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24年ぶりの円安はさらに続くか?
ドル円が140円台になり、1998年以来の円安です。短期的にはまだ上下動が続くかもしれませんが、円安トレンドが今後長く続くとは見ていません。まずドル高という観点からみてみましょう。
今年に入り、アメリカの雇用は米連邦準備理事会(FRB)が行き過ぎと考えるほど増え、8月の雇用統計では雇用者数が30万人以上となりましたが、増える速度は下がってきているようです。
また、FRBの政策金利引き上げは、自動車ローンや住宅ローンの金利引き上げを通じて、個人消費を抑える効果があります。消費が減ると雇用と賃金の上昇も止まり、政策金利上昇も一巡して、ドル高の支えも減るでしょう。
ロシアへの制裁で石油や穀物が値上がりしはじめた今年2月ごろからちょうど1年が経過する来年1-3月ごろに、インフレと政策金利引き上げは収まるとみています。
一方で円安という観点からみてみましょう。
日本の金融政策はそう簡単に変わりそうにありません。トランプ前政権の政策と異なり、日本政府のコロナ禍対策の一時金は一度きりで、金額もアメリカより少なかったです。賃金上昇も多少ありましたがアメリカほどではありません。インフレ率は上がったとはいえわずかで、それを押さえる政策金利引き上げも必要ではなさそうです。
しかし、長期金利を低く押さえるイールドカーブコントロールは、上限を例えば0.25パーセントから0.4パーセントに上げるかもしれません。この場合、市場が驚くことで、ドル円は130円より円高に戻る可能性があります。
長期投資の観点からは、円安ドル高が続くとは考えていません。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
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