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【クリミナル・マインド 9】アンダーソン夫婦の悩み – あらすじ
「結婚とは夫婦で描くモザイク。
無数の瞬間がラブストーリーを紡ぐ」
作家 ジェニファー・スミス
【感情のトリガー↓】
【哀】情熱の発見
【愛】夫婦の雀躍
【哀】恍惚の儀式
【妖】セッション
【悲・綻】ネックレス・偶然の邂逅
約4,000字
【哀】情熱の発見
大きめなミリタリー・バックを背負った若いブルネットの女性——二十代くらいの彼女は、安心できてやさしそうな運転手を物色していた。
たまたまそこには、六十代くらいの背丈が大きく、ほっそりとした男が給油をしている。若い女性はその中老男性の背後にかけ寄り、切迫つまった感じで “乗せてほしい” と願いでた。
頭のてっぺんがツルッとした男はいったん断るのだが、サイド・ミラー越しにうつる、彼女の物乞いのまなざしには耐えられず、進んだ車をもどし、乗せてあげることにした。
若い女性は、よその州から一人で移動してきたらしく、頼れる知り合いはひとりもいないという。この爺さんは人が良さそうだから、あやよくば、食べ物やお金をめぐんでくれると思ったのだろう。
それを聞いて、男はすこしニヤッ…とした。
男はあるモーテルの駐車場に駐まり、バス代にかかる少しばかりのお金を渡して、彼女と別れようとした——すると、モーテルの部屋から男の妻がやってきた。六十代くらいの妻は、雨に濡れて冷えている若い女の身を案じ、部屋のお風呂を使わせてあげた。
この熟しきった夫婦は、今もカウンセリングを受けている。ふたりには、ある宿題が課せられており、それは、“情熱の再発見” であった。夫婦をながくやっていれば互いの情熱は冷めていくもの。このままでは離婚という選択を視野に入れなければいけない。それを回避しようと、彼れらはその情熱を再確認しようとしていた。
お互い、どこに魅力を感じて一緒になったのか——。
シャワーを浴びおわった若い女性は、突如、そのほそい首を夫のベルトで締められる! その様子を妻は間近でうっとりと眺めていた。やがて、さんざん暴れていた彼女の動きは微動だにしなくなり、ベッドの上で悶死に朽ちた……。
これが——この夫婦を繋ぎとめる情熱の淵源。
物色していたのは彼れらも同じだったのだ。
その後、夫婦は暫くぶりの熱〜い夜を過ごすのであった——。
【愛】夫婦の雀躍
別居せいかつから離婚の危機にあったこの夫婦は、また一緒になることを考えはじめ、お互い、歩みよりを努力するようになった。それほど、この前の夜が忘れられなかったのだ。セラピストにもそのことを褒められ——詳しい内容までは伝えていないが——プロセスが大事だから、それを続けていってくださいと言われるのであった。
次は、夫からの歩みより。まずは、奥さんの大好きなピンクのバラを用意して、喜ばせてあげてくださいという課題であった。妻をとなりに夫は “やってみるよ” とセラピストに答えた。
その夜——。
リビング・テーブルの上には一〇本以上のピンクのバラと、フローラルな香りのただようアロマ・キャンドルが数本ならび、古いレコード盤から流れる心地よいメロディーが、ふたりのラポールな空間を演出している。
妻は、太くたるんだ二の腕を気にすることなく、だいたんに、肩と胸の開いた赤いひざ丈けワンピースで、めかしこんでいた。あまり乗り気のない様子を呈していたが、夫の紳士的なあつかいに甘い香りのするコロンで妻は女の顔になってゆく。いつのまにそんな技術を覚えたのか、夫はしっかりと妻をエスコートして、せまいリビングでも優雅に踊らせてみせた。
仲のいい夫婦にも変化は重要だ。そのことに気づいた夫のアランは、妻の提案をよろこんで承諾した。
つぎは、わたしが え ら ぶ 。
夫婦は舞った——
ぴ ょ ん ぴ ょ ん く る り と——。
【哀】恍惚の儀式
今夜は三人で楽しみたいの♪——それ相応の額でつり上げられた若いダンディーな色男。もちろん、誘ったのは妻のジュディスであった。ちゃちなモーテルに妻とやってきた彼れは、今、シャワーを浴びている。また、あの赤いワンピースに着替えたジュディスは、昂る興奮をおさえながら待っていた。
シャワーを終えた色男がやってきた。
清めた股間にフィットする下着をはいた彼れは、さきほど挨拶した、夫のアレンがいないことに気づく。
ちょっと、外に出ている——と、ジュディスは言い、熟女のだらしない巨乳でアピールしながら、となりに座らせようとした——
と、そこに、背後から硬いヒモ状のようなものが男の首に巻きかかる! それは瞬時に気道をあっぱくし、若い男を酸欠状態にみちびいた! のこった膂力で振りきろうと試みるも、以外とアランの力はつよく、やがて悶え、苦しみ、声もあげれずに彼れは絶命した……。
その一部始終を妻のジュディスは近くで観察していた。
ジュディスのアソコは濡れていた——。
【妖】セッション
妻のジュディスは捕まった。
六年前の生存していた被害者による記憶の想起で、レッカー車に勤務していた人物が犯人だと、F B I にバレてしまったのだ。
仕事の帰りが遅いことにしびれをきたしたジュディスは、夫の携帯に留守電を残していたのだが、そこには F B I に捕まる様子も録音されており、アランは、妻が逮捕されたことを知るのだった。
夫のアランは悩んだ末に決断する。
ジュディスを諦めて逃亡しよう——いや、その前に、やることがある。この街ちで最後にひとり、どうしてもやり遂げたい人物がいるのだ。妻のすすめで通うようになった夫婦専門のカウンセリング。南米よりの血が混じる、褐色肌の優美な女性セラピスト——ベネディクト先生を殺し、レイプすることだ!
この街ちを出るということをベネディクト先生に伝えた夫のアランは、ジュディスのいない最後のセッションを受けようとする。その、みょうに好意的で、やさしく振る舞おうとするアランに、わずかばかりな警戒心を抱いてはいたものの、美しいベネディクト先生は引き受けるのだった。
誰れもいない待合室を通っていくと——
カウンセリング・ルームにたどりつく——
今、彼れらは ふ た り き り ……。
【悲・綻】ネックレス・偶然の邂逅
ジュディスは昨夜、おそく帰ってきたアランからサプライズでネックレスをもらっていた。それは、ふたりの絆の証でもあり、ふたりの未来の証でもある大切なネックレス。
だから、どんなに取調べ室で尋問されようと——夫のことについて糾弾されようと——決して愛する人を裏切らない。
だが、アレックスとの鋭い揺さぶりのせいで、ジュディスはつい、うっかり洩らしてしまった。
私たちは、“一歩ずつ、再構築してる” と。
それは、三度の離婚経験を持つロッシには、耳にたこができるくらい聞かされていたワードであった。
現在も二人はカウンセリングに通っていることが判明し、夫婦を担当してるベネディクト先生を、今にも襲おうと自分のベルトで締めあげてる最中に、夫のアランは逮捕された。
妻のジュディスはそれでも協力しないという。他の女性をレイプしようとしていたのにも関わらず、裏切らないと宣ったのだ。が、それも虚しく、真実は残酷なものであった。
夫のアランは元来の性的サディストである。あのとき帰りが遅かったのも残業のせいではない。州をまたいでまで女性の首をしめ殺し、レイプし、ナイフを刺すことで性的快感を得ていたのだ。その戦利品こそが、あのネックレスである。
四年前のアランの性病発覚で裏切りを知ったジュディスは、夫の楽しみである殺人に協力しないことで罰していたつもりだった。
クレストビューの暴行魔。
これが、アランの持つ、もう一つの顔だ。
裏切らないと誓いをたてていたジュディス。
夫の見せた最後の表情は、鬼の形相であった……。
いつも陽気で明るく、仲間を笑顔にしてくれる癒しの存在——
ペネロープ・ガルシア。
新しくできた恋人のサムに、彼女はすこし不満を募らせていた。いつも会うときは自分から誘っているし、デートのプランだって——いつも決めるのは自分。たまには男らしく、自分から積極的に行動してほしい……という健気な乙女心。
バレンタインの夜——。
モーガンのアドバイスで、ガルシアは言った。
いつも私しが決めるのはイヤ。
サムという彼氏はとても安定型で、相手に合わせる能力が優れた人物であった。計画を立てるのが好きなガルシアを尊重し、あえて行動に出なかっただけなのだ。
彼女の気持ちを汲みとったサムは、“ファミレスに行こう” と言った。あそこのミルクシェイクが美味しいんだ——と加えて。身綺麗に整えたガルシアもシェイクは大好きだった。
一歩前進。と、そこで嬉しい偶然の出会いが——!
モーガン・カップルだった。
美しい彼女に鼻の下を伸ばしすぎたせいで、どこのお店も満員だったらしい。
二組のペア・カップルは、仲良くダブルデートで幕を閉じるのだった——。
【感想】
ということで、同じ指紋を持つ人がいないように、カップルの形もおのおのってことですね。
夫は性的サディストで、妻が窃視障害者——
ん〜、かなりカオス(笑
そして、モーガン・カップルの、あの出立ちですよ。まるで、ホストと港区女子じゃないですか!
なんと、ハロー効果の高いこと。
う〜、ミルクシェイクが飲みたくなるぅ……
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