【クリミナル・マインド 9】いたずら電話 – あらすじ
「人間性に絶望してはならない。
なぜなら我々は人間だからだ」
アルバート・アインシュタイン
【感情のトリガー↓】
【哀・謎】非通知電話・未解決事件
【疑】携帯の番号
【嘆】痛みの共有
【哀】つづく悪夢
【安】母への慈憐
【哀・謎】非通知電話・未解決事件
中産階級の仲いい親子が住む——寝室の固定電話——にプルルルル…っと着信が鳴った。母親のリダが電話を受けると、『やっつけてやるぅ……やっつけてやるぅ』と相手は言てきた。それは奇妙な雑音が背景にながれる子どもの声だった。これで、四回目——。
一階のソファで寝落ちしていた父親——マルコムが寝室にもどってきたのだが、妻の不安をあとにそのまま眠りにつくのだった。
次の朝、母親は朝食の準備をしているいっぽうで、ビジネス・スーツに着替えた父親は、犬の散歩におでかけ中。朝食がととのうと、母親のリダは、息子のアンディを呼びつけた。なかなか起きてこないアンディにしびれを切らた母親は、息子の部屋に上がっていく。
が、その時にはもう——
一〇歳のアンディは消えていた……。
息子のアンディが最後に確認できたの昨夜9時ごろだという。今日中に見つけ出さないとアンディ君の命が助からない。 F B I は、大至急、現場に向かうのだった。
犯行手口の特徴として、押し入った形跡や争った形跡は見られなかった。が、玄関ドアの外壁にはべったりと血が塗られている。そして、息子の失踪に気づいた直後にも電話がなり、『ぼくがやったんだよ』とメッセージの内容も変わっていた。
実は、今回と似たような事件が一五年前にもあったという。かつてのメンバーだった——ギデオン捜査官が担当していたのだ。
九歳のフランキーという——アンディと特徴の似る——少年が、下校中に拉致されてしまい、その三六時間後には遺体となって発見された。それ以降、犯人の動きはピタッと止まり、捜査も未解決なまま終わったのである。その時も、子どものイタズラ電話が、あちこちの公衆電話からかけられていた。
これは一五年前と同じ人物による犯行なのか?
それとも、模倣犯による仕業なのか?
F B I は事件の解明と少年の救出に邁進する。
【疑】携帯の番号
家宅捜査していたリードとジェイジェイは、アンディの部屋にスニーカーがなかったことに気づく。他のよそ行きの靴は何足も置かれているのに、一〇歳の少年がスニーカーを履かないとは考えにくい。おそらく、一足分の靴が無くなっているのはスニーカーで、誰れかに呼ばれて履いていった可能性が高いのだ。
つまり、犯人は知り合い——。
アンディはみずから窓のカギを開けて、出て行ったのだ。
すると、ガルシアから意外な人物の名前えがあがる。なんと、深夜三時にアンディの両親宅へかけていた番号は、父親のマルコムの携帯だったのだ……。
【嘆】痛みの共有
支局の待合室に妻のリダと夫のマルコムがいる。ふたりはテーブル・椅子にすわり、深く抱きしめ合っていた。決して埋まりはしない、ぽっかり空いてしまった希望の穴。それは、ふかい暗闇の奥のほうまで及んでいた。
悲嘆のよどんだ空気が瀰漫する待合室に、ある人物が入ってくる。一五年前、九歳だったフランキーがさらわれ、その輝かしい命を奪われた遺族の父親——クレイヴィン。息子が死ぬ一年前には母親がうつ病の悪化で自殺しており、新しい妻は、事件の一年後に家を出てしまっていた。心ないメディアたちに、まるで犯人のように扱かわれたクレイヴィンは、精神を破壊され、三ヶ月も施設に入院していたという。そして、絶望のどん底にいる——彼れが入院する施設にまでも、電話が掛かってきたのだ。
『どうだ、まいったかぁ』——。
彼れは二人の夫婦を見て、どうしても伝えられずにはいられなかった。
あなた方の気持ちをほんとうに理解できるのは——
わたしだけでしょう、と。
この三人の手はつながった。
共通の悲劇を受けたという心の共鳴によって……。
【哀】つづく悪夢
依然、犯人の正体は不明だが、電話に掛かってきた子どもの声は、一五年前に掛かってきたものと同じ主であることが判明した。今回の事件は、同一犯によるものだったのだ。
なのに、まるで悪質な宗教の妄信者のごとく、アンディの両親宅に押し寄せてくるマスコミの連中ども。彼れらは、遺族がどんなに苦しい環境に置かれているかなんて、痛痒も感じない寄生虫も同然の存在である。
夫妻は自宅にもどらず、モーテルでやり過ごすことにした。が、妻のリダが歯磨き粉を買ってくると言って、夜の買い物に出かけた——そのすぐあと、夫のマルコムがいるモーテルの部屋の電話が鳴った。
『やっつけてやるぅ……やっつけてや——』
マルコムはすぐに電話を置いて駆けつけた。
すると、ここだよ——と言っているかのように、カーステレオから流れるサウンド・ミュージックが呼んでいる。その運転席の扉が開いてる車の中には——
リダの姿はもう——消えていた……。
【安】母への慈憐
犯人の怒りの正体とは、大好きだった母親を苦しめ、そのせいで無理心中をさせられたことへの復讐であった。母は助からなかったが、子どもであった犯人は生き延びていたのである。
きっかけは、一五年前のクレイヴィンの助手として勤めていた頃、自殺した元奥さんは異国の女性だと知り、そして、息子のフランキーは当時の自分と同じくらいの歳であった。
この偶然の一致が犯人の閉ざされていた復讐心に火をつけてしまい、少年を殺すことで父親から救い出したつもりだったのだ。
そして、次にゆがんだ認識で救おうとしているのが、母親のリダである。彼女は犯人の自宅のなかにある正神女マリアの絵が描かれた、祭壇の裏部屋に隠されていた。
発見された彼女は無事だったのだ。
が、マルコムにかけてきた発信元をたどっていたジェイジェイたちは、あるものを見つけだす。
人気のない野原に置かれている、毛布に包まれた携帯。
これは 囮 だった。
犯人はまだ、いるのだ。
自宅のなかに……。
【感想】
いやぁ、今回はミステリーな内容でしたね。僕たちって、事前に犯人を予測してしまうという、悪い癖みたいなのがあるじゃないですか? それをわかってて、ミスディレクションを誘うように仕向けてるところが素晴らしい。
もちろん、僕も引っかかってました(汗
なんでしょうねぇ、哀しみ要素が強いうえに事件は解決したものの、なんか晴れないなぁって気分になります。