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Marathon du Mont Blanc

 大会概要

【場所】 Chamonix in France /シャモニー・フランス
【出場レース】 
 KM Vertical 2022年6月24日 → 悪天候により6月25日に延期
 42km du Mount-Blanc 2022年6月26日 → 故障によりDNS
【結果】KM Vertical タイム44分08秒 順位:12位 

遠征の集大成

Marathon du Mont-Blanc(モンブランマラソン)では2つのカテゴリーに出場予定でした。
ひとつはKM Vertical(キロメーターバーティカル)。距離3.8kmで標高差1000mをかけ登るバーティカルレースです。
そしてもうひとつが42km du Mont-Blanc。ゴールデントレイルシリーズの第2戦であり、ヨーロッパ最高峰のMont Blancを横目にマラソンディスタンスを走る歴史的な大会です。今回の遠征の締めくくりとして照準を合わせていました。

42kmは怪我のため棄権

しかしオーストリアのHochköning Skyraceの後、シンスプリントを発症してしまいました。遠征前に抱えていた故障が完治し、ようやく狙ったトレーニングができるというタイミングだったので正直うんざりしました。今回の遠征ではレースのみならず瑠偉さんや竜之介と一緒に練習するのを楽しみにしてましたが別メニューをすることになりました。
痛みがあるときはウォーキングや登山で体を動かし、ロードや下りは痛みが悪化するので控えて、ランは登りに特化。バーティカルのコースでバリエーションを加えながら何本も登りました。下山は歩きか、たまに贅沢してゴンドラで下山しました。

土曜日のKMVの後、痛みがピークに達してしまいました。
KMVを棄権して42kmに足を温存するとういう選択肢は自分にはありませんでした。今回の遠征では登りを特に強化したかったので、42kmと同じくらいバーティカルレースを重視していたからです。

ハリネズミのお告げ

42kmに出場するかの最終的な判断は先生と相談して朝のアップの痛み具合で決めることにしました。
レース当日の早朝、庭で歩きながら痛みチェック。やっぱり痛い。どうしようかな、、。
決断できずに何周かグルグルしていたら茶色い大きな塊が目の前に。スマホのライトを当ててよく見るとそれはまさかのハリネズミ!野生のハリネズミなんているんだ!?とびっくり。それと同時にこれは何かのお告げかなと思いました。
解釈① 僕を踏んで足裏をほぐしなさい。
解釈② 棄権して鍼治療しなさい。
う〜んこれは②かな。DNSすることにしました。

ハリネズミ

あとで宿のオーナーさんに聞いたら、庭でハリネズミを見たことは50年の間で一度もないらしいです。やっぱりお告げだったんだ。

ということで42kmは2人のサポートに徹することにしました。先生と一緒に3つのエイドを車で回ってドリンクを渡したり前とのタイム差を伝えたり撮影したり。3箇所とも無事回れてゴールにも間に合い任務達成!
第1エイドでは瑠偉さんは11位、竜は33位でしたが2人とも徐々に順位を上げていき見事3位と19位でゴール。感動をありがとうございました。次は自分も!!

第3エイド。余裕の表情の瑠偉さん
総合19位、年代別3位でゴール。竜之介


KM Vertical 振り返り

Chamonixに移動してからの2週間は主にKMVのコースで練習を行いました。前半と後半に分けてそれぞれタイムアタックしたり、インターバルトレーニングなどバリエーションをつけて行いました。練習強度は充分でしたが動きのキレがないと感じていました。平地の練習ができていないのが原因だったと感じています。スピード練習や速いペースでのジョグが気持ち良くできているときは登りも弾むように足が上がる感覚があります。しかし今回はシンスプリントのため全く平地を走っていなかったので仕方ありませんでした。

金曜日の夜がKMV。日曜日が42kmというスケジュールだったので直前の調整はこんな感じ。結局、悪天候によりKMVは土曜の朝に延期になりました。

水曜:1/2VK。レースペースかそれ以上でレースのきつい感覚を体に慣らす。
木曜:足の痛みを見ながらウォークかジョグ
金曜(朝):レースペースで1/2VK。
金曜(夜):KMV → ウォーク
土曜:ウォークか軽いジョグ → KMV
日曜:42km → DNS(棄権)

冷静に、でも出し切る作戦

モンブランマラソンのKMVコースはゴンドラの真下をジグザグ進む特徴的なコースをしています。スタートしてから700mは登り基調のロード区間。その後約3kmひたすらゴンドラの真下をジグザグと進みます。勝負はジグザグの登りでどれだけペースをキープできるか。そして最後のクライミング区間で手もうまく使いながら力強いハイクアップができるか。
スタート方式は15秒毎に1人ずつ出走するウェーブ方式。僕は9時56分45秒。その45秒後に近江竜之介選手という順番でした。速い選手ほど後方からスタートして前の選手を抜かしていくバーティカルならではのスタート方式です。僕ら日本人2人はほぼ最後尾でした。世界選手権でトップ10入りしている竜之介にとっては妥当な順番だけど、僕は内心「そんな速くないからもっと前で気楽にスタートさせて」と思ってました。前の選手たちはかなりのスタートダッシュ。この雰囲気に流されて自分もダッシュしたら途中で潰れると思ったので冷静にスタートしました。

バーティカル選手の酸欠脳内

ここからはスタートからゴールまでの44分間の頭の中です。こんな事を考えて走ってます。

スタート:「うわ!めっちゃ人いる!ここで調子乗ってダッシュしたら潰れるぞ。登山口まではセーブしてこ」
ロード区間:「『好きなショートケーキも〜喉を通らないな〜』始まったよ。頭の中で歌の無限ループ。今回はI Don’t like Mondaysか。悪くないけどサビじゃないのか。何百回ループしたらゴールかな」
200D:竜に抜かれる。「おっ!竜きた!ロードで抜かれると思ってたけど、意外ともったほうかな」「ついてく?いやムリだ」
400D:「けつとハムがじわじわしてきた。やばいな。まだ半分もきてないのに。呼吸はまだ大丈夫!700Dまではハイクじゃなくてランで押したい」
1分前にスタートした選手が見えた。「とりあえずあの選手に追いつこう」
500D:前の選手に追いつく。「この選手ペース乱れすぎだろ。走るのかハイクするのかどっちなん!後ろ走りづらすぎ。抜かさしてくれ」『ソリー』「ゆずらないんかい!」ちょっとして道幅が広くなったところでなんとか抜いた。

700D:「3分の2終わった!あと10分ちょい。耐えろ」
10分くらい前にスタートした女子選手たちが前に何人かいる。「この速そうな女子選手と10分差を縮めたのか。意外と良いペースかも」
800D:ロープ場で前の選手に詰まって数秒待ってる間に初めて時計を見る。「累積標高850!ってことはあと150アップ!おしゃ! 心拍は?113⁉︎ バグってる!」「とりあえず追い込も」
イレズミとバフの帽子がかっこいいイカした選手に追いつく「体でかすぎ!抜かせない。ラストの広い道でダッシュして抜こう」
950D:「あれ?ゴールここじゃないの?どこまで続くんだ!?もうスパート持たん、、」「ゴール見えた!絞り出せ自分!!」
ゴール:「終わった、、、。水くれ!」

以上。酸欠選手の頭の中でした。

結果は12位タイ。あと8秒縮めればトップ10で入賞でした。悔しいけどウェーブスタートだとゴールするまで順位がわからないのでこういった事がよくあります。
バーティカルはずっと苦手意識がありましたがちょっと強くなった気がします。肉体的に速くなったというよりは苦しい感覚に耐えるメンタルが強化されたという感じ。

帰国してからも連戦が続くのでまずは早くシンスプリントを治してコンディションを整えます。

Chamonix は最高の環境でした。また必ず来ます!!

VKの練習後にパシャり

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