EXTREMEのライブは自分の目で観るに限るという話
「ヌーノ・ベッテンコートってロックギタリストの完全体やんけ…!」と何度も思わされた。
華麗で端正な佇まいと、髪を振り乱しながらギターを奏でるワイルドさ。
恐ろしく正確なピッキングと、そこからは想像できない荒々しいギターサウンド。
相反するさまざまな要素が一人のギタリストの中に共存してる。
初めて観たヌーノのステージでのパフォーマンスはあまりに鮮烈だった。
Zepp Nambaで開催されたEXTREMEのライブに行ってきた。
正直、EXTREMEの曲は2~3曲くらいしか知らなかった。
「ファンキーでかっこいいな〜」と思いつつEXTREMEにイマイチはまらなかったのは、「ヌーノ好き」を公言している知り合いにいけすかない人が多かったから(『違いがわかる男なんだぜ〜俺は』的な)。
どうやら再結成らしく次いつ観れるのかわからないし、興味本位でヌーノのサウンドを一度生で聴いてみたいという思いが膨らみ開催日直前にチケットを入手。
パンパンの客席(やはり年齢層高め)は開演前のBGMで手拍子が上がるほど早くも大盛り上がり。
開演時刻が迫る頃には期待度がマックス状態に。暗転した瞬間の怒号のような歓声はちょっと経験したことがないくらいだった。
メンバーが登場し、ヌーノのギターのフィードバックから1曲目「It(‘s a Monster)」のイントロがスタート。
サビになるとお客さんがみんな歌う歌う!
そしてギターソロでは「待ってました」とばかりの大歓声。
とにかく客席のテンションが異常に高いままライブが進む(ヌーノがMCで「このツアーで一番すげぇよ!」と言っていたくらい)。
演出的にも、簡易のドラムセットをステージ前面に出してメンバーが横一列で演奏したり、ヌーノのアコギソロ〜ゲイリーとヌーノのデュオ形式で「More Than Words 」(これも信じられないくらいの大合唱が起こる)とバラエティに富んだ魅せ方で楽しませてくれた。
そんな中で気になったこと。
それはこのライブが「撮影OK」であったこと。
みなステージが録りたいから頭より上にスマホを構えた結果、後方の席では他人のスマホが視界に入ってステージが見えないこともしばしば。
それはまあ主催者がOKしてるからよしとして、何より気になるのは
「録っている人は、その瞬間ステージを一切観ていない」
ということ。
すぐそこにメンバーがいるのに、スマホの画面越しにライブを観ているということ。
「録りたい!」って瞬間的に思うということはそれだけその曲が好きなはず。その曲を観たくてしょうがなかったはず。
なのに一生懸命見つめているのはスマホのディスプレイ。
それだったらYouTubeとか配信みてるのと一緒じゃない?
友達に後日「あの曲のギターソロ生で観れたの!?うらやまし〜」と言われても、
「いや、そのギターソロの間はずっとスマホの画面見てたわ…」
てことになるんじゃない?
録画して「形に残す」ことは思い出として尊いことだとは思うけれど、『実際にそこにいて観たつもりになってたけど、よく考えたら観ていない』ってすごいもったいないことしてないんじゃないかなぁ。
そうこうしてるうちにライブは本篇とアンコールも無事終了。
これで終わりと思いきや、ヌーノの思い付き(?)で急遽PV撮影が行われることに。
「思いっきり手を挙げて盛り上がって!」というオーダーに全力で答える客席。
その盛り上がり方もメンバーが笑っちゃうくらいにすごかった!
客席のテンションは最高潮に達した状態でライブは終了。
帰路につくお客さん一人ひとりがとても良い顔をしていて、いかに良いライブだったかを物語っているようだった。
あらためて、少しでも「観てみたいな」と自分のアンテナに触れたものは多少いろんなことを無理してでも観といたほうがよいなと思った。
そしてその時は「スマホ越し」じゃなくて自分の目で。