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マーメイドアクアポット:わくわく魔改造日記 Part3
こんにちは、かみたばです。
写真撮りの仕事の傍らで、写真・カメラ関係のYouTubeチャンネルを運営しております(紙束ログ/Kamitaba Log)。
この魔改造日記は、動画でレビューした写真機:『トロピカル~ジュ!プリキュア/ マーメイドアクアポット』をプロ仕様に改造していく記録です。全何回になるのか、そもそも成功するのかも含めて不透明な状態ではありますが、是非最後までお付き合いください。
なお、改造日記という性質上、途中から入ると意味が全くわからないと思いますので、なるべく過去記事から順番に追って頂きますようお願いします!
①基板固定穴の位置合わせ
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前回(Part2)にて、マーメイドアクアポットの基板にカメラ、スピーカー、電池ボックス、液晶を全集約させることに成功しました。
次はこの基板に合う形でボディを作っていくのですが、当然基板をボディに固定せねばなりません。基板にはビス締結用の開口穴が4つ開いており、それに合わせてビス穴を設ける必要があります。
僕は既製品にジャストフィットさせるものを作りたいとき、基本的に3Dスキャナーを使っています。たとえばYouTubeでも紹介した魔改造機:『アンパンマンはじめてデジカメ Type: Theseus』などが最たる例です。
3Dスキャナーはピンキリですが、僕はRevopoint社の『MIRACO』という機種を使っています。このMIRACOの特徴は、全てスタンドアローンで動作すること。お値段は張ってしまいますが、PCに接続することなく、物体のスキャン→メッシュ化までのプロセスをこれ1台でこなせます。液晶モニターも搭載しているため、スキャンが成功しているかどうかをリアルタイムで確認できるのも大きいです。
単にスキャンするだけであれば、他のメーカー含め数万円で購入できるものも多くリリースされています。しかしいずれもPCにスキャンデータを取り込んでチェックするもの。PC上でチェックしないと成功しているかどうかわからないというのは、僕にとっては結構なストレスです。多少コストは掛かっても、快適さを重視してここにお金を掛けています。
なお、これだけスペックが高いと、趣味の分野だけでなく、様々な業務の分野で生かせそうなスペックだと思います。表面形状のスキャン/トレースというのはいろいろ需要がありそうですよね。
②ローコスト設計手法
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…と、ここまで3Dスキャナーの話をしてきたのですが、「じゃあお高い機材がないと設計はできないのか?」というと、決してそうではありません。工夫次第でどうとでもなります。今回はnoteのネタにするために、お金をかけない方法でトライしてみました。
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そんなわけで、これが超低予算設計手法のひとつ、『秘儀:直撮り』になります。まぁなんてことはない話なのですが、基板の写真をスマホで直撮りして、PCに取り込むだけです。取り込んだ後は、画像のサイズを実物大になるように拡大/縮小してスケールを合わせておきます。これだけでOK。
寸法を正確に捉えるためのコツは、なるべくスマホの画面の中央にフレーミングさせ、かつ画面の端を使わないことです。これは歪曲収差の影響を低減するための工夫です。というのも、一般的なカメラのレンズは端にいくほど歪みが生じてしまいます。この歪みがあると寸法がずれるので、なるべく中央付近で小さく写しておき、あとでトリミングすると成功しやすいです。
なお、そもそもの目的が基板の穴位置を正確に把握することなので、トリミングによる画質低下はそこまで恐れることはありません。多少画質が悪くなったところで、設計のスケッチができれば全く問題ないわけですから。このようにシンプルな形状の寸法出し程度であれば、3Dスキャナーではなくスマホでも十分です。
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とはいえ、一発でうまくいくはずはなく。やはり微調整は必要です。
3回ほど印刷して、ようやく満足のいくビス穴を作ることができました。実は単に基板を固定するという目的だけであれば、既に1回目の印刷で達成できていました。
ただこれだけ位置にこだわったのは、液晶モニタとの兼ね合いです。ボディの中で基板が傾く=液晶が傾くということなので、非常に見栄えが悪くなります。ローラが傾いてしまうのは絶対に避けたいところ。あとから修正するのは面倒ですし、液晶モニタがきちんと水平になるよう、位置出しはここでシビアに調整しています。
③スペーサー部品の作り直し
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「よし!これでボディ側の製作に進める!」…と思ったのですが、ふとカメラの設置位置を見ると、ざっくり計算でもカメラ位置がよろしくない(奥まりすぎている)ことが発覚しました。このままの位置関係で設計を進めていくと、ボディ形状的にレンズのフランジバックが確保できないことがわかったため、泣く泣くスペーサーの作り直しです。
それと、当初スペーサー部のビス穴は「熱圧入インサートナット」を想定して設計していました。はんだごてを使って、めねじの部品を熱圧入するアレです。しかし基板周りはそう何度も取り外すような場所ではないので、下穴だけ開けてタッピングビスでグリグリ締結した方が早いなぁと思い設計変更。
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フィラメントの設定をミスってマットレッドで印刷してしまいましたが、どうせ外からは見えない部品なので問題なし。カメラの高さも5mm程度高くなったことで、C/CSマウントのフランジバックが確保できるようにしました。
④ボディの設計
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ビス穴の位置が完璧に把握できたので、それを基準にボディを作っていきます。とりあえずちゃんと機能するかのテストを早く行いたいので、ボディは特に工夫も無い完全な箱型です。よくM型ライカを箱型ボディ…などと呼んだりしますが、本当の箱型カメラってやつを見せてやるぜ。
なおボディの色は、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』を鑑賞後だったのでマットレッドにしました。余談ですが、最近真っ赤なカメラって少なくなっているのでちょっと寂しいですね。
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パーツを固定してチェック。ちゃんと基板も収まりました。なおmicroSDが数ミリ飛び出すことを完全に失念していて、ボディとmicroSDのクリアランスが0.5mm程度しかないです。あとmicroSDカードを交換するには基板を外さないとダメ。まぁテスト機ですからね。使えれば良しとしましょう。
5バックパネルの設計
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作業もいよいよ大詰め。
最後の関門、バックパネル(+レンズマウント部)を作っていきます。乱暴な言い方になってしまいますが、ここまでの作業はあくまでも外装の作り直しにすぎません。僕が今回のマーメイドアクアポット改造で目指していることは、「レンズ交換式にすること」です。
採用するマウントは、みんな大好きC/CSマウント。CSマウントはフランジバックが12.526mmなので、この寸法を守ればピントが合う計算になります。(前節でスペーサー部を作り直したのはこの位置関係が破綻するのがわかったためです)
なお、このC/CSマウントはねじ式のスクリューマウント方式ではありますが、そのねじ穴を3Dプリンターで作るのは得策ではありません。理由は2つあり、①そもそも精度を出しにくいのと、②レンズ着脱を繰り返した際の耐久性が確保できないからです。じゃあどうするのがベストかというと、既製品のアダプターリングを埋め込むのが最短ルートだと思います。
このアダプターリングは金属製で、これを圧入して埋め込むような形にしておけばOK。設計も嵌め合いの公差を考えるだけで楽ですし、レンズ着脱を繰り返してもネジ山のダメージが少ないです。この手法は設計難易度と耐久性の2つの問題を一気にクリアできるのでおすすめです。このパーツは頻繁に使用するため、僕は定期的に購入してストックしています。
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というわけで今日はここまで!
また次のわくわく改造日記でお会いしましょう!
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