見出し画像

ワタリドリ

パワハラだセクハラだなんてニュースを目にすると、「己の加害性」ということを考えますわな。僕が初めてそういうことを自覚したのは、20代前半、婚約者の浮気が発覚した時でしてね。たぶん人生で初めて激怒したんですが、非常に怯えている彼女を見て、逆に驚いたんですよ。子どものころから、いじめられたり、バカにされたりして、ずーっと「自分は弱者」という自己認識だったから、僕が誰かを傷つけたり怯えさせたりする可能性なんて、考えたことがなかった。

だけどそのころは、すっかり“バリバリ鍛えている身長190センチ体重90キロのマッチョな警察官”にトランスフォームしていたワケで。そんな男に怒鳴られたら、そりゃあ怖いのが当たり前ですわな…。彼女とはいろいろあって、一旦は復縁するも最終的には別れましたが、それ以来、自分の体格が持つ威圧感や暴力性というものを非常に意識するようになったし、そういう部分で人を怯えさせたりしないよう、気をつけるようになりました。

ただ、それでも誰かを傷つけているかもしれないなぁと。仲良い人から「実はあの時、君のせいで傷ついてたんだよ!」なんて言われないこともないだろうし、「あなたのブログを読んで傷ついた!」なんてこともなくはないだろうし、何よりも「仕事」絡みでそういうケースがありそうな予感。僕の認識では、今まで誰かに威圧的な言動とか態度をとった記憶はないけれど、とはいえ、人の足を踏んでいる側は気付きにくいように、こちらの自覚がない(or 意識が低い)ままに人を傷つけることって絶対あるから、元部下や取引先の人に恨まれている可能性もなくはない。

まぁ、こういうのって僕だけでなく、誰もが思うところがあるんじゃないでしょうか。例えば、アップリンクの浅井隆さんが従業員にパワハラをしていた問題がそれほど盛り上がらないのって、たぶん映画業界のみならずエンタメ業界全般のやりがい搾取問題に結びついて、「自分たちにも火の粉が降りかかってくるのでは!?」と戦々恐々している人が少なくないからじゃないかなぁと。ああいうパワハラや搾取って、お互いの「信頼関係」次第では「今にして思うとやりがい搾取の、とんでもないブラック集団だったんだよね(笑)」的な美談になってたりもするというか、双方が納得しているなら他者が口出しできない部分もあって、なかなか面倒くさいんだろうなぁ…なんてね(特に自主映画制作の現場など)。

僕だって浅井隆さんに全力で石をバシバシ投げられるほど「シロ」ではないし、もちろん「映画に罪はない」けど、とはいえ、”パワハラ被害者に今も誠実な対応をしていない男”が運営する映画館に足を運ぶってことは、そのパワハラを醸成した環境を支えることにはなるんだからさ、やっぱり被害者の方々の気持ちを考えると、気まずくて行けないじゃないですか…。だから、とりあえずこんなツイートやらこんなツイートやらを投下して、「問題が解決するまで劇場に足を運ばない」という意思表示をしてみたものの、本当はね、自宅から近くて超便利だし、会員にもなってるし、アップリンクで映画を観たいんですよ、心から。

つーか、映画仲間のスターリング・エレファントさんほか、複数の方からオススメいただきつつも見逃している暴力映画「ナイチンゲール」がね、現在、アップリンク吉祥寺で上映中だから、本当に行きたい…本当に観に行きたいんだけど、ちくしょう、やっぱり行けない…。で、そうなると劇場で観るチャンスは8月29日からの宇都宮ヒカリ座しかなくて。ああん、吉祥寺だったら数百円の交通費で行けるのに、なんと往復約4時間+交通費約4千円かけざる得なくなるワケですよ、浅井隆のせいで! てめぇ、ふざけんなよ、マジで!

そんなワケで、いきなりですけど、7月14日(火)に配信される、映画ライターの村山章さん主催の緊急ディスカッション「ウディ・アレンは社会から抹殺されるべきか?」には非常に期待しております。タイトルには「ウディ・アレン」が挙げられていますが、間違いなく「アップリンクのパワハラ問題」にも触れるだろうから、超優秀な方々の討論を聞くことで、「自分なりの答え」を見つけるキッカケになるんじゃないかと思っているのです(ちなみに深田晃司監督はアップリンクの問題についてちゃんとコメントしております)。

いや、ストレートに本音を書くと、「アップリンク吉祥寺『ナイチンゲール』を観に行っても大丈夫な言い訳」が見つかるんじゃないかと思ってる…という最低なアタシ。でもね、もし何も見つからなかったら、8月下旬〜9月上旬頃、宇都宮への旅に発つよ、ワタリドリのようにーー(唐突にドヤ顔を添えてーー)。




いいなと思ったら応援しよう!

カミヤマΔ
誰かにサポートしていただける…。そんなにうれしいことはありませんが、日々の生活も大変ですから、気が向いた時にでもお願いします。なお、「スキ」を押していただくと、オススメのジャン=クロード・ヴァン・ダム映画が出る仕様となっております。