エジプト考古学博物館、1階の見どころ前半ー行くなら知りたいポイント②ー
前回は、エジプト考古学博物館の館内についてのみで終わってしまったので、今回は本題の展示について。
「せっかく行ったけど、どれを見ておくべき!?何でこれが有名だったの?」と後悔した自分向けに、ガイドブックや書籍、公式サイトなどを参考にまとめたメモである。
ちなみに私は少し考古学が好きなだけの全くの素人ですので、色々と大きな心で見てもらえるとありがたく思います!
エジプト考古学博物館て、そもそもなんぞや?
1902年に現在の場所で開館。
古代エジプトの約3000年に及ぶ歴史をたどるにはここしかない、という超有名博物館。特にツタンカーメンの秘宝をはじめとする、ファラオゆかりの出土品は世界最大の所蔵数である。
ちなみにツタンカーメンご本人(ミイラ)がいるのは王家の谷(ルクソール)。
老朽化&手狭なため、新しく建築中の大エジプト博物館(略称GEM)に主にツタンカーメン関連の展示は移される予定。
ここで黄金のマスクを見られるのもあと少し!(のはず)
GEMはもともと2020年グランドオープンだったらしいが、24年秋現在でも一部のみの公開。改めて今年グランドオープン予定らしいが、本当に!?という感じ。
自分たちが本帰国の前に完成するといいが…ここはエジプト。気長に待とう。
古代エジプトは日本だと大体縄文時代
前提条件として、意外と知らない時代関係。
「古代エジプト」といっても約3000年間あり、日本では縄文~弥生時代になるようだ。
ピラミッドとツタンカーメンとクレオパトラはそれぞれ1000年以上離れている。「古代エジプト」とまとめても全く別の世界である。
ちなみに今から1000年前の日本は鎌倉時代。北条氏とかそのくらいの時代である。古代エジプトのスケールよ…
【Ground Floor(1階)】見どころ
館内で見学できるのは2フロア。Ground Floorがいわゆる1階。時代別に展示されている。
以下、大体年代が古い順にご紹介。
①ナルメル王のパレット:Narmer Palette
最古のヒエログリフが刻まれている。
古代エジプト最初の王・ナルメルのエジプト統一を描いたものと考えられている。
ここからエジプト文明が始まっていったと思うと感慨深い。
約5000年前のものがこんなにきれいに残っているってどういうこと?
② ジェセル王座像:Statue representing King Djoser
エジプト最古のピラミッド「階段ピラミッド」をサッカラに築いたファラオ。等身大の王像としては最古のもの。目の水晶などは盗掘でくり抜かれてしまっている。
階段ピラミッドの地下から見つかったタイルと合わせて展示されている
③ラー・ヘテプとその妻ネフェレトの像:Rahotep and Nofret
スネフェル王の息子で、クフ王の兄弟であるラーヘテプ王子と、その妻ネフェレトの像。
約4600年前の像って本当?リアルすぎる。特に水晶の入った目と視線が合うかのよう。
掘っててこれ出てきたらドびっくりするだろうな。実際そうだったらしい。
④クフ王像:Statuette of Khufu
高さ7.5㎝。1903年に発見された、唯一確認されているクフ王像。
ギザの大ピラミッドを築いたファラオ。
エジプトに来たら、この方のピラミッドに入った人も多いのでは。
あんなに大きなものを作った人なのに、見つかっている像がこんなに小さいというのが少し切ない
⑤カフラー王座像:Statue of Khafre
クフ王の子。第二のピラミッドを作ったファラオ。あのスフィンクスは彼の時代のものといわれている。
像はものすっごく硬い石でできている。鉄製工具がなくてどうやってこんなにきれいに加工できるのか。
ホルス神の象徴のハヤブサが後ろ頭を守っているのがよい
⑥カーアペル像:Statue of Ka-aper
エジプト史上発見されている最古の実物大木像。
モデルはカーアペルという高い身分の神官。「村長」というあだ名で知られている。
発掘調査の作業員が、自分たちの村長に似ているからと発見時につけたとか。あだ名のつけ方が夏目漱石っぽい。
展示スペースの奥の方にいるので注意
⑦書記座像:Scribe statue
200EGP紙幣の人。4500年前当時のエリート職業、書記。
比較的手前に展示されている&大きいので、見つけやすい。腕が胴体から離れているのが他の書記像との違いらしい。
目が水晶になっていて、光を当てると光る(ということを、絶対にどのガイドもやっている)
⑧アメンエムハト3世のピラミディオン:Pyramidion of the pyramid of Amenemhat III
キャップストーンとも呼ばれる。
アメンエムハト3世のピラミッド(ダハシュールの黒のピラミッド)の頂上部分に使用されていたものなのだとか
⑨ハトシェプスト女王の頭部像:Head of Queen Hatshepsut
トトメス2世の王妃。(異母兄弟でもあるのね…)夫の死後、義理の息子のトトメス3世が幼くして即位すると摂政となり政治の実権を握った。
後に自らをファラオだと宣言し、男装して国を治めたとされる。
後の世で女性ファラオが不都合とされたのか、あごひげと頭部が削られている。確かに女性っぽい顔つき。聡明な感じですてき。
彼女の棺もピラミディオンの近くにあったらしいが、確認し忘れてしまった。
『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』(犬童千絵 著)を途中まで読んで予習していたので、個人的に熱い時代。おもしろいのでおすすめ。
⑩アメンヘテプ3世と王妃像:Colossal statuary group of Amenhotep III
一際大きくて目立つ。大体この下で写真を撮っている
1階正面奥にいる、ものすごく大きい7mのお二人。すぐわかる。
アメンヘテプ3世はトトメス3世のひ孫。彼の即位する頃が、新王国時代の絶頂期。奥様はティイ。足元に3人の娘がいる
またまた長くなってしまったので、今回はここまで。
後半は2階をメインに。
【参考サイト・文献・チャンネル】
・「The Egyptian Museum」
・「古代エジプト解剖図鑑」近藤二郎
・「るるぶエジプト」(2018年度版)
・「地球の歩き方 エジプト 2021~2022」
・「河江肖剰の古代エジプト」YouTubeチャンネル