それぞれの理由、それぞれの道 ― イタガキタクト・イタガキシュウトインタビュー|それぞれのYOKOHAMA vol.7
イタガキタクトと久しぶりに会ったのは、2022年9月の終わりだった。Pokémon World Championships (WCS) 2023が横浜で行われることが発表され、神奈川県を拠点に活動するタクトはこれまで以上に気合を入れてシーズンに臨んでいた。
タクト「WCSが横浜で行われるという発表はロンドンで聞いていました。衝撃というかなんというか……。いろいろなことが頭を駆け巡っていましたね」
タクトはロンドンで開催された、WCS 2022に出場したものの、思ったような結果にはつながらなかった。しかし自宅からも近い横浜に世界中のプレイヤーが集まるということは、落胆していた彼をもう一度奮い立たせるには十分な理由だった。
タクト「これはなんとしても出場しなくては、と考えていました」
タクトはWCS 2008ではジュニア部門で決勝進出(世界2位)、翌年WCS 2009ではシニア部門で世界チャンピオンになった、トッププレイヤーである。弟のイタガキシュウトもWCS 2012ジュニア部門で世界チャンピオンになり、第2期ポケカ四天王にも選出されている。兄弟で世界チャンピオン経験者というのは、ポケモンカードの長い歴史の中でも特別なものであろう。
シニア、ジュニア部門での優勝後、数年のブランクがありつつも二人は数多くのWCSに参加している。むしろWCSの会場にイタガキ兄弟がいないことの方がめずらしいほどに。
タクト「長年世界大会(WCS)に参加していることもあって、世界中にプレイヤーの友人がいます。彼らが日本に来るのに、自分がその場(WCS会場)にいないなんていうことは考えたくないな、と」
一方で、弟のシュウトはもっとシンプルに横浜開催を受け止めていた。
シュウト「これはチャンスだなぁ、と思いましたね。やっぱり長旅の後、慣れない環境で大会に参加するのは、体調面の管理がとても大変です。横浜は自宅から40分くらいしか離れていませんし、勝つなら横浜だろっていうのは、練習仲間とも共通の認識でした」
はじめてのWCS、そして世界チャンピオン
タクトがポケモンカードにはじめて触れたのは幼稚園に通っていた頃。遊びにいった友人宅でたまたま目にしたカードとの出会いからだった。
タクト「ラプラスexのカードでした。特段強いテキストをもっているわけでもなく、なんてことのないカードなんだと思います。でもなぜかすごく惹かれたんですよね」
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