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昔の氷は貴重だった〜金沢の氷室饅頭の歴史〜

氷室饅頭(ひむろまんじゅう)は、石川県に古くから伝わる伝統的な饅頭で、毎年7月1日の初夏に食べられる縁起菓子であります。この饅頭は、こし餡が入った丸型の酒饅頭で、皮の色は白、赤(桃色)、そして緑の三色から選べます。

その歴史は、江戸時代に遡ります。当時、加賀藩前田家は、毎年7月1日(旧暦では6月1日)に氷室の雪氷を幕府に献上していました。この儀式は、夏の暑さを乗り越えるために行われていたのです。

氷室は日本に古くから存在する冷凍保存施設で、特に製氷技術が無かった時代に重要な役割を果たしていました。冬季に降雪した際には、その雪を氷室と呼ばれる特別な小屋に貯め、夏季まで保存していました。これにより、夏季でも冷たい飲み物や食べ物を楽しむことができ、また食物の保存も可能になりました。

冬場に雪を集め、それを厚い藁などの断熱材で覆い、夏まで保存するという原理を利用しています。氷室内は湿度が高く保たれ、外部の熱が侵入するのを防ぎ、内部の冷気が逃げ出さないように工夫されています。その結果、内部の雪や氷は溶けずに冷たさを保つことができました。

加賀藩の5代目藩主、前田綱紀の時代になると、金沢の菓子屋、道願屋彦兵衛が新たなアイデアを思いつきました。彼は、この特別な日に饅頭を作り、その安全な旅路を祈り神社に供えることを提案したのです。そして、この出来事が氷室饅頭の起源とされています。

明治時代に入っても、この習慣は続きました。7月1日は「氷室開きの日」(氷室の日)とされ、人々は無病息災を願って饅頭を食べました。その古き良き伝統は現代でも続いており、今日でも多くの人々がこの特別な日に氷室饅頭を食べています。

氷室饅頭は、その色彩豊かな見た目と、古代から続く深い歴史を持つことから、日本の文化遺産として大切にされています。毎年7月1日の氷室の日には、ぜひ氷室饅頭を味わってみてください🟣

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