顔の見えるポケモンカードを |うんざり会 ― 自主大会探訪
「遠いところ、よくいらっしゃいました」
取材の前日、福島駅でひとなつっこい笑顔で迎えてくれた方が、うんざり会主催のH2氏だ。
うんざり会は2014年から続く、福島エリアで親しまれるポケモンカードの自主大会である。今回、各地で開催される自主大会を取材しようと思い立った時、まず最初に取材しなければならないと考えたのがうんざり会だった。
カードゲームの大会を開く時、参加してくれる方々がどんな方向性を持つのか考え、大会の趣旨を絞り込んでいくことが一般的である。
たとえば大型大会での成績を求めている人たちが対象ならば、競技性を重視した大会、あるいは練習会としての方向性を持たせるだろう。はじめたばかりの初心者が多いならば、より対戦のたのしさやプロセスを楽しめるようなイベントとして設計されることが多いだろう。
一方、うんざり会は参加者の嗜好性は問わずに「うんざりするほど」ポケモンカードで遊ぼうという趣旨で行われている大会だ。月1度、毎回30人から40人前後の参加者があり、小学生から学生、お父さんお母さんの世代までバラエティに富んだ方々が参加している。
「ガチもユルも、というコンセプトは、福島という地方でイベントを開くにあたって、せっかく集まってくれる人を選別するようなことはしたくないという気持ちから決めたものでした。そもそもはじめた当時(2014年)は、選別していては人数が集まらなかったという側面もあります」
さまざまな嗜好性をもった参加者が、ひとつのイベントに集い、それぞれ「今日は楽しかった」と満足して帰路に着く。そんなことが可能なのだろうか。ずっとうんざり会に感じていた疑問はそこだった。
マッチングがうんざり会の根幹
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