美容業界誌の編集者が、オシャレに髪を伸ばすために通ったサロン vol.7
校則、就活、結婚式などに備えて「 髪 を伸ばしている」女子、そしてそんなお客さまに心当たりのある美容師は多いハズ。
髪が1カ月に伸びる長さは1cm。10cm伸ばしたいとして、1年以上“ かわいい ”を 我慢 するなんてムリ!というのも、これまた女ゴコロ。小社 アラサー編集が、髪をはって“伸ばしかけイメチェン”していく連載第6回。
Vol.4 Rougy 沼端ちはる さんの記事はコチラから
Vol.5 HOULe 柏木ゆたか さんの記事はコチラから
Vol.6 otope 浦さやかさんの記事はコチラから
この連載のルール
1「長さを変えないで イメチェン させてください」とオーダーする
2 来店周期は1カ月半に1回がめやす
3 毎回 カット はマスト、カラー&パーマは自由
髪型 の要素にはレングス(長さ)のほかに
● フォルム(形)
● 質感
が、変えられるポイント。この2つは、髪 の重なりや量感を繊細に調整する技術が求められるので大胆なレングスチェンジをしなくても微差で変えられる人は、カット がうまい美容師さんといえます。
この連載では、編集Nが過去に数々の カット 企画でお仕事した美容師さんのうち「腕に覚えがありまくりそう」なみなさまを独断でリストアップ。
毎回少しずつ変化を加えていただきながら 髪 を伸ばしていく様子を通して、 美容師 さんには「伸ばしている 」オーダーでも踏み込んで提案する勇気を、一般女性には「髪 を 伸ばす=我慢 」じゃない! というワクワクをお届けできればと思います♡
髪 を切ってもらうと
イイことがあるとのウワサ!
ワイドなピンクの 前髪 に大きく イメチェン をした先月。いつものコーディネートでも違った服に見えたりして、とても新鮮な1カ月でした。
次はどんな1カ月になるのか…? 扱いづらく飽きやすい鎖骨レングスを、もうひとひねり楽しませてくれる人♡ ということでお願いしたのは、VeLO 赤松美和さんです。
スーパーロングに短い 前髪 、いつもとびきりの笑顔が オシャレ でハッピーな赤松さん!実は赤松さん、自他ともに認める“開運 カット ”が得意ワザだそう。
開運!? それホント? 気になりすぎます!
赤松 私のところに 髪 を切りにくると、みんな「イイことが起きた!」っていうんです♡
えーっ、それは超あやかりたい。 髪 がキレイになってイイことがあるなんて一石二鳥すぎます。さて、解説とともに“開運 カット ”の是非も検証してまいりましょう。
ではまず、Beforeから
存在感のあるワイドなピンクの前髪 がポイントのスタイル。目の上まで伸びました!
眉が隠れるギリギリの長さだったので、以前かけたパーマのニュアンスが残っていたので、伸びても扱いやすく、ブリーチと相まっておもしろい動きをしてくれました。
大胆につなげない カット でつくったサイド~バックも、パーマを活かして簡単にスタイリングできました。
「次切ってしまうところにブリーチする」といったアクセサリー感覚の ヘアチェンジが、浦さんらしくてとても楽しかったです! ありがとうございました☆
制約がある中でも
変化を楽しみたい!
赤松 あと何回あるんですか? 最後の方の担当者、やることなくなりますね(笑)
編集 美和さんならきっと、その状況すら楽しんでくださると思って(笑)
赤松 確かに、制約がある中でのヘアチェンジってリアル。そこで デザイン してくことこそ、醍醐味だし楽しいなって思います☆ 基本、NGないんですもんね。ちょっと、 髪 触りますね…
赤松 顔周りはまだまだ デザイン の余地がありそうですね。 前髪 を短くするか、耳周りまで切り込むか…( 前髪 を持ち上げたり、もみあげを切った長さを想定して形をつくったりしている)
編集 美和さんが触ると 髪 の毛生きてるみたいでワクワクします。どうなるんだろう
赤松 あ、ピアスが見える感じが楽しめそう…! よし、決めました。今よりもっと マッシュ にして、耳の前までラインを出しますね。 前髪 を重めに残すことで、さりげなく。 大人 ストリート な夏 マッシュ でいきましょう!
編集 開運 マッシュ 、楽しみです♡
赤松さんのサロンワークは
“ライブ感”が楽しい!
赤松 後ろのハネ感が気になるので、収まりがよくなるようにシルエットを整えますね
1.アウトラインの毛先を カット 。毛先を揃え、裾に適度な厚みを取り戻す
2.オーバーセクションをオンベースに引き、グラの切り口で カット
3.サイドバックも同様に。切り口を揃え、髪の重なりを整えていく
4.ミドルセクションにレイヤーを入れる
5.サイドバックも放射線状に引き、レイヤーで カット
6.頭頂からもみあげのやや上まで斜めにセクショニングして、 前髪 を カット
編集 前髪がより深くなって、印象が変わりました! かなりワイドな マッシュ なんだけど、顔周りがヒョロヒョロ動いておもしろい
赤松 耳前まで 前髪 として デザイン するつもりでもみあげも切ろうとしたんですが、寸でのところで残すことにしました。こういうイレギュラーな動きをする毛束がポイントになると思うんです
編集 それって、切ってる途中に判断するんですか?
赤松 そう。基本のスタイルはカウンセリングで決めて切り進めるけど、そこからは「あ、ここやっぱりこうしよう!」もあります。私にとってサロンワークはライブと同じだと思ってるんで☆
カウンセリングで思い描いたデザインの設計図は大事にしながらも、お客さんとの会話や一瞬の表情から「もっとかわいい 髪 」を見つけるように切っていくのが赤松さん流。
正確に刻まれるテンポとアンサンブルの中でアドリブを披露する、ミュージシャンみたいなサロンワークです☆
“ 大人 の オシャレ ”は
再現性が命♡
赤松 生えグセでハネやすいところを中心に、なじませていきますね!
7.生えグセの影響で、えり足にかけてハネやすくなっている
8.毛流に沿ってスライスを取り、中間から間引くようにセニングを入れる
9.毛先にセニングを入れ、裾のなじみを調整
10.毛先をややブラントに戻す
11.前髪 の表面や耳上など、 髪 の重なりによってシルエットが膨らみやすいところにセニングを入れる
ウエット カット 時の“ミュージシャンモード”とは一転、緻密な調整に集中する赤松さん…
編集 とても繊細なドライ カット 。職人って感じですね
赤松 髪 の毛に「ここに落ちて!」って心の中で話しかけながら切ってます。毛流と会話してる(笑)
編集 すごい(笑)。この一手間に差が出ますよね
赤松 そうですね。カッターの役割は、形や質感ができて終わりじゃなくて、お客さまが自分で再現できるものを提供することだと思うんです。“ 大人 ストリート”というからには、適当に乾かすだけでキマる方がいい。だから、ドライ カット もとてもこだわります
オートクチュールの靴やドレスを仕立ててもらうときって、こんな気分なのかなと思いながら見ていました。少しずつ自分にフィットしていくようすがワクワクする時間…
赤松さんの カット って、プロセスまでエンターテインメントでした。
カット デザイン にフィットした
絶妙カラーでさらに楽しく☆
カット デザイン が仕上がったところで、ヘアカラーはカラーリスト 斉藤祐子さんにバトンタッチです☆
斉藤 シルエットがだいぶ切り込んでモードな印象なので、カラーデザインはあくまでもさりげなくいきますね☆ 明るさや色味も落ち着く方向につくっていきます
編集 お願いします!
斉藤 透明感で夏らしさを楽しむダークトーンです☆
えり足~耳後ろに左右3枚のホイルでハイライトを入れてもらいました。全体の色味はバイオレット系カラーでトーンダウン。
仕上がりがとても楽しみです…☆
切り上がり★
切り込んでいるのにサラッと オシャレ な マッシュ ウルフに仕上がりました! 前髪 の長さはほとんど変わっていませんが、サイドとつながることでガラッと印象が変わりました。
アドリブ的に残してくれた毛束とハイライトのヘアカラーが、耳の前後でリズムをつくってアクセントに。
伸ばしているときこそ
変化をつけてワクワクしよう!
編集 前髪 も長さは変えなくても形を変えるだけで、こんなに イメチェン できるんですね!
赤松 大人な雰囲気になりましたよね☆ 前髪 は目にかかってうっとうしいかもしれないけど、このウザさが オシャレ なので我慢してね(笑)
編集 美和さんにそう言われたら、邪魔じゃない気すらしてくるからすごいです…
赤松さんのヘア デザイン は、構築的でありながら即興が利いていて、それでいて緻密で…と、何だか雲の上の話に聞こえるかもしれませんが。
一番の魅力は「こうしよう!」「これがかわいいよ!」を断言してくれる安心感にあるなと思いました。だから「イイことがある」って言われたら、ホントに起こる気すらする(笑)
赤松 自分の感覚や提案に自信を持つのは、美容師の責任だと思うんです。イイと思うからオススメして デザイン するわけですしね。
また、昔から「 髪 を切ると邪気が祓われる」というくらいだから、 髪 は切るだけで気持ちが上がるもの。それを一緒に「 イメチェン いいね!」「これでイイこと起こるよ!」と楽しんでいれば、お客さまも私も楽しいことやうれしいことを見つける力が呼びさまされるんです。それが、開運 カット の正体♡
「 髪 を切る」を作業から小さなエンターテインメントに変えて、女性の本来持っているパワーを引き出しているといった感じ! 今回の企画に限らず、ご自身のお客さまに大小さまざまな イメチェン を提案して変化をつけることも、お互いが新鮮に楽しむコツなんだそう。
イメチェンって、特別なライフステージやシーズンの提案じゃなく、日常の提案。
常連のお客さまほど必要なスパイスなんだろうなと感じました!
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ぜひ1人でも多く「 髪 を伸ばしている女子」だけでなく、すべての女子が楽しく ヘアチェンジ できる提案が増えますように★
赤松さん、斉藤さん、アシスタントの鹿山さん♡ありがとうございました!
Profile
赤松美和 Miwa Akamatsu
茨城県出身。山野美容専門学校卒業。VeLOディレクター。 ほどよいエッジと遊び心を求める自立した大人女性を中心に支持されている。ファッション、ライフスタイル、気分の“今”を的確にとらえてくれる抜群のセンスと、再現性を追求する正確な カット 技術、そして何より会うだけで元気がもらえるような人柄に、多くのファン客が集まっている。
SALON DATA
VeLO(東京・原宿)
ADRESS 東京都渋谷区神宮前3-25-5 ユニゾ原宿4F & 5F/TEL. 03-5411-5051
原宿のストリート感あふれる街並みに位置しながら、開放的な雰囲気が魅力。確かな技術で提案されるシンプルモードなスタイルがウリでありながら、多種にわたるヘッドスパやトリートメントのメニューも取りそろえられていたり、5Fには青山~原宿を一望できるテラスがあったりと、つい長居したくなるカフェのような一面も。美容室に行く習慣を「行かなきゃ」から「行きたい!」に変えるデザインと空間づくり、おもてなしで、いつもハッピーをもらえるパワースポットです☆(担当編集より)
(これまでのVol.1 LILI 三好真二さんの記事はコチラ/Vol.2 蔦tuta 黒須光雄さんの記事はコチラ/Vol.3 broocH 柳亜矢子さんの記事はコチラ/Vol.4 Rougy 沼端ちはるさんの記事はコチラから/Vol.5 HOULe 柏木ゆたかさんの記事はコチラから/Vol.6 otope 浦さやかさんの記事はコチラから)
次回は
THE REMMY 上田竜二 さんの元へうかがいます。
美容師さん向けに、カット・カラー・パーマ・トリートメントの基礎&最新技術と経営情報を発信! 『月刊BOB』『月刊NEXTLEADER』を発行する、美容専門出版社です。