みんなの個性があらわれる「化け地蔵」あるき #日光
この「日光街道 太陽のもとのてらこや」は、スタートして今年で13回目だった。
宮城出身のわたしにとっては、日光東照宮を初めて訪れたのは、社会人になってこの活動をはじめてから。以来、毎年、運営メンバーでごあいさつまわりや下見をしているので、13回×2回+α、ということで、日光には生涯30回を越えて訪れていることになる。
でも、この場所の存在は、はじめて知った。
前日に泊まったゲストハウスのオーナーさんから教えていただいたスポット、「化け地蔵」。
なんでも、100体くらいのお地蔵さんが川沿いにずらりと並んでいるという。そして、数を数えながら往復すると、行きと帰りで数が異なることがあるため、「化け地蔵」という呼ばれ方をしているそうだ。
※含満ヶ淵化け地蔵(かんまんがふちばけじぞう)
夜遅くにこの話を聴いて、一瞬「こわい場所は行かない方がいいな」と思ったものの、そのオーナーさん自身はこの場所へ行った時のできごと(何なのかは聞いていない)がきっかけで日光へゲストハウスをつくろう!という決断に至った、と聞いて、「じゃあみんなで行ってみよう!」ということにした。
午前中に二荒山神社をめぐってきたわたしたちは、たくさんのエネルギーを身にまとっている。何もこわいことなんかない、と思いながらも、結構な勢いで水が流れる田母沢川沿いを歩いているうちに、からだも冷えて、ちょっとだけ「大丈夫かな」と思えて来た。
ひとまず近隣にいくつかのペンションや喫茶店があることを確認し、人里離れた所ではないことに安心した上で、化け地蔵へと足を踏み入れる。
「声に出して数えるのはナシね」ということにして、一人ずつ、好きなように歩き進んだ。
もくもくと、ただひたすらに、歩いていく。
頭の中では「いち、に、さん、し、ご、、、」と数字を重ねていく。
お地蔵さんには、地元の方が手作りしたのだろう、赤いぼうしとちゃんちゃんこが着せられていた。それらを身に着けたお地蔵さんを数えていくことにし、一つひとつ顔を眺めながら、道を進んだ。
お地蔵さんのお顔は、一つひとつが異なる。
横を流れる川の音がBGMとなり、しだいに集中力が高まっていく。
ちょっと気をそらすと、すぐに数が分からなくなる。
歩みを進め、お地蔵さんの列が途切れたところで道を引き返す。
その先は山道が続いているのだが、本能的に、「ここで引き返そう」とからだが動いていた。
結果。
わたしともう一人は、同じ数で、行きも帰りも同じ。
別の二人は、桁が違った。100を越えていた。行きと帰りのお地蔵さんの数も違った。
そして、もう二人は、途中で数えるのをやめた、と言う。そんな選択肢があったのか。
結論。
化け地蔵は、お地蔵さんが化けて出てくることはなくて、じっと見守ってくださっている所。
そして、訪れる一人ひとりの個性があらわになる場所。
ぜひ、一人ではなく複数名で行くことをおすすめしたい。