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エーラス・ダンロス症候群で過眠症を併発する患者が知っておくべきこと

関節型エーラス・ダンロス症候群の患者(特に過眠症や睡眠障害や自律神経失調症を併発する型の患者)が知っておくべきことを下記にまとめました。


◾️正しい知識が医療関係者に否定されます。

医療関係者はエーラス・ダンロス症候群に関する知識を持っていません。もしも仮に知識を持っていても大きな勘違いを受けている傾向にあります。
エーラス・ダンロス症候群の患者が診断を受けられるまでの期間の平均は英語圏で平均14年、28年以上もかかるケースも4人に1人あると発表されています。また、英語圏では約20%(5人に1人)の患者は診断を受けるまでに20名以上の医師の元を受診していると発表されています。情報が比較的豊富な英語圏でこの状況であるならば、日本ではさらに酷い状況であるということです。

当団体では
「あなたはエーラス・ダンロス症候群ではありません」
「本物はテレビに出ているような症例です」
「紹介状は作成しません」
「精神的な問題です」
などと言われて有名な大学病院の遺伝専門医さんに診断を否定されてきた患者さんでも別の専門医さんにエーラス・ダンロス症候群の診断を受けて難病指定や身体手帳を取得しています。

エーラス・ダンロス症候群が医療関係者に理解を得ていない件、エーラス・ダンロス症候群の患者が医療機関に間違えた知識を吹き込まれ、診断を否定され、診断に辿り着くまでに多くの時間を消費してしまう件に関して様々な文献での報告があります。
https://ehlersdanlosjapan.wixsite.com/info/denial

当団体でエーラス・ダンロス症候群のことを初めて知った患者様は「主治医に聞いてきます」という患者様が多くいらっしゃいますが、当団体の経験上、主治医に聞くことが意味をなすケースがあまりありません。

現在、エーラス・ダンロス症候群は患者さんが医療関係者に素人が容易に論破できるような間違えた知識を永遠と吹き込まれて診断が遅れてしまう疾患です。
エーラス・ダンロス症候群は医療関係者のいうことが当てにならないので(*一部ごく少数の専門医を除く)医療関係者のいうことを鵜呑みにするのではなく、患者さんご自身で正しい情報の見極めを行わなくてはいけないのです。

エーラス・ダンロス症候群は有名な大学病院に在籍する遺伝専門医やその他医療関係者に正しい知識が否定され、診断を否定されることは他の患者さん全員が同じです。
医療関係者に否定を受けたからと言って診断をあきらめないことをアドバイスさせていただいています。



◾️テレビやメディアで取り上げられるような極端な軟体症例だけではありません。

テレビはメディア映えをする極端な症例を取り上げる傾向にあります。
当団体でエーラス・ダンロス症候群の診断を受けている患者さんの中には体が硬いと思っていた患者さん、脚を左右に100度くらいしか開脚できない患者、前屈しても床に手が届かない患者さんもいます。

当団体に相談に来られる患者様には
「あなたはテレビに出ているような症例ではないので、エーラス・ダンロス症候群ではありません」
と医療機関に診断を否定されてくる患者様がいらっしゃいますが、
「テレビに出ているような症例のみがエーラス・ダンロス症候群である」
という基準はエーラス・ダンロス症候群のどこの診断基準にも記載されていないことを断言させていただきます。
https://ehlersdanlosjapan.wixsite.com/info/criteria

そして、このようにエーラス・ダンロス症候群の患者さんが医療関係者に間違えた知識を平気で主張して来られるという状況自体が医療関係者に理解を得ていないことの更なる証明となっているのです。



◾️Hypermobility Spectrum Disorder (HSD)を知ってください。

エーラス・ダンロス症候群の多種多様な症状が当てはまるのに、エーラス・ダンロス症候群の診断基準外になってしまう患者さんらが多くおります。
体は柔らかいけれども基準値外であったり、体の一部のみ柔らかかったり、昔は柔らかかったけれども歳を取ったら柔らかくなくなったりする患者さんで、且つ、自律神経失調症や慢性疲労や消化器症状などのエーラス・ダンロス症候群に併発する典型症状を呈されている患者さんグループです。
そういった症状の患者さんらを総称してHypermobility Spectrum Disorder (HSD)と呼ぶことがあります。

Hypermobility Spectrum Disorder (HSD)については下記のHPに説明されています。
https://www.ehlers-danlos.com/what-is-hsd/
Hypermobility Spectrum Disorder (HSD)には明確な診断基準はありません。
当団体の経験上、Hypermobility Spectrum Disorder (HSD)は「エーラス・ダンロス症候群のグレーゾーン」「エーラス・ダンロス症候群に症状は当てはまるのに診断基準未満になる症例」の患者さんが診断を受ける傾向があります。

専門家さんの中ではエーラス・ダンロス症候群とHSDを同じ疾患のスペクトラムの違いであると信じる人もおり、全く別の疾患であると信じる人もいます。
この件についてまだ結論がわかっていません。
(情報引用元:https://www.ehlers-danlos.com/what-is-hsd/

診断基準は人々が医療制度上、社会的に必要であるからという理由で恣意的に作り出した基準です。
エーラス・ダンロス症候群は今まで何度も診断基準の改訂がありました。そして、再度、近い将来に診断基準が変更になる発表があります。

世の中の多くの疾患には軽症例と重症例のスペクトラムが存在します。
例えば、新型コロナ感染症でも軽い風邪を引いたような症状の患者さんがいる一方で重症で死亡してしまう患者さんすらもいます。
研究が進んでいなく原因が判明していない疾患の場合、このような軽症例と重症例の症状が同一疾患であることは人々に認識されません。

エーラス・ダンロス症候群の一つの時代で定義されていた一つの基準に当てはまらなかったというだけで、偶然と思えないほど多くの症状が合致する患者さんの症状を「エーラス・ダンロス症候群ではないので、精神的な問題である」と否定しないようにお願いいたします。



◾️エーラス・ダンロス症候群の関節型/過可動域型は遺伝子検査が陰性です。

「遺伝子検査が陰性なので、あなたはエーラス・ダンロス症候群ではない」と医療機関に診断を否定されて来られる患者様がいらっしゃいます。
しかし、エーラス・ダンロス症候群の「関節型/過可動域型」は遺伝子が発見されておらず、遺伝子検査が陰性です。
エーラス・ダンロス症候群には複数の型があります。その中で最も人口が多いのは関節型/過可動域型です。関節型/過可動域型はエーラス・ダンロス症候群全ての型を総合した患者全体の90%よりも人口が多いと言われております。また、エーラス・ダンロス症候群の全ての型の中で睡眠障害や自律神経失調症関連の併発症状が記載されているのは関節型/過可動域型のみです。
従って、当団体が支援対象としている自律神経失調症や睡眠障害を併発するタイプのエーラス・ダンロス症候群の患者さんはほぼ100%が遺伝子検査が陰性です。
https://ehlersdanlosjapan.wixsite.com/info/genetic-tests

繰り返しになりますが、このようにエーラス・ダンロス症候群の患者さんが医療関係者に間違えた知識を平気で主張して来られるという状況自体がエーラス・ダンロス症候群が医療関係者に理解を得ていないことの更なる証明となっています。
有名な大学病院の遺伝専門医さんですらこのような間違えた知識を持っていらっしゃいます。エーラス・ダンロス症候群は「あの先生は偉くて有名だから」「大きな病院の先生がこういってるから」ということが全く当てにならない疾患です。
当団体では「エーラス・ダンロス症候群の情報に関しては医療関係者の言うことを鵜呑みにするのではなく、患者様ご自身で正しい情報を見極めることが必要なのです。」とお伝えしています。



◾️「精神的な問題」「気持ちの問題」「自律神経失調症」「不定愁訴」と呼ばれる多種多様な症状を併発します。

エーラス・ダンロス症候群は不登校/学校に行きたくない症候群、発達障害、起立性調節障害、POTS、睡眠障害(過眠症/不眠症)、感染症やワクチンの後遺症、慢性疲労症候群ME/CFS、過敏性腸症候群、不定愁訴、自律神経失調症の併発や関連が多くの文献で取り上げられています。
当団体の患者様には発達障害グレーゾーン、原因不明のめまい(貧血ではないのに貧血のようなめまい)、低血圧、多汗症、消化器症状、原因不明の37度台の微熱症状、感染症やワクチンの時間差(典型例は半年から1年)後遺症を呈する患者さんが多い印象です。
これらの症状は一般的な医療機関での検査結果に異常を示さないことが多く、エーラス・ダンロス症候群の症状は医療機関で「精神的な問題」「気持ちの問題」であると誤診を受け、医療機関に精神科の受診を促され、正しい診断までに何年もの時間を費やしてしまうことが典型的です。
そして、この件に関してもエーラス・ダンロス症候群に関連する多くの文献で取り上げられています。
https://ehlersdanlosjapan.wixsite.com/info/common-comorbidities
https://ehlersdanlosjapan.wixsite.com/info/comorbidity
https://ehlersdanlosjapan.wixsite.com/info/denial




◾️情報源は英語のみです。

エーラス・ダンロス症候群は日本語で情報を調べることが意味をなさないかもしれません。
現在、日本国内で体の伸展度が比較的軽度な患者さんの中でエーラス・ダンロス症候群の診断を受けている方は高学歴、帰国子女、海外在中者であることが典型的です。現在、日本国内ではこれらの属性の患者さんらが医療機関に英文の論文を持参し、間違えた知識を主張される医療関係者と論文知識バトルをしながら、多額の交通費をかけて複数の病院をはしごして診断を取得しています。
エーラス・ダンロス症候群と過眠症や睡眠障害に関する情報について、日本語の情報源が極端に少なく、また、医療関係者に尋ねても間違えた知識を伝えられる疾患です。
現在、エーラス・ダンロス症候は英文の論文が理解できる患者さんのみが正しい情報にアクセスできる状況なのです。
当団体がエーラス・ダンロス症候群のことを伝えた患者様の中に「調べてみます」という患者さんがいらっしゃいますが、日本語の文献はほぼ皆無であること、医療関係者に聞くことも意味をなさないこと、情報を知るためには英文で情報を検索する必要があることをお伝えさせていただきます。


◾️エーラス・ダンロス症候群は睡眠障害/過眠症を高頻度で併発します。


①世界一の過眠症(特発性過眠症)の2つの団体がエーラス・ダンロス症候群を除外診断リストとして公表していること。

②世界一のエーラス・ダンロス症候群の団体が眠気をエーラス・ダンロス症候群の症状としてリストしていること。

③エーラス・ダンロス症候群と過眠症に関する論文や発表がたくさん存在すること。

この3つ以上に議論をする必要はないと思います。

この件に関して、睡眠専門医様が「エーラス・ダンロス症候群に過眠症は併発しない」と主張されていることがあります。
しかし、これだけ多くの文献がある中で睡眠専門医様がそのようなことを主張している時点で医療関係者が正しい知識をお持ちでない/医療関係者の主張が当てにならないことに関する更なる証拠となっている状況です。



◾️逆流性食道炎(喉に何かがつっかえる感じ)と消化不良(タンパク質を食べると発疹が出る症状)に胃酸を抑える薬(H2ブロッカーなど)は逆効果の可能性。

当団体内部でエーラス・ダンロス症候群に併発する逆流性食道炎や消化不良の症状に胃酸を抑える薬(H2ブロッカーなど)を処方され、更に症状を悪化させている症例を多く拝見してきました。
エーラス・ダンロス症候群に併発する逆流性食道炎と消化不良の症状には胃酸を抑える薬(H2ブロッカーなど)ではなく、HCLベタイン+ペプシン(海外からの個人輸入が必要)やドネペジル(日本国内でも一般の医療機関で自費で処方が受けられる)などをおすすめしています。


繰り返しになりますが、エーラス・ダンロス症候群とHSDの症状は医療関係者にすら勘違いを受けている疾患であるため、正しい知識が医療関係者に徹底的に否定を受けます。
当団体ではエーラス・ダンロス症候群やHSDが疑われる患者さんらに医療関係者のいうことを鵜呑みにすることがないようにと呼びかけています。

当団体ではエーラス・ダンロス症候群の医療関係者に対する啓発活動、医療制度や患者の状況を改善するための活動を行っています。



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