シングルマザーの婚活①
「ねぇねぇ、〇〇くんってパパいないんだよね」
離婚して2年くらい経ったころ、保育園のお迎えに行ったとき、息子の同級生の女の子が私に話しかけてきた。
いるよ!でも遠くに住んでるから、あんまり会えないんだ~。
動揺を悟られないようにありったけのママスキルをかき集めて笑顔を作る。
「ふーん、それって寂しくないの?」
4歳の女の子の悪意のない言葉が、ノーガードの私に食らってしまう。
そうだねぇ、でも寂しくないように、ママがパパの分も〇〇のこと大事にしてるんだよ。
女の子はケラケラ笑い出した。
「ちがうよー!〇〇くんは大きくなったらいなくなるでしょ。その時に〇〇くんのママは寂しくないの?」
そんな女の子いる?と思うよね、私も思う。
人生2週目?孤独死した私の未来を変えるため派遣された少女とかじゃないよね。
使えるママスキルはもう残っておらずハハハと乾いた笑いしか出なかった。そんなこと考えたこともなかった。確かに息子は大きくなったらいつか一人で生活する時が来る。今は仕事も家事も育児も息子のおかげでがむしゃらに頑張れているけど、それが終わったとき、私は一人で何を頑張ればいいんだろう。
そうした孤独を考えたときに怖くなった。
はたから見たら、なんで?と思われるかもしれないけど、私のはこの日今までの人生で感じたことのない気持ちになった。
結婚したい。
それまで一度も結婚したいと思ったことがなかった。
学生時代から結婚願望はなく、まぁなんとなくいつかするんかな程度の気持ちで、当時付き合っていた元旦那との間に息子ができたので流れるように結婚することになった。自分の性格をなんとなくわかっていて、結婚もお母さんも向いてないと薄々気付いていたから、そういう願望がなかったんだと思う。単に若かったのもあるけど。
離婚したとき「若いねんからまだまだ再婚できるよー!」とかよく言われた。
なんで一回離婚してんのにすぐ結婚のこと考えなあかんねん。そもそも結婚ってそんないいもんちゃうやんか。みんながやたら言うから、めっちゃ良いもんやと思ってたけど、全然話と違ったし、幸せじゃなかった。
あんなに大好きな人と結婚したのに別れることになったんだから、もう無理じゃん。
そうしてますます結婚に対してひねくれ散らかした私は、ひたすら仕事に打ち込んでいた。
打ち込んでいたのに、人生2週目少女の言葉でハッとしてしまった。
過去がどうとか今がどうとかじゃなくて、私は将来どうなりたいんだろう。確かに結婚は、うまくいかなかった。しんどいことが楽しいことを上回って、リカバリーできないところまで行ってしまったのでお互いの将来を考えた時に早い方がいいねと話し合って別れた。
でも本当は、幸せな結婚をしたかった。
喧嘩もするけどお互い信頼関係があって、息子と三人で色んなところへ旅行へ行ったり、いつかもう一人家族が増えたりして、全然そういう結婚がよかった。
幸せな結婚がしたいと思うようになった。
そして、息子に兄弟をつくってあげたいなと考えたとき、今は息子の育児に忙しくてなんて悠長なこと言ってていいのだろうか?と急に焦りが出てきた。
今が一番若いんだし、子供を考えると今から婚活を始めた方がいいんじゃないか・・・?
でも私はシングルマザー。そんな好きに時間があるわけでもなく、息子と二人暮らしやし。婚活言うても職場は女性100%やし出会いなんてない。
婚活するためには、私の一人の時間が必要だったが、当時の私はまじで仕事仕事仕事子供子供家事子供仕事仕事だった。休みの日も仕事。営業職の躁モード入った時の仕事熱は狂ってると思う。業界によるけど私のとこは頭おかしかった。この話もまた書きたい。
とにかく時間のなかった私は、第一ステップとして一人の時間を作る方法から考えることにした。
もちろん無理のない範囲で、息子を悲しませることなく、自分にも誰にも嘘はつかない方法で考えた。
誠心誠意私の思いを伝えて、正直にすべて話し、親を説得しよう!
これが後の私をめちゃくちゃ苦しめるとはつゆ知らず呑気である。
次回へ続く。