第3回神谷学芸賞発表
(2015/12/17記)
古い知人としては、本格的な英国研究に軸足を戻してもいいのではないか、という気もしなくはないが、当人が強い使命感と自覚のもとにやっていることなので、見守るのも務めかと思いつつ、今年の「金」は細谷さん。
右からも左からもバンバン銃弾が降ってきそうな、こんなスゴいモノをよくぞ書き切ったと感嘆を隠せない。
一方で「銀」が井出さんというところに、この神谷学芸賞の絶妙なバランス感覚が見て取れる(笑)。
毎日出版文化賞を取った池内さんに神谷学芸賞でもなかろうとは思う。しかし、彼の執筆活動が、ネット上に遊弋する、意識高い・頭悪い系のネットユーザーたちの無責任かつデタラメな言説のストッパーとして重要な役割を果たしていることは、どれほど高く顕彰しても過ぎることはない。
あと、いずれ「あー、彼もウチの受賞者だよ」というネタをやりたいのだ(笑)。
武井さんと安藤さんは発見の多い本だった。こういう本との出会いは人生を豊かにしてくれる。ありがたいことだ。
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◆金の神谷賞
細谷雄一『歴史認識とは何か』新潮選書
◆銀の神谷賞
井出英策『経済の時代の終焉』岩波書店
◆政治経済部門
牧野裕『IMFと世界銀行の誕生』日本経済評論社 ★
池内恵『イスラーム国の衝撃』文春新書
浅井良夫『IMF8条国移行』日本経済評論社
◆社会風俗部門
三浦展『新東京風景論』NHKブックス ★
◆歴史思想部門
武井弘一『江戸日本の転換点』NHKブックス ★
朴裕河『帝国の慰安婦』朝日新聞出版社
三牧聖子『戦争違法化運動の時代』名古屋大学出版会 ★
◆文学芸術部門
安藤礼二『折口信夫』講談社 ★
白山真理『“報道写真”と戦争』吉川弘文館
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