東京23区ワンルームマンション購入は本当に危険?カラクリが知りたくて説明を聞きました
不動産賃貸業を始めたいと考えた際、最初に紹介される方法はマンションの一部屋を購入し、他の人に貸し出すことです。
多くの人は、同じような勧誘を受けたり、広告を見た経験があるでしょう。
しかし、一体なぜそのような方法を勧めるのでしょうか?儲かるのになぜ他の人に勧めるのでしょうか?
私ならば自分だけで儲けたいです(笑)
しかも、舞台は決まって東京23区ということです。なぜ名古屋在住の私にまで東京23区の物件を紹介してくるのでしょうか!?
そのカラクリについて知りたくて、私は実際に2社から東京ワンルームマンションの購入についての話を聞きました。ちょっと生々しい内容になるかもしれませんが、それだけの価値のある記事にしようと考えています。
ワンルームマンションを買って、人に貸すとは?
そもそも、ワンルーム(1R)とは?
よく学生時代に借りる、キッチンと部屋が同じ空間にあるタイプのお部屋です。
※最近は学生さんでも、1K=キッチンと部屋の間に仕切りがあるタイプを選ばれる方も多いですね。
まだ不動産投資について右も左も分からない頃、最初に紹介してもらったのが、マンションの一部屋を購入するというものでした。
必ずしもお部屋のタイプが1Rタイプとは限りませんが、主には1名(または2名)が住めるサイズ感くらいの部屋ならお手頃な価格帯で買えるよ!というお話です。
マンションの1室を購入して、それを賃貸として誰かに貸して、家賃収入を得るという方法ですね。
なぜワンルームマンション購入がオススメか?
今回は、2社に話を聞きました。最初の会社は名古屋にも支店がある会社で対面で説明を受けました。2社目は会社自体が東京にあるそうで、Zoomで説明を受けました。
気になる怪しいメリット
素人に不動産購入は難しい。餅は餅屋で、不動産もプロに任せた方が良い
不動産業界の中で一部のグループのみが、今後どの地域の開発に力を入れ、地価が伸びていくのか知っている
若くして成功したすごい社長がいる。その人は掘り出し物のワンルームマンションを探すのが上手い!
不動産の「売るべきタイミング」は、素人に判断は難しい。この社長に任せたら売り時も教えてくれる。
人口流入の多い東京エリアがやはり1番オススメ。他の地域は少子化による人口減少が心配。
不動産の買付も行っている会社。不動産の仲介会社に渡す前の段階で良い物件を教えてもらえる。
100%家賃保証
マンションの管理費用なども一歳不要(会社持ち)
自己資金も不要
生命保険変わりになる
実際、後輩にも勧めて、みんな購入している
いつも良い物件が出るわけではないので、買えたらラッキー!
え!?!?
並べられたワードが良いことだらけで、逆に怪しい。。
というのが、最初の私の素直な感想です。
これってビジネスとして成り立つの?その会社側にはどんなメリットがあるの!?というのが全然分からず、不思議な点がたくさんでした。
そのため、それは素晴らしいですね!ぜりやりたいです!と手放しでは喜べず半信半疑な思いが強くなったのが正直なところです。
カラクリが知りたくて不動産会社の方と面談
不動産会社のお友達の方の説明だと、東京ワンルームマンション購入は、メリットだけ聞くと、まさに「良いことづくし」
世の中そんな上手い話はないだろう、こちら(買う側)にもリスクがないとビジネスは成り立たないはず、どんなカラクリがあるんだろう?と、
なかなか納得できなかったので、さらに詳しく、その不動産会社の営業マンの方から説明を受けることにしました。
「私、買いたいです!!」感をしっかり出すと、私の簡単な経歴や、現在の収入、貯蓄額などを聞かれました。(←買えない人に説明する労力は省きたいだろうから、この作業は納得。)
おそらく、そのエントリーシートが通過したようで、バリバリの営業マンが登場しました(*´∀`)
納得できていない点
なぜ良い物件なら自分でやらないのか?
100%家賃保証ってどういう意味?
自己資金不要って、ウソじゃない?
その部屋、数年後に本当に売れるのか?
なぜ良い物件なら、自分でやらないのか?
今回の会社は、不動産の買付を得意とする会社だそうです。そのため、まだ市場に出る前のお値打ちな段階で、物件を紹介してもらえるとの事でした。
よく勧誘相手に言いたくなる一言、「そんなに儲かる物件ならご自身でやられたらどうですか?」
これに対しての回答は、
とのこと。
もちろん営業マンのみならず、会社としても、物件を多数保有しているそうですが、会社規模となれば、売買する物件の価格も何億レベルだそうです。
そこに、オススメな数千万規模のお手頃価格なワンルームマンションがあっても、会社レベルで考えると購入したい価格帯ではないそう。
そうなると、知り合いの信頼できる一般の方にオーナーになってもらった方が嬉しい!との事でした。
さすが営業マン!100点回答でした。
100%家賃保証ってどういうこと?
「家賃保証」という言葉に馴染みのなかった私は、よく意味が分かりませんでしたが、簡単に言うと、
毎月5万円家賃、と決めたら、入居者が居ても居なくても、ずーっと毎月5万円の家賃を振り込んでもらえるという制度。
何でそんな事が可能なの!?と、びっくりする私です。
サブリース契約
この時はピンと来ていませんでしたが、これいわゆる「サブリース契約」というものでした。
毎月保証される家賃が5万円だからと言って、実際の家賃も5万円ではありません。
具体的な例を出すと、
10万円ほどの家賃で入居者を募集。
会社は入居者から10万円受け取る。
そのうち5万円をオーナーの私に渡してくれる。
残りの5万円で物件の運営と、会社の利益にしていくという方法です。
(比率はあくまで例です。
そのため、購入したワンルームマンションの部屋についているエアコンが壊れても、その取り換え費用も、サブリース会社が負担してくれます。※契約条件によって違うので、一概にそうとは言えませんので注意!!)
せっかくマンションオーナーになったのに、管理などは全部会社任せ。
私自身は、「何もしなくていい」というのが物足りない気がしました。
ただ面倒な事が一歳ないので、投資をしたい人にとってはサブリース契約に魅力を感じるのも事実です。
自己資金不要なのはなぜ?
東京のワンルームマンションを、自己資金不要で購入できる!という点も良くわかりません。
(凄腕営業マン)毎月の家賃収入の範囲で返せるローンを組みますので、自己資金は不要です。
と、言われます。
例えば、毎月の家賃保証が5万円なら、ローンの返済額も5万円程度になるように調整し、手残りは0円!とのこと。
ん??それじゃ、1円も儲からないじゃん!!!?
(凄腕営業マン)いえいえ、そこで「売る」タイミングが重要になってきます。
2000万円の物件を購入して、ローン返済が1000万終わったタイミングで、再び2000万円で売れば、1000万円儲かることになります。
確かに計算はそうですが。。
いやーそんなうまくいくのかな?と、まだまだ不安ばかり。
値崩れしない?東京の中古ワンルーム
ワンルームマンションは売るときに利益が出る!と言われると、また次なる疑問が浮かびます。
2000万円で購入した部屋が、10年後にまた同じ価格2000万円で売れるわけないじゃん!?
メルカリですら、購入金額のままではたいてい売れないので値下げする必要があります(笑)
本当に売れるの!?
(凄腕営業マン) そのための東京ワンルームです!
東京は日本で1番、人が集まる街。少子化になっても、東京の転入者は減らないでしょう。そのため、東京ワンルームは需要がずっと続きます!
それは確かにそうでしょう。過疎化が進む地方では、人口自体が少なくなっていますが、さすがに首都東京では人口減少に悩まされる事は、近い未来では考えにくいです。
また東京23区だと公共交通機関も縦横無尽に走っていますので、だいたいのエリアで駅チカになりそうです。
新築より中古!
ここでさらに、「中古」マンションである!というところがポイントだそう。
(凄腕営業マン)新築マンションは、もちろん素敵ですが、新築の分、建設費や宣伝費が上乗せされたプレミアム価格で販売されています。そのため、新築マンションを購入した場合、売るときに同じ値段で売るのは難しいでしょう。
その点、中古マンションの場合、すでに新築から比べ、値段が下がっていますので、値段が下がったタイミングで購入すれば、そこから更に大幅に値段が下がる事は考えにくいです。
そう言われると、中古物件をオススメされるのは納得です。
新築はワンルームであってもそもそも高すぎて買えない事もあり、やはり条件の良い中古マンションを探すのが良さそうですね。
銀行ローンが組めないと買えない
ここまで話を聞いて、「よし!絶対ワンルームマンション買いたい!」とはまだ思えていませんが、購入を悩む前にまずは「自分が銀行ローンが組めるのか?」を調べてみるのも良いとのこと。
銀行ローンが組めなくては、買う買わないを悩む前に、そもそも買えません!
そこで私は、説明をしてくれた不動産屋さん経由で、銀行ローンが降りるかどうか確かめてもらうことになりました。(この審査は、人生に何も影響がないか何度も確認しました)
(凄腕営業マン) お伺い書への記載(会社名や、株や貯蓄額、別でローンがあるか?など)
と、過去3年間の源泉徴収書が必要になります!
かなり勇気が必要でしたが、この段階では、まだ不動産を買うことにはならないので、資料を準備してお願いしてみました。
だいたい5日以内に結果が出ますと伝えられ、まだテスト段階とはいえ、ドキドキしますね。
ローン審査の結果
(凄腕営業マン)ずばり4000万のローンが組めます!
え!!この私がそんなにローン組めるの!?(住宅ローンばりじゃん!)
額に驚きました。
ただのサラリーマンが、不動産投資目的で、4000万もローンが組めるんですね。
具体的な金額メモ
あくまで参考ですが、結果は以下です。
オリックス銀行
借入年数 35年
金利 1.6%
借入金額 21,100,000円
月々返済 65,643円
家賃収入想定 67,000円
キャッシュフロー 月1,357円
まるで普通に住宅ローンを組むような内容で驚きです。
金利がすごく高かったら、金利返済だけで大変なことになりそうですので、気をつけないといけませんが、提示された金額はなかなかの低金利。
こんなに好条件の融資ができるのも、不動産会社の力だと言われました。
ただ、それを35年間払い続けると思うと、ちょっと重たい気持ちになります。
そして、2100万ものローンを組むのに、毎月の儲け額は、1,357円です。
物件紹介
ローン審査の結果が分かったので、いよいよ物件紹介です。
まずは、本命物件ではなくウォーミングアップで、、と物件を1つ紹介して頂きました。(銀行に審査を出した物件ですね)
物件価格: 2,030万円
東武東上線「東武練馬」駅 徒歩10分
バルコニー付きの1K (約23m2)
諸経費(税金や登記費用など) 80万円
マンション外観の写真は綺麗そうです。オートロックなど、設備も良い。
ただし、現在、住んでいる人がいるため(賃貸中)、部屋の中は見れません。いわゆるオーナーチェンジ物件と呼ばれる物件は、現在賃貸中の人がいるため、内覧などはできません。
概観や、間取り、少ない情報で判断する必要があります。
そして、この中古ワンルームが2,000万!高いのか?安いのか?お値打ちなのか?全く判断がつきません!!
キャッシュフローシミュレーションでは、毎月の家賃収入が67,000円になっていました。この物件に、自分が月67,000円払って住むのか?という話です。
しかも、サブリース契約のため、オーナー(私)に支払う金額が67,000円であれば、実際に住む人はもっと高い家賃を支払う必要があります。
この物件、別の不動産サイトで調べたら確かに売りに出されていましたので、市場価格にはなっています。
しかし、別の不動産会社を通しても、同じ額で購入できそうですので、決して、この会社だからお得だとは感じられませんでした。
一通りワンルーム投資の話を聞いた結果
不動産投資という言葉で最初に勧められるのは、こういったマンションのワンルーム投資ではないでしょうか。今回そのカラクリを知りたくて、実際に2社に話を聞いて勉強しました。
どちらも、
節税対策
生命保険変わり
資産になる
という前提は一緒で、サブリース契約なのか、そうでは無いのか、で諸条件が色々変わってくるとの事でした。
さらにサブリース契約の条件の中身次第でも大きく変わってきます。
潜んでいる問題点
一見すべて上手く行けば、問題ない仕組みにも思えますが、ビジネスですので、仮に何かあっても売る会社側はそこまで被害を被らないというところがポイントかなと思います。
じゃあ誰が被害を被るのか!?
それは間違いなく買い手側(私たち)です!!
想定される代表的なトラブル
家賃保証があると契約したけど、家賃保証の値段に見直しが入り、毎月受取れる額が5万円が4万円になってしまった。
ローン返済額は35年間毎月5万だったとしたら、家賃収入が4万円となると、利益どころが、毎月1万円マイナス(手出し)となってしまった。
売れると言ったのに全く売れない!orかなり格安の値段でしか売れない
契約条件を良く見たら、エアコンの交換費用などは8割程度しか会社が負担してくれなかった。残り2割は実費で払う必要があった。
などなど、素人では気づかないリスクがまだまだたくさん潜んでいます。
本当に信頼できる人が必要
今回紹介してもらった2社は、人によっては、決して悪い会社ではなかったかもしれません。
しかし、本当に信頼できる会社なのか!?それは正直誰も分かりません。
ここだけのお話、そのうち一社は、話を聞いた一年ほど後に、日経新聞に載っていました。サブリース契約で決められた家賃金額が振り込まれないと、オーナー側とトラブルになっているというものでした。もし、家賃が振り込まれなくても、銀行へのローンの支払いは必ず必要ですので、毎月立て替える必要が出てきます。私が話を聞いた段階で物件を購入していたら、まさにこの結末を迎えていたかと思うとぞっとします。
キックバックを受けている可能性も
なぜか優しく説明してくれる知人にもやや不思議な感覚を覚えました。私も最初は、実際の不動産会社の方ではなく、その「不動産会社の社長さんのお友達」を紹介してもらい、簡単に内容を説明してくださるとのことでzoomミーティングをしました。
いろいろ親身になって相談に乗ってくれるし、その方の友人も購入してるから、安心だよー!と不安を取り除いてくれます。
しかし、それにもカラクリがあり、
実は、不動産業界「キックバック」という、紹介料制度もまだまだ残っているとのこと。
先輩、後輩、友人のまた友人など、たくさんの人に不動産購入を勧めて、その紹介料をガッチリ受け取り副業としている方もいるそうです。
ちょっぴり人間不信になりますね。
ワンルーム投資のカラクリまとめ
今回は、ワンルーム投資のカラクリ
なぜ、そんなに売ろうとするのか!?
なぜこんなにワンルーム投資の話をよく聞くのか?
買い手の私たちが儲かるという話ですが、売り手側の不動産会社側はどうやって儲けてるのか?
特にこの3つ目が知りたくて、実際に購入したい前提で話を聞いて確認しました。
結論は、シンプルでした。
売買手数料で儲ける
不動産会社は、売買した際に手数料で儲けていますので、誰かがマンションを売ったときにも儲かり、誰かがマンションを買ったときにも儲かります。
そのため、たくさんの人にすすめて、たくさんの人が買えば、それだけ不動産会社は儲かるのです。だから、アナタだけの情報で特別ですよー!と言いながら、実はどんどん売りたいんですね!
物件管理で儲ける
物件を管理する、管理会社にもなっていれば、毎月家賃収入がある中から、何%と決められた額を、管理費用として、オーナーから徴収できます。
物件に、誰かが住んで家賃を払ってくれさえすれば、何年も退去するまで毎月ずっと、数%の手数料が取れます。
一部屋だけだと少額ですが、大きなマンション1棟丸ごととなれば、手数料だけでも毎月かなりの収入が入る事になります。
それで儲けているんですね!!
結局は、危険な船に乗るのは私たち
以上のことから、不動産会社は、売買と管理で儲けを出しているので、その物件が失敗しても、痛くも痒くもないわけです。
ローンの支払いの義務をお客様に持たせるので、会社側がローンを立て替える必要も一歳ありません。
もちろん本当に良い物件で、入居者が常にいて、家賃も下がらない、売るときも高値で売れる。そんな物件を偶然手にできたら勝ち組です。
ワンルーム投資の説明時は、あたかもそれが当たり前のように説明されます。しかし、そんな保証はどこにもありません!!!
もしハズレ物件を買ってしまったら、残念ながら、入居者もいない、物件も売れない、残るのは銀行に毎月支払う35年続くローンのみです。
さらに、マイホームを買いたくても、この不動産投資ローンが足枷となり、希望金額を借りられない可能性もあるので、注意が必要です。
つまり、危険な船に乗るのは、私たち買い手側です!!
ワンルーム投資は決して悪いことではありません。ただ、餅は餅屋だと安心して任せると、気づけば危険な船に乗っている可能性が十分にあり得ます。
言われるがままに買うのではなく、まずは、物件の価値とリスクを見抜く知識とをしっかりつけてから、購入されることを強くオススメします。
どうか、1人でも多くの人が、生命保険の代わりになるから。。と、気軽に購入しませんように(祈)