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コーヒー牛乳 커피우유 コピウユ
私は三度の飯よりコーヒーが好きです。自衛隊時代にタバコを吸わない無聊を慰めるため、コーヒーを好むようになりました。戦場でコーヒーを飲んでいても狙撃はされませんが、タバコの灯りは狙撃される可能性があるのです。
そんな私が1990年代前半に韓国に行って驚いたことが、韓国ではコーヒーが手軽に飲めないことでした。コーヒーはあるのですが、喫茶店で出てくるコーヒーは粉っぽいインスタントであり、自動販売機で売っているコーヒーは水っぽく飲むと悲しい気持ちになりました。当時、既に日本ではドトールがあり、手軽に街中でコーヒーが飲めました。コーヒーは確かに嗜好品であり生活必需品ではないのですが、コーヒー中毒の私にとっては必需品だったのです。
試行錯誤の結果、一つの商品に辿り着きました。ソウル牛乳(明治乳業のような大手の会社)のコーヒー牛乳です。
커피우유──コピウユ。コピがコーヒー。ウユが牛乳の意味です。昔懐かしいプラスチックフィルムの三角パックで、ストーローを刺す口はなく、上部をはさみで切ってストローで飲みます。子供向けの商品であり、砂糖が多めに入っており、非常に甘い。しかし、他のコーヒーと比較して一番コーヒーらしい味がしました。
妻の実家に遊びに行くときも近くのクモンカゲ(小さなお店)でコピウユを買って持っていっていました。そんな私を見て義母は、私が来るときには前もってコピウユを大量に買っておいてくれるようになりました。
もちろん、今は韓国にはスタバもあり、手軽においしいコーヒーが飲めるようになっています。ただ、私が妻の実家に帰省するときには、今もまだ岳母はコピウユを買って待っていてくれています。
コピウユを飲みながら溢れる想いは、妻と出会った頃の甘酸っぱい思い出と、岳母の婿に対するいつまでも変わらぬ温かい思いやりなのです。
──コピウユはいつまでも、甘くて、温かい味がするのです。
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