な発言や誹謗中傷を行った後、暴力行為が発生する確率が高まると指摘しています。
相関関係とは、二つの出来事や行動が統計的に関連しているが、
一方が必ずしも他方を引き起こすとは限らない関係を指します。
広告の効果を評価する際に、消費者がブランドに好感を持つことで、そのブランドの商品を購入する行動を取ると考えることと同様に、特定の言動が特定の行動(暴力)を誘発する可能性があるという考え方です。
事件ついて犯行の因果関係に着目した場合は、犯行の責任は犯人に帰結します。 それと同時に、犯行動機の因果関係は、犯人の証言や証拠から特定されます。
ポール・ペロシ襲撃事件の犯人デビッド・デパペは、犯行の動機について陰謀論との関係に言及し、犯行を助長させたことを認めています。
参考資料
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3149103