■プロローグだけを読む④■ 「CUT DESIGN METHOD」内田聡一郎・著
PROLOGUE
美容師だからこそ、技術力でファンを増やす
2017年になりました。
まさに近未来と言っていい時代。
2020年の東京オリンピックを前に、
さまざまなビジネスやカルチャーが盛り上がる中、
美容業界からもさまざまな思考やビジョンを持つ美容師が出てきました。
さらに昨今では、「ダイバーシティ」という言葉がもてはやされ、
多様性を大事にする社会の中で
“自分がどのように美容師をやっていくのか”
という指針を示せるかどうかが明暗をきっちりと分ける時代が到来しています。
先日、とある美容師さんが
僕のLINE@(@mqn4604x)に質問してきました。
「内田さんにとっていい美容師とはなんですか?」
僕はこう答えました。
「いいと感じる定義は人それぞれだし、
一概にこれが正解という回答はできませんが、
僕は“技術職としてしっかりと
お客さまをファンにできる美容師”だと思います」
そう、僕が今一番に考えていることは、
技術への原点回帰です。
2012年に、僕は髪書房より
『自分の見つけ方』という本を出しています。
その中で、これからの美容師が
生き抜くために不可欠な
「セルフブランディング」の重要性と、
そのノウハウを自分なりに提示しました。
数年たった今では当たり前のように、
SNSを通じた個人での発信に力を入れ、
セルフブランディングを重んじる美容師さんであふれています。
かくいう僕も、毎日のように
@soucutsからInstagramやTwitterで発信することを続けているし、
お客さまの来店を促すことができる有効な手段だと感じています。
しかし、それは間口を広げただけにすぎず、
あくまできっかけでしかないことを
身にしみて痛感している人も多いのではないでしょうか。
情報にあふれた今、移り気な顧客を
永続的につかむのは簡単なことではありません。
来店されたお客さまに
末永くファンでいてもらうために必要なのは、
「オンライン上のコンビニエンスな発信ではなく、
オフラインでの感動体験」だと思っています。
そのために重要なことは2つ。
それは“明確な提案力”と“迷いのない技術力”です。
今回はカットに特化して、
この2つを僕なりに提示していこうと思います。
この本は、いわゆるベーシックカットの本ではありません。
基本の技術を習得するためのものではなく、
自分のつくりたいスタイルをしっかり見据えて
ロジカルに何度も切れるようになることを目的としたものです。
そして、何よりカットが大好きになるための本です。
僕は美容師としてやっぱり、
「あの人はカットがうまい!
あの人じゃなきゃ私の髪はダメ!」
と言われたい。
あなたの長い長い美容師人生において、
少しでもこの本がいいきっかけになれば幸いです。
内田聡一郎
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内田聡一郎
1979年8月30日生まれ、神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校卒業後、1店舗を経て2003年にVeLOオープニングに参加。店長兼ディレクターを経た後、2009年にVeLO姉妹店となるveticaのディレクター、トップディレクターを約9年間務めた。2018年2月にveticaを退社し、3月1日より渋谷に「LECO」をオープン。代表を務める。