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かもがわ出版メルマガ2024年Vo.155

巨大な阿曽カルデラ、延々と続く洗濯板のような宮崎の海岸、砂の道が海を抱きこむように広がる北海道の野付半島などなど、日本にも思わず目を見張るような不思議で雄大な景色があります。 
12月に弊社より刊行される『どうやってできたの?日本の変な地形』では、そうした不思議な地形をそれぞれ4ページにまとめて12か所紹介しています。 
一目瞭然の不思議な地形の写真を見開きで大きく掲載することで、まさに「どうやってできたの?」と子どもに目を引いてもらえるよう作られています。次ページでは、その地形ができる過程をイラストでわかりやすく解説。また阿曽カルデラでは阿蘇神社と阿蘇の神話、宮崎の鬼の洗濯岩では青島神社と植物の生態系といったように、その地形に関係する風習や伝説、生態系、産業などのトピックも掲載しています。
小学生向けの地理・地学の本は、それ自体の数が少ないのですが、地学にスポットを当てた本はさらに少なく、また内容的にも小学生には高度なものが多いのが現状です。本書は、出来るだけ平易な言葉を使い、専門用語はキーワード解説をつけ、ダイナミックな写真やイラストによる図解などを用いることで、子どもに興味をもってもらえるよう工夫されています。また調べ学習から発展学習につながるように、地理的要素を含んだ関連事項も掲載しています。
小学生がはじめて地学にふれるきっかけづくりになる一冊です。
ちょっと価格が高めなので、個人での購入がためらわれるようなら、ご近所の図書館に所蔵のリクエストを出してもらえると嬉しいです!

【新刊案内】

●住民は避難さえ不可能だ
『能登と原発』
丸山 啓史 本体価格2,200円
志賀原発計画時点から金沢に在住し原発の危険性と事故防止措置等を指摘してきた著者が震災で露わになった問題を解明し対策を提言する。

●共生について考える物語絵本
『キリムの魔法のティーカップ』
桐山 エツコ・ながわよしこ 本体価格1,900円
共生について考える物語絵本。インターナショナルスクールの生徒たちが各々のティーカップに書かれたキリム柄の意味に想いを馳せていく。

●小学生がはじめて地学にふれるきっかけづくりに
どうやってできたの?日本の変な地形
松本 穂高 本体価格3,000円
阿蘇カルデラ、北海道の野付半島、富山県の称名滝など、日本の「変」な地形を成り立ちとともに紹介。その土地の産業、文化もわかる!

●本の刊行を理由に共産党から除名され東京地裁に提訴した
『共産党除名撤回裁判の記録Ⅱ』
松竹 伸幸 本体価格1,800円
本の刊行を理由に共産党から除名され東京地裁に提訴した著者が、最高裁で勝利するまで毎週、記録として配信しているメルマガの第2集。

●特集・放課後世界の変容と現代の学童保育
『学童保育研究 第25号』
一般社団法人日本学童保育士協会 本体価格1,500円
ネット、ゲーム、塾や習い事など、変化する子どもの放課後世界。多様な支援の現場とともに学童保育と子どもの関係性を探ります。

●日本初!専門職として学童保育にかかわる人のためのダイアリー
『放課後児童支援員手帳2025』
学童保育ラボ 本体価格900円
日本の子育てに不可欠の存在となった学童保育(放課後児童クラブ)。15万人を超える職員の仕事に役立つ4月始まりのダイアリー。

●京都の山あいで家族とともに挑戦する
『山里の生活実験』
丸山 啓史 本体価格2,000円
電気やプラスチック製品を極力使わない暮らしとは。いち研究者が家族とともに挑む「本当のサステナビリティ」を追求する生活実験。

●安倍・菅・岸田内閣の問題点を、憲法の視点から解説
『改訂版 檻を壊すライオン』
楾 大樹 本体価格1,800円
憲法の制約を無視して暴走する政治を時事問題で解説し、憲法の役割を学ぶ。岸田政権下の事例を大幅加筆した改訂版。

●医療から診断する驚きの警世エッセイ集
『地域をつむぐ、いのちの連鎖』
色平 哲郎 本体価格1,800円
世界放浪後、農村医療一筋の異色の医師による、医療から診断する警世エッセイ集。生命と地球環境、人道と民主主義、戦争と平和まで。

●次世代へ手渡したい「本の楽しさ」について綴ります
『海外児童文学をめぐる冒険』
越高 綾乃 本体価格1,600円
英米文学研究者・吉田新一の横顔をご紹介するとともに、次世代へ手渡したい「本の楽しさ」について綴ります。エッセイ第3弾。

●ツリーハウスの魅力を伝えるエッセイ
『我がシゴト、ツリーハウスビルダー』
木村 勝一 本体価格1,800円
まわり道の末に辿り着いたツリーハウスビルダーというシゴト。好きなことを見つけるまでの足跡とツリーハウスの魅力を伝えるエッセイ。

●新しい歴史観で歴史を捉え直す
『日本通史』
小路田 泰直 本体価格2,000円
網野善彦以来34年ぶりに日本史学者が一人で通史を著した。『記紀』を否定した津田史学も超克する歴史観にあふれた久々の著作である。

【総合ランキング】

保育・教育書 第1位
●特別支援教育のワーク教材
『SSTワークシート自己認知・コミュニケーションスキル編』
LD発達相談センターかながわ 本体価格1,500円
社会性の課題を抱える幼児から中学生くらいまでを対象にしたSSTワーク。子どもの相談からできたオリジナルな内容。コピーしてすぐ使える。

人文・社会 第1位
●安倍・菅・岸田内閣の問題点を、憲法の視点から解説
『改訂版 檻を壊すライオン』
楾 大樹 本体価格1,800円
憲法の制約を無視して暴走する政治を時事問題で解説し、憲法の役割を学ぶ。岸田政権下の事例を大幅加筆した改訂版。

【編集より】

「共生」を考える絵本『キリムの魔法のティーカップ』
21世紀になってこんなにも長い年月が経つというのに、私たちの住む地球上では戦争や侵略が日常のなかでずっとつづいています。どうして暴力を目の前にしながらも止められないのだろうと胸を痛めながら暮らしている人たちが大勢いるのに、なぜなの?という無力さでいっぱいになります。
それでもなお、私たちは諦めずにいなければなりません。そして、おとなには子どもた ちへ「共生」についての話をしつづけ、ともに考えつづける責任があるのではないでしょうか。
そんなときには、どうぞこの『キリムの魔法のティーカップ』を子どもたちと一緒に読 んでみてください。そして、おたがいに、どう考えるかの意見の交換をしてみてください。 「あとがき」に、著者のお一人、桐山エツコさんはこう書いています。
「ずっとずっと世界は、もう話すことすらむだだと苦しんでいます。/むしろ一緒にい ていがみあうより、『私はわからないけど、そんな考え方もあるよね』と認めあいつつ おたがいにはなれているのもひとつのやり方です。/でも、少しだけあきらめないで。」 本書の主人公は、自分の考えをはっきり言い合う子どもたちです。でも、考えを主張し ながらもほかの子たちの言葉に耳を傾けていきます。
この絵本は、物語が終わっても、お話の結論が明確に提示されるわけではありません。 でも、読み終わったところから、それぞれの胸のうちにある「もやもや」や「苦しさ」 の正体について考えはじめることになる子もきっといることでしょう。
「もしやり返したくて苦しくてしょうがない、そんなつらいときは、あたたかくて、 いいにおいがする、ゆっくり落ち着ける場所をさがしてみてください。」
この桐山さんのメッセージは、「『その場所』になりたい」という、本書の「願い」 かもしれません。
「キリム柄に使われているモチーフ」にさまざまな願いが込められていることは、桐山 エツコさんの最初の絵本『願いを伝える遊牧民の布 キリムからの手紙』でもご紹介し ています。どんなモチーフにどんな願いが込められているのか……本来は布の柄として 織られて生まれるキリムですが、本書では、ティーカップのかたちで子どもたちの前に 現れます。読者の皆さんにとっても「異文化にふれる機会」となれば幸いです。
ながわよしこさんの描く森の中、カフェの室内には、こっそりと、そこここに動物たち が隠れています。動物たちを探しながら、ぜひ、読んでみてください。