陰謀論者とは何者なのか7|透視能力
陰謀論は、その成り立ちからして、他者に依存した存在という特徴があります。陰謀論者は、特定の対象を非難することで、自己の存在価値を表現します。
対立する相手を必要とするというのは、最終的に自己の存在が不要になるという結果をもたらすため、自己矛盾した存在に見えます。一般的に対立が生じている場合、問題に着目して解決が図られます。陰謀論者は問題自体を直視しないので、対立が維持され相手に依存する状態になります。
透視能力の発現
陰謀論者は敵の実体や状況が曖昧であっても、自己の解釈を最優先して、
単純化された仮想敵を構成します。敵の内部の仕組みを想像し、組織的な腐敗、秘密活動、悪意について、あたかも見てきたかのように描写します。
そこから不正や脅威を説明する説得力のあるストーリーラインも提供します。仮想敵が明確な形を持つことで、集団内での共通の敵意が育まれ、敵に対抗するための団結が促進されます。
物語による正当化
仮想敵が巨大で悪意ある存在として理想化されると、敵との闘いは劇的になり、集団の目的が正当化されるように見えます。自己を正義の側に置き、敵を打倒するという物語は、集団に目的意識をもたらします。
敵をラベルで絶えず言及することで、敵が誰であり、何を支持しているかについての集団の認識を強化し「私たち対彼ら」の二分法が生まれます。
物語的解説
陰謀論者は仮想敵との戦いについて、現在進行中の闘争として頻繁に解説を行います。敵の行動に関する最新情報、予測、解釈という形で示され、陰謀の真実性の証拠として提示されます。
状況をライブとして表現することで臨場感を高め、信者を感情移入が促進され、ドラマの参加者であるかのような気分にさせ、陰謀の物語に深く引き込みます。
現実との乖離
仮想敵との闘いが進むにつれて、敵の理想化が進むと、実際に対立する相手と仮想敵のイメージの乖離が大きくなり、一貫しなくなります。
集団内でも敵に対する認識に矛盾が生じますが、それでも仮想敵への対抗は続けられます。信者にとっては、整合性よりも一貫した敵対意識が優先されます。
仮想敵の存在が長引くことで、陰謀論集団は敵に依存するようになり、
敵が存在し続けることが集団の存続に不可欠となると考えられます。