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私の人生とダービースタリオン

今年の競馬は無観客での開催が続いているが、近年まれに見る面白い年である。無敗でダービーを制したコントレイル、そして同じく無敗でオークスを制したデアリングタクト、馬なりでヴィクトリアマイルを買って来週の安田記念でGIレース8勝の新記録を目指す最強馬アーモンドアイ。この3頭が対決する可能性がある秋が楽しみで仕方がない。

そして今、私は2002年発売の競馬ゲーム「ダービースタリオンアドバンス」にハマっている。

ファミコン世代、テレビゲーム歴35年の私の最もプレイ時間の長いゲームはダントツでこの「ダビスタ」シリーズである。ファミコン版の全国版に始まり、スーファミ版、PS版は廃人レベルでよく遊んだ。

その魅力は、ゲームシステムのシンプルさとレースシーンの秀逸さ、配合の奥深さ、他のプレイヤーが育てた馬同士を対戦させることができる「ブリーダーズカップ」であった。当時はどの競馬雑誌もこのブリーダーズカップでの最強馬決定戦の企画で盛り上がったものだ。

私はとにかく、このブリーダーズカップに中毒と言えるほどハマった。終日、長期間に渡り妥協なき生産を続けた。

一番ハマったスーファミの「ダビスタ3」が発売されたのは1995年1月。ちょうど前年の11月の菊花賞でナリタブライアンがクラシック3冠を達成した2ヶ月後である。私が19才の時。高専4年生の時だ。

この時期の私は競馬にハマりまくっていた。授業中は「週刊競馬ブック」を机の上に広げ、翌年の成人式の日には阪神競馬場にいた。まさに青春を棒に振ったのである。

今もある競馬雑誌「競馬王」の紙面で、このダビスタ3で育てた馬で最強馬を決める企画があった。この雑誌に私の育てた馬が「G1級」として掲載されたことがある。自分の名前が始めて雑誌に掲載された時の興奮は今でも覚えている。この雑誌はまだ神戸の家に保管している。

その後、社会人になってハマったのはPS版のダビスタ。1997年発売。当時会社の寮で、同期、先輩、後輩による自称ダビスタマスター同士のブリーダーズカップが行われた。様々な競馬場のコース、距離で5部門くらいのレースで寮内大会を開催した。

当時私はシフト勤務で夜勤に入っていて、同期の友人たちと休日がまったく合わず孤独な日々を送っていた。合コンに行きまくる同期を尻目に、夜勤明けも何のその、私はダビスタに全身全霊を注ぎ込んだ。

結果、全5部門を全勝した。ゲーム内の予想印で◎を全て奪う能力パラメータの違いを見せつけての大人気ない圧勝劇。とても誇らしかった。私は、このように自分が面白いと思ったことや、心の底からやりたいと思ったことには異様なしつこさを発揮する。今ハマっているカモ観察もそんな感じで危うい(もちろん仕事にも夢中)。逆に面白くないと感じたことには、動きが停止するほどいい加減になってしまう。病気かも知れない。

残念ながら、この翌年、リアルの競馬で一番応援していたサイレンススズカが秋の天皇賞で悲劇の大アクシデントにあってしまって、ショックを受けた私は競馬からしばらく離れることになる。

私が再びダビスタを買ったのは、DS版である。2008年発売。サイレンススズカの悲劇から10年が経過していた。

ようやく競馬に向き合う気持ちになった私は久しぶりのダビスタにワクワクしていた。しかし、その期待は裏切られた。残念ながらダビスタの良さが全て失われていた。

魅力的だったレースは不可解な負け方を連発する仕様になっていた。尊敬すべきこのゲームの作者の薗部さんは、あろうことか「ブリーダーズカップ」を否定していた。機能制限されて最強馬を追求できない仕様になってしまっていた。マニア向けではなく、純粋に競馬シミュレーションを楽しんでほしいからだという。

最強馬づくりを追求できず、不可解な負け方をするレースシーン。私はDS版を買って2日で売ってしまった。

次の2014年発売の「ダービースタリオンGOLD」は3DS版。ちょうど前年は3冠馬オルフェーブルが2年連続の凱旋門賞2着となっており、また競馬を楽しむようにになっていた。

私は懲りずにこの3DS版を買った。しかし、またしても期待は大きく裏切られた。自分の中であの青春と共にあったダビスタは終わった。ブリーダーズカップが廃止され、放牧もできないと言う意味不明な仕様になってしまった。生まれて初めて、買った翌日にゲームを売った。今でもこのDS版と3DS版のAmazonレビューを読むと、ファンがいかに失望したかがよく分かる。

前置きが長くなった。この「ダービースタリオンアドバンス」はゲームボーイアドバンス版で2002年発売。DS版発売の6年前である。2002年といえば、最初の会社を退職して、デザインを学びながらイラストを描いていた時期。私が競馬を離れていた時のものである。

この「ダービースタリオンアドバンス」にはかつて夢中になったダビスタがあった。シンプルで奥深い配合、手に汗握るレースシーン、そしてブリーダーズカップ。栄光のダビスタ最後の作品かも知れない。

今、古本で手にした「ダービースタリオンアドバンス全書」を片手に最強馬生産に夢中になっている。この全書シリーズは最強馬生産を目指すダビスタユーザーにとっての聖書である。残念ながら今このレトロゲームのブリーダーズカップに夢中になっている人はおらず、腕試しもできない。

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そしてついさっき、この本に記載の配合理論を駆使し、コロナが終息するようにと名付けて生産した愛馬「コロナワクチン」が持ったままの圧勝劇を飾った。

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私は何を熱く語っているんだろうか?

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