マガジンのカバー画像

平凡な少女のありふれた死に方

28
【あらすじ】 ある日、主人公・西村景は部室で白坂奈衣が死んでいるのを発見した。 文芸部と演劇部が合併してできたという文演部では、『本作り』と呼ばれる特殊な作品作りが行われていた…
運営しているクリエイター

#ミステリー

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第1話

【あらすじ】  ある日、主人公・西村景は部室で白坂奈衣が死んでいるのを発見した。  文芸部…

紙野七
7か月前
17

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第4話

 断り切れずに文演部に入部することになった翌週、僕は白坂先輩に言われた通り放課後の部室に…

紙野七
6か月前
6

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第5話

 それからしばらくの間、学校は終始騒がしかった。  学校側から白坂先輩の死に関するアナウ…

紙野七
6か月前
5

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第6話

 文演部の活動は基本的に月水金の週三回になっていた。  主な活動は『本作り』だが、これは…

紙野七
6か月前
6

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第7話

「住野さんが病院に運ばれたらしい」  あの日以来、久しぶりに和希から来た連絡はそんな予想…

紙野七
6か月前
3

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第8話

 住野さんは文演部に入ってきた唯一の後輩だった。  毎年四月はどの部活も新入生を獲得する…

紙野七
6か月前
7

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第9話

 次の日、僕と和希は二人で住野さんが入院している病院へ向かった。  本人に連絡するわけにもいかず、病院の場所がわからなかったが、彼女のクラス担任に聞くと案外すんなりと教えてもらうことができた。自殺未遂であろう生徒相手に、学校の人間を簡単に引き合わせてしまうのはどうかと思うけれど、今はコンプライアンス意識の低さがありがたかった。 「わざわざ来てくれてありがとうね。詩織もきっと喜ぶと思うわ」  突然の来訪だったので面会ができないのではないかという懸念もあったが、住野さんの母は追い

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第10話

「……どうして僕なんかのことが好きなの?」  ついに悠乃が僕への想いを言葉にして告げてき…

紙野七
6か月前
6

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第11話

 住野さんのお見舞いへ行った次の日、僕と和希は部室棟で聞き込みを行うことにした。  やは…

紙野七
6か月前
3

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第12話

 住野さんは最初の一回目以降、恋愛を題材にしたシナリオを持ってくることはなかった。  結…

紙野七
6か月前
4

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第13話

「私が言うのはフェアじゃないってわかってるんです……」  高木さんはそう言って苦虫を嚙み…

紙野七
6か月前
3

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第14話

 果たして白坂先輩はどこまでのシナリオを考えていたのだろうか。  住野さんがああやって自…

紙野七
6か月前
4

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第15話

 僕は和希みたいなタイプが苦手だった。  人当たりがよく社交的な性格、初対面から下の名前…

紙野七
5か月前
7

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第16話

 友利先輩がいなくなったあと、ずっと彼に言われたことを考えていた。誰もいなくなった部室に居座る僕は、傍から見ればそれこそ亡霊と間違われてもおかしくない。きちんと喪に服す気持ちがある彼の方がよっぽど人間らしい。  何より、僕たちが白坂先輩の死を許容してしまったというのは言い得て妙だと思った。実際、僕が彼女の死体を見た瞬間に感じたのは、伏線が回収されたような納得感だった。僕ほどではないにせよ、他の三人も少なからず同じことを感じていたはずだ。  自分が死ぬシナリオを作ることで、彼女