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プロジェクションマッピング制作体験記
こんな長くて読むのがめんどくさい記事をいくつも読んでくれる人はあまりいないと思うが、もしいたらこう思っていることだろう(新タイプの導入)。
「なんかここ数日note更新多くない?」
もとより年末に振り返り系記事をたくさん上げる計画だった!
計画性は大事やからな!!
…ということではもちろんない。
今まで書かずに放置していた物事を必死に記録しようとしているのだ。
計画性の欠如故の挙動である。
おそらくこれが書き納めになるはず…
この記事では2024年9~12月に私が取り組んでいたプロジェクションマッピング制作についてまとめておこうと思う。
↑これが参加したプログラム。
プロジェクションマッピングについて
突然だが、そもそもプロジェクションマッピングとは何だろうか。
<マッピング>によって割り当てた位置に映像を投影することで実物<リアル>と映像<バーチャル>をシンクロさせる手法
ちょっとわかりにくいが、簡単に言えばめっちゃ高性能のプロジェクターで実際に存在しているもの(例:建物の壁面など)に映像を投影することだと私は解釈している。
このnoteでも軽く触れているが、最近はディズニーランドやハウステンポス(これを並べるのは若干抵抗あるが…)のようなテーマパークだけでなく、東京都をはじめとする様々な自治体により新規観光スポットの造成などの目的でも行われている。
独特の構造を持っているが観光客があまり寄り付かない建築(例を挙げろと言われると困るが…)や行政の箱もの施設の活用に役立つわけだから、これからより需要が高まり多重用途で重要(うるさい)な技術になっていくのではないだろうか。
制作体験記
プログラム発見・採用編
とは言え、上記のような戦略的な考えがあって参加したわけではない。
単純に、自分の絵を!でかでかと!写し出したかった。
私は実際にその場所まで足を運べるほうが良いなと思っているので、課外活動的なものを探す時には神戸市~兵庫ぐらいで検索することが多い。
それまであまり絵関係の活動がなくて、
「アート 神戸 高校生」
みたいな感じで調べていたら偶然見つけた。
ここで話が脱線するが、私は自己紹介で「絵を描くのが好きで特技!」と言うことが多い。
しかし、線を引いたり絵具を塗ったりということ自体はそこまで楽しいとは感じない。
自分が描いた絵を自分で眺めたり(自画自賛とはよく言ったものだ…)、他の人に見てもらったりするのが好きなのだと思う。
そういう点で、自分が今年に入ってから全特別展を見ているほどよく行く美術館に自分の絵を写せるのは絶好の機会だ。
承認欲求にも近いものがあるだろうし、定言命法(カント!公共で習ったからいきって使う)的に絵を描けてないためにいつか限界が来るような気がするのだが…今のところは絵でしんどくなるということはないからヨシ!
閑話休題(←なぜか「かいわきゅうだい」だと思ってて変換出てこなかったから焦った)。
というわけで若干不純な動機を抱えながらも予備審査を経て参加できることになった。
今回の講座で作るのは、既に美術館外壁に映写されている作品が始まるタイミングで時間を知らせる15秒の「時報映像」である。
予備審査では、絵コンテの段階で担当の方と話し合った。
受けた質問や説明から察するに、ちょっとこれ参加させてもらえないかなあ…という印象だった。
しかしこの相手の判断を批判することはない。むしろ真っ当だと思う。
何しろ、
・ただの公立高校普通科在籍
・映像編集もCGもほとんどできない
・ややこしい絵コンテ
という絶望的とも言える状況であったからだ。
その場で「映像編集強い人ともうちょっと正確な絵コンテをあと3日で用意してくれたら考えるかも…」みたいな感じの(うろ覚え)寛大な措置を頂き、学校も1日休んで(休むな!)絵を描き続けた。
絵コンテ自体は結局そこまで良いものにできなかったし、おそらく支離滅裂な内容だったと思うが、それに加えて今まで制作してきた作品のポートフォリオを送付することにした。そして小学校時代の友人2人に駆け込み、音楽と映像を担当してもらうことにした。
![](https://assets.st-note.com/img/1735597077-QPXOGrVWFBxipC2ENTed8RJa.png?width=1200)
これでなんとか採用してもらえたという感じだ。我ながらよくやったと思う。
ちなみに、添付のポートフォリオに入っているのは学校で部活や授業のために制作した絵などであった。全くその案件自体とは関係ない絵を見て、採用するというのは絵より製作者を見ているような感じがしないだろうか。少し新鮮だった。
後で気づいたことだが、おそらく神戸市の推しもあったのだと思う。
ここから作品紹介を見れるが、他の制作チームは全て京都&大阪の大学だ。
神戸市が企画・実行しているのに神戸市の参加校がないというのは…
それで白羽の矢が立ったというのは想像に難くない。
まあ採用されたならなんでも良い!!
制作編
いよいよ制作を始めることができる。
作品のテーマは「六甲アイランドの発展」。
プロジェクションマッピングは投影する建物を決めるから作品が別の場所に移動することはない。そういう意味では絵画などより彫刻に近いのかもしれない。その場所につながっている/その場所の人に親しんでもらえる映像にしたいと考えた。
また、時間も技術もない中で最も良いものを作ろうとすると自分が得意な作風に落とし込むしかない。
プロジェクションマッピングと言えばCGガッツリなイメージがある。おそらく立体感を出すのに適しているからだろう。
一方、得意なのは細かいペン画。
必然的に六甲アイランドの建物一つ一つをペンで統一して描き、中央から順番にズームアウトしながら出現させていくという方針で決まった。
制作ツールについてだが、オニオンスキン(前のコマの絵を透けさせるアニメーションツール)もコマ送り機能もないアナログでアニメーションを作るのは流石に厳しいということを悟り、デジタルを選んだ。
しかし私はゴリゴリのアナログ派であった。
何年か前のクリスマスに板タブを買ってもらったにも関わらず、絵を描くときにはいつも「ピグマの0.1を定規に当てて直線を引き、その後定規を動かすとしみができる現象」に苦しみ続けてきた(伝われ)。
溝引き定規みたいなのほしい!
要するに、プロジェクションマッピング以前に映像作品、そしてそれ以前にデジタルのまともな絵を制作したことがなかったのだ。
でもまあ、いつかデジタルは使えるようにしたいという目論見があったので、パソコンの底に沈んでいたclipstudioを引きずり出して使うことにした。
これがまた曲者で…(愚痴が始まる雰囲気)
アニメーションを作る時には何枚かフレームと呼ばれる絵を描いて、それを順に動かす。現代の一般的なテレビアニメは1秒間に24フレームの絵を使っているそうだ。
しかし!このクリスタ(clipstudio)!一度に24枚までしかフレームが描けない!
![](https://assets.st-note.com/img/1735598230-HcGjTZhIUnOupdaeAK4WyXMr.png?width=1200)
追加料金で解放したりいくつかの映像をつないだり、やりようはあるのだが…急に次のフレームを出せなくなった時にはなかなか焦った。
国土地理院で六甲アイランド(完成作品を映写する美術館がある人工島)の航空写真を見て、遠近感を整えながら自分の画風で鳥観図のような絵を描くのをひたすら続けた。
効率の悪い作り方だったというのもあるが、おそらくこのメインとなる素材を作るだけで60時間ぐらいかかっているのではないだろうか…
![](https://assets.st-note.com/img/1735599148-1GqXxjSsYlT4MPDvpc2fCLnz.png?width=1200)
そして、作った画像状態の素材を映像に加工するのと時報のための文字をアフターエフェクトで表示するのを映像編集が得意な友達にやってもらった。
ここで複数人でのプロジェクトについて考えてみる。
高校に入ってから協調性がないと言われることが多い。確かに自分が出ていない競技の間は体育大会中でも本を読むなどの行動から自覚もそこそこあったが、半分ネタかなと思っていた(実際ある程度ネタだと信じたい)。
だが、よく考えてみれば確かに周りと協力するのは苦手だ。
たまにアドバイスを受けることはあっても、基本は黙々と一人で進められるもの。すなわち絵が一番の特技となっているのも納得だ。
プロジェクションマッピングは担当の人とデータをやりとりし、絵を動かして音楽をつけることで絵と建物をつなげ、より迫力と見ごたえのあるものを作り出す。
プロジェクションマッピングの大会では担当者への定期的な報告や計画性も評価項目に入っているそうだ。
ほとんどのものは一人じゃ作れないという言い回しをよく聞く。
これは事実だが、それよりも複数人で取り組むと一人のときでは想像もできないようなことを実現できてしまうという捉え方をしたい。
仕事の割り振り・スケジュールの管理などなども大変だが、今回一番苦戦したのはイメージの共有に違いない。
「建物がぽこぽこ出てくる感じ!」
「このiphoneの広告みたいなやつ!」
「ズームアウトの速さじゃなくて早さ!」
擬音語を使ってみたり、他の媒体を経由してみたりでずっと叫びあっていた。
相手と趣味や語彙のずれがあると、言葉での説明は想像以上に難しい。
小学校のころからの友人とでも自分の思い描いているイメージがうまく伝わらない。ましてや、多国籍の人と協力する仕事なんて想像を絶する。
それで活躍できる人になるのを目指しているわけだが…
言葉で伝わらなかったら絵を描けばいいじゃない(最終的に作るのは映像なんだから)!
こう言われるかもしれないが、絵も変な解釈を受けることはある。動きが説明しにくいのも難点だ。
結局、うまく伝えるには相手を理解して言葉を工夫するか、自分のイメージを完成形に近い状態で見せるかのどちらかが必要なのだと思う(当然の結論)。
私はnoteでも絵でも、一つ一つこだわってしまう。故にその場に対応して拙速でも作るということは苦手だ。これから伝えるツールとしての絵も意識していきたい。
試写・投影編
プロジェクションマッピングは実際に写してみないとわからない。
私たちの作品は若干画面右寄りになっていて、左側が空白となっていた。しかし、いざ試写で写してみると想定より左側の影が大きく、ちょうどぐらいになっていた。
そんな制作側からの視点ではなくとも、やはり実物のほうが見ていて迫力があるだろう。今度東京に行くときには都庁プロジェクションマッピングを見たい。
試写ではバチバチの(?)CGですごいのを作っている大学生と話すことができた。
大学にCGサークル的なものがあり、それに入るために大学も選んだと言っていた。東京ビッグサイトでのプロジェクションマッピング大会に出場したこともあるらしい。すごい。
担当の方からは画面を建物の絵である程度埋めてからズームアウトしたら良い(伝わらないだろうが…)というアドバイスをもらった。流石だ。
そんなこんなで試写と試写の後の修正も終わり、今は本番の投影を待つばかりである。
元動画のデータもあるが、あえてここには載せない。
もし神戸に来ることがあったら!19:45!ぜひ六アイまで見に来てください!!
![](https://assets.st-note.com/img/1735604670-Hum0OEjksWVhaTGpJ7ynQw6t.jpg?width=1200)
ちなみに、近いうち今回と同じ会場でプロジェクションマッピングの大会があるようだ。
神戸市内では結構広告を目にする。
やってみたい気はするが相当な効率化をできないことには時間がないだろう…1分30秒という長さも厳しい。今回はパスかな…
しかし、プロジェクションマッピングには可能性と自分への適正を感じる。
いずれ大会にも出るつもりだ。
なんとか2024年中に書ききれた!
読んでくださりありがとうございました。
良いお年を!!