100のブルーオーシャン 日経BP総研
目標(この本から何を学びたいか)
前回、「SDGs入門」を読んだことで、2030年に向けたビジネスに興味を持ったため、学びたいと思った。また、将来起業したいという夢を持っているため、2030年という「SDGs」の節目の年に向けて、日経BPの総研の方々が、どのような考えを持っているのか学びたいと思った。
学び
「イノベーションは市場にあって市場に集中し市場を震源としなければならない」
社会生態学者ピーター・ドラッカーが残した言葉だ。イノベーションは市場すなわち顧客に注目しなければならない。顧客に新たな体験をもたらすことがまさにイノベーションである。
変化に気付け
ドラッカーは『イノベーションと起業家精神論』(上田惇生訳、ダイヤモンド社)の中でイノベーションのための7つの機会を挙げている。ドラッカーは7つの機会の中で、変化に気づくことが大事だと繰り返し述べている。『産業構造の変化を知る』『人口構造の変化に着目する』『認識の変化を捉える』といった具合だ。大きな変化があるとイノベーションが起き、新たな市場が生まれる可能性が高まる。
5つの構造変化
本書では、ブルーオーシャンに行こうとすると、5つの構造変化の上に新たな何かを築いていくことになると説明している。イノベーションのプロジェクト、日常業務でも、5つの構造変化はどうなっているのかを考えてみると色々なことが見えてくるそうだ。ここからは5つの構造変化について、それぞれ説明していく。
1.有形資産から無形資産へ
米国S&P500(米国に上場する主要500銘柄の株価指数)に入っている企業の市場価値を見ると、無形資産が占める割合が、2015年には87%、現在は9割近くなっており、年々高くなっている。
伊藤レポート2.0の総括「起業がイノベーションを生み出し、企業価値を高めるために、施設や設備等の有形資産の量を増やすよりも、経営人材含む人的資本や技術や知的財産等の知的資本、ブランドといった無形資産を確保し、それらに投資を行うことが重要になってきている。」
日本の無形資産投資比率は欧米よりも低いため、新たな市場を考えるカギは、人間そのものの生まれてから死ぬまでの活動への投資とも言える。
2.クローズからオープンへ
米国の配車サービスと民泊サービスの特定2社が呪文のように繰り返されれている。『Clear』という手書きの学習ノートを登録して共有するアプリがあり、30万冊以上のノートが公開されていたり、『TikTok』では、利用者5億人が動画を投稿し視聴するなど、一方向から双方向という動きができている。
ITの分野では、「オープンソース・ソフトウェア」の流れがハードウェアにも及ぶようになってきている。知的財産を抱え込まず、公開させることでイノベーションを起こそうという動きが生まれている。
3.資源無限から有限へ
ノーベル化学賞を受賞した福井謙一氏は「21世紀は地球修復の時代」と仰った。人の能力、情報、データといった無形資産はある意味無尽蔵にある。
一方、地球の自然やエネルギー資源は有限であり、世界各国が何らかの約束をして利用を制限しなければいけない(=SDGs)。
積水化学工業と米社が協力して、ごみをエタノールに変換するテクノロジーを作ったように、2018年『100のリスク』(日経BP総研)に記載されている「ESGのリスク」「認証品争奪」「水不足と水災害」「海洋汚染によるプラスチック禁止」など、これらの解決策を用意できれば、それ自体が新市場になる。
4.テクノロジー集中から偏在へ
高性能テクノロジーを個人の判断で手に入れ、利用できる。5Gの到来。
5.生存からQoL(クオリティ・オブ・ライフ)へ
米国の心理学者アブラハム・マズローは欲求五段階説の「自己実現」の次に「自己超越」を書き残して亡くなった。SDGsとか社会起業家は、まさに自己超越へ向かっていく取り組みである。
現代人は、健康に気を使いすぎなくらい使っている。とは言っても、健康・美容・匂いの認識の変化は、市場の変化である。ただ生きているだけでなくQoL(=自己超越)を求めていくという大きな変化がある。
モノがあふれ生活が豊かになった国においては視野を広げるようになる。目に入ってくる環境保護や食料の無駄をなくそうと世界全体のことを考える。物を買うことをシェアで済まし、QoL(=自己超越)のために趣味の体験に投資するようになる。メーカーはモノではなくサービスや人材に力を入れざる負えなくなる。
以上。