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若手選手はチームの将来を背負うのか?

先日のジュビロ磐田新体制発表の翌日の某新聞記事で引っかかるワードがあった。

『将来の屋台骨を担うはずだった若手が流出したのは事実。』

この記事で言う選手は鈴木海音と平川怜の事だ。

確かに平川怜は昨シーズンから加入した、アンダー世代の代表では久保建英と並ぶ逸材と呼ばれた選手だし、
鈴木海音はジュビロの下部組織から昇格して五輪代表にも選ばれた選手だ。

ただこの2人が移籍したことがジュビロ磐田強化部の失態のように書かれていたように感じたが、それは違うのでは?と違和感を感じたのだ。

黄金期はどうだったか

下部組織出身の選手がトップチームに昇格し、チームの中心選手として活躍し、そのチームで引退する。
これは理想的な形だろう。

ジュビロ磐田が強かった1997~2002年頃の主力選手は確かに生え抜きの選手が多く、黄金期を作ったため、その理想を某新聞記者は未だに引きずっているのかもしれない。

藤田俊哉・名波浩は大卒ルーキー、服部年宏は大学を中退してプロへ、福西嵩史・田中誠・鈴木秀人・奥大介・高原直泰は高卒ルーキーで入団し、力を付けて主力へと成長した。

鈴木秀人以外は他クラブへ移籍し、ジュビロで引退したのは秀人と最後に戻ってきた名波だけだったが。


ジュビロ磐田の目指すレベル

話を現代に戻そう。
今のジュビロの目指すチームのレベルは何処なのか。

藤田俊哉SDは2026年J1優勝という、ちょっと何言ってるのかわからないとサンドイッチマンに言われてしまいそうな目標を掲げているが、


現実的にはJ1に安定して居続けられるレベル、
J1で10位前後のチーム力をまずは身に付けたいだろう。

そこを目指す上で、現在のジュビロのチーム力はギリギリJ1に残留出来ないレベルだった。
J2降格したことで主力を多く引き抜かれるとJ1中位レベルを目指すのも難しくなってしまうが、主力で引き抜かれたのはジャーメイン良くらい。

グラッサ・クルークスを引き止め、渡邉りょうを完全移籍で買い取った上で、新加入選手も獲得してきた強化部は素晴らしい仕事をしたと思う。

そして移籍した平川と鈴木海音だ。

平川怜は昨シーズンのJ1で前半戦は主力としてプレーした。
一番得意のトップ下で起用されなかったというエクスキューズはあったものの、インテンシティ、守備力は今のJ1ではやや足りず、アウェイ浦和戦で失点に絡んだことを機にポジションを失った。

鈴木海音も昨シーズンは3月末からポジションを掴み、夏までは主力としてプレー。
五輪代表にも選ばれ、更なる成長を期待されたが、J1では強度が足りず、多くの失点に絡み、チームはハッサン・ヒルを獲得。
後半戦はポジションを失った。

つまりはJ1中位を目指す上で彼らはジュビロの求める基準に現時点で達していなかったのだ。

もちろん2人とも今後の成長は充分見込める選手だ。
ただ今のジュビロの主軸として据えられる選手ではなかったのだ。

彼らの成長に期待してスタメンで使い続けるという選択肢もあるが、1年でJ1に復帰し、J1中位にいられるレベルを目指すチームに、そこまで若手の成長に時間を掛けられないという現実的な判断をジュビロは下したのだ。

その選手にJ1チームからオファーがあったら、選手本人もJ1でやりたいだろうし、ジュビロではスタメンが難しい状況。
新たな環境でチャレンジしたいと考えるのは当然だし、ジュビロとしても移籍金が得られるなら悪い話ではない。
お互いwin-winな移籍だったのではないだろうか。


現代の移籍傾向

さらに現代の移籍傾向はJ1で主力を担える力を付けた若手選手はもれなく海外移籍していく。

古川陽介が良い例だ。
昨シーズンの途中、ヴェルディ戦でのスーパーゴールを機に殻を破り、

新潟戦でアシスト。

鹿島戦でも決勝ゴール。

で、これですよ。

これから主力として計算できるようになってきたなと思ったら海外移籍。

決して若手の海外移籍がチームにとって悪いことではない。
移籍金や連帯貢献金が見込めるし、このチームで活躍すれば海外移籍ができると選手にアピールできるし、海外クラブともパイプが構築できる。

そして日本人選手は比較的帰属意識が強い。
海外で活躍・成長したのち、ジュビロに戻ってきてくれる可能性もあるかもしれない。

ジュビロの目標がJ1中位以上にいられるレベルであれば、尚更育った若手は海外移籍するレベルの若手選手となる。

ただこの現在の流れでは若手選手はチームの主軸には据えにくいのが現実だ。

ジュビロ磐田の強化方針

そうした流れから、最近のジュビロは高卒ルーキーはユース所属が中心。
その代わり大学ルーキーで優秀な選手を獲得出来ている。
昨シーズンは植村、今シーズンは角、来シーズンは吉村と大学トップレベルの選手を獲得出来ていることは素晴らしい。

大卒ルーキーは海外移籍の確率は高卒ルーキーよりは低いので、チームの主軸に成長してくれる可能性はある。

大学生側もJ1のトップレベルのクラブでは出場機会が得られるか難しいので、ジュビロを選んでくれているのかもしれない。

そして新加入選手はルーキーを除くと24~32歳。
特に20代後半のこれからピークを迎える即戦力が多い。

神セーブ自作資料

この年代は海外移籍の可能性は低く、チームの主力を担う可能性は高い。
近い将来のチームの屋台骨を担う選手たちだ。

今の時代は海外移籍も多くなり、Jリーグのレベルも昔よりも高く、チーム数も増えている。
サッカー選手は試合に出てなんぼ。
ワン・クラブ・マンは極めて生まれにくい時代である。

チームの目指すレベルとともに選手も変わっていく。
ジュビロがJ2優勝、J1定着できるレベルに到達できるのか、
2025シーズンを楽しみたい。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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