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Indian Matchmaking

Netflixおすすめ番組。
最近インド料理をよく食べることもあり、現代インド人を知りたくなり検索したらヒットした番組。

「Indian Matchmaking」
インドのムンバイを拠点に活動する婚活アドバイザー、シマのもとへ依頼した男女を追いかけるドキュメンタリー。
それぞれが希望を挙げ、シマが依頼者の中から候補者を選び出し、まずは1時間のデートをセッティング。場合により家族も同伴。
双方が好印象を持てば各自コミュニケーションを深め、結婚へ向けての相違を確認していく。
その過程から見えてくるインド人の価値観、「家」を大事にする伝統的な風習、現代の若者の葛藤、などがとても面白かった。シーズン1しかないようだが続きも見てみたい。
興味深かった点を箇条書きに。

・ひとくくりに「インド人」とまとめられない多様な国民性


 インドは国内の民族が多様で、言語も地域によって異なる・・・というのは私もなんとなく知っていたが、国外へ移り住んだ移民も含めると、その多様性は想像に難しいほどと実感した。
 番組ではムンバイ在住のインド人と、アメリカに移住したインド人それぞれが取り上げられていた。
 親世代がアメリカへ移住したインド人の若者は、言葉はもちろんネイティブ、生活様式もアメリカに馴染んでいた。特に女性は弁護士や事業家など経済的に自立した人ばかりで、「嫁に行きたい」というより「生涯のパートナーが欲しい」という希望。相手をインド人に限定しなくてもよいのでは?とも感じたが、ルーツを大事にしたい気持ちがあるようだ。あまり描かれていなかったが、移民としてアメリカで生活する生きづらさもあるのかもしれない。
 一方、ムンバイ在住のインド人は、親がなかなか結婚しない息子(といっても25歳)にやきもきする例もあり、「家同士の結婚」という以前からの価値観が幅をきかせているようだった。息子もそれに反発はしつつも、親の会社で働いていたり、結局は経済力で頼らざるを得ない。「嫁には、嫁いだからには完璧に我が家の作法を覚えてもらう」と母親が断言するのを見て、これを見たアメリカ在住インド人女性は絶句するだろうな〜と笑ってしまった。
 インド人の人口は多いが、文化の合う相手を見つけるのは難しいのかもしれない。

・時代の変化スピードの速さ


 若者たちの物語の間に、彼らの親世代くらいのインド人夫婦の映像が差し込まれる。それぞれ結婚数十年を経たベテランカップルだ。
 「20分くらいちょっとおしゃべりして、それで結婚が決まった」
 「私が嫁入りしたのはたった19歳のとき」
 「写真を見てハンサムと勘違いしたの。実物を見てたら断ってたわ」 
今だったら女性の人権侵害と大炎上してもおかしくない出来事ばかり。それでも仲が良さそうで、むしろ妻が夫を尻に敷いているくらいの気安さがあるのは救いだ。時間が夫婦の絆を作ったのだろう。
それにしてもこんな馴れ初め、日本人の感覚では、80年前くらいだったらめずらしくなかったかも?という感じ?その変化がインドではたった30年程度に凝縮されている。
番組に登場した男女、特にムンバイ在住のほうは経済的に豊かな家柄のようで、大学で欧米に留学経験もある。個人主義の欧米で多感な時期を過ごしたのであれば、なおさら親世代とのギャップを感じるであろう。

・個にフォーカスを当てると、問題は万国共通?


 他人のことはなんとでも言えるのは重々承知だが、「おいおい、それじゃ他人と生活できないよ」と突っ込みたくなる場面が多々あり、それも面白かった。
 弁護士の女性。「私はこれまでの選択で間違ったことはない」という発言からもわかるとおり、気が強く自信家。「休暇の旅行でビーチで寝てるだけなんて理解不能」「ランチデート中に店員に話しかけるなんてあり得ない。私に集中してって思う」「教養のない男性は願い下げ」などなど。結婚は妥協、協調性も大事だとシマに諭されるが、30代半ばまでその気の強さを通せたのはむしろあっぱれ。彼女の性格では結婚どころか友好な人間関係を築くのも難しいのでは。他人に共感する、感謝することを覚えないと。
 親に結婚を急かされる社長子息25歳。内気な性格のようで、なんだかはっきり意思表示しない。これまでテキパキした母親がなんでもやってきたのが仇となっているのだろう。彼はまだ彼自身を自力で発見できていないように感じた。「僕は母さんを信頼している。母さんが選んだ人なら間違いない」・・・。最終的に、慎ましく賢そうな美人に惹かれ縁談はまとまるが、彼女が「私は家庭に収まらず、働きたい。自立していたいの」といった言葉を彼はどう捉えているのか。「嫁には家のルールを覚えてもらう」と言った母親の希望とは真っ向から対立している。将来の問題が今から見えるよう。精神的に成熟していない男性との結婚の危険性を目の当たりにした。
 これまた裕福な家庭の子息30歳。色白のイケメン(インドでは背が高く色白なのが美男美女の条件らしい)で見合い話をかたっぱしから断る。彼はものすごく美意識が高く、趣味で分子ガストロノミー料理を披露。自室のクローゼットはハイブランドのディスプレイさながら。インドの神様の人形には自分でデザインしたきらびやかな服を毎日着せ替える・・・と、かなり面白い人物なのだが、結婚相手となるとどうだろう。姉に「ナルシスト」と評されていたが、自己愛の強い人と結婚すると辛い。結婚は妥協と忍耐、とネガティブなワードで語られることも多いが、それは寛容さを持つということでもあるから。最終的に、モデル・女優業をしている素晴らしい美人が彼のお眼鏡に叶ったが、この華やかな見た目の割に思慮深い美人にはもっと彼女を生き生きとさせられる相手がいるのでは・・・と勝手に心配してしまう。

ちなみに邦題は「今ドキ!インド婚活事情」と今どきらしからぬネーミングセンス。
面白いのにあまり話題になっていない感じがするのは、このタイトルのせいである気がする。


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