新約聖書の読み方と、教会観と、神さま観と、アナキズムと、消防隊
たまたま横浜市消防局の野外演奏に出くわした。
すぐ近くで生演奏が聴けて感激‥しながら、モーソーを巡らせた。
オッさんたちは別として、目の前の女性隊員たち、自分より20〜30歳ぐらい年下だろうか、メチャクチャ凛々しくて可愛いのだ。
ガン見っていうんだろうか、してしまった。
そして気づいた。
女性の髪型が2種類しかない、おかっぱか、後ろで一つに結んでいるかだ。
‥号令がかかったら、夜中だろうがソレっと一刻を争って火を消しに出動するから、整えるのに手間のかかる髪は出来ないのかも知れない。
そして軍隊みたいな上下の制服と帽子だ。
演奏にしろ、消火活動にしろ、皆で力を合わせて一つの目標に邁進‥いいな、と一瞬思いかけたが、日頃私が一番嫌ってることじゃないか⁉︎
もちろんいざという時にはトップダウンだから。
そしてモーソーは続く。
いざという時にトップダウンで一致団結して動くためには、いざという時じゃなくてもトップダウンの練習してるんじゃないか、知らんけど。
若いモン、新入り、おんなは、業務上の命令系統とはまた別に、突っつき順の下の方に置かれてるんじゃないか、知らんけど。
ここでいきなり自分の若い頃の職場に、思いがとぶ。
あるとき職場で「鍋」をやった。
始まってふと見ると、そばに座った他職種年輩の男性職員が私を睨みつけて、何やら悪態をついているようだった。
家に帰ってから、あの男性職員の観念によると、しきたり上の決まりでは私が鍋奉行ならぬ鍋係をやらねばならないのに、私が手を出さなかったから男性が鍋係をやる羽目になって、それで怒っていたのだと理解した。
そんなん、知らんがな！ しきたりは自分の勢力範囲でやってろ！ 私は関係ない！
しかし私も年をとって、成長した。
そのようなしきたりが世の中にはあるらしいと、時々思い出すようになった。
‥重視してないので、忘れることも多いけど。
しきたりからすると私が何かするよう求められていると、以前よりは気づくようになった。
そしてどっちがお得か(金銭的にという意味でなく、心理的にとかいろいろ)によって、しきたりに従うか、ぶっちぎるかを決めるようになった。
昔のように気がつかなくて結果的にではなく、自分で選ぶようになった(自分比)のだ。
‥それでもしきたり通り行動するのを強いられるという、自分にとってあり得ない事態がたまには起こる。どうするか、そりゃ来年3月をもってオサラバするのだ。
消防局の音楽隊に話を戻して、市民の私としては、業務上でトップダウンだろうが、それ以外でトップダウンが付いて回ろうが、効率的に火を消してくれるのが良い。
そして消防に限らず、実務にはトップダウンが多少なりとも要るよなぁ、必要悪かもなぁって思う。
では、教会にトップダウンは必要か？
コンサートみたいな素晴らしいミサをやるなら必要かもなぁ。
観光名所みたいなご立派な聖堂を維持するなら必要かもなぁ。
しかし本来の目的とズレてると思う。
消防隊は自分たち以外の市民のために、火を消す。
だけど教会は自分たち以外のために、素晴らしいクリスマスのミサをしたり、観光に供するために素晴らしい聖堂を建てたりはしない。自分たちのために、自分たちでやる=まぁ言ってみれば集団で自慰行為をしてるようなものだ。外部のために何かを生産するという実務を、基本的にしてない訳だ。
だったら、そのためにトップダウン制を導入してるのは、おかしくないか？
で、教会におけるトップダウン制は新約聖書に遡る。
そういう意図で新約聖書は編集されたんだろうし、その後2000年もまんまと引っかかってる信者がいる訳だ。
つまりイエズスという神の御ひとりごが、弟子を任命して、権能を与えた。だから聖書に書かれた弟子たちの言動は皆正しいし、見習わなくちゃいけませんよって。更に弟子の後継者である牧者に従わなくちゃいけませんよって。
‥ついでに言うと、これはカトリックもプロテスタントも変わりない。むしろプロテスタントの方がはなはだしいと時に感じる。
ダラダラと長くなったので一番言いたい事を端折ると、神さまってどっか自分たちの外に居るんじゃなくて、誰のココロの中にもある良きもの、仏ゴコロの別名なんじゃないか？
「神の国の完成」を待ち望んでいたって来るものじゃなくて、自分たちが造っていくものじゃないか？
新約聖書に出てくる弟子たちって別に聖人君子ではなく、いつの時代のどこの人間とも同じように、神の国の完成に与ろうとはしたけど普通の人間だからドタバタと試行錯誤してそれぞれの弱さをさらけ出した、それが新約聖書に記録されてるのじゃないか？
ペトロ様だパウロ様だと祭り上げたって何の役にも立たないので、むしろ田川建三が模索しているように等身大の弟子たちの姿を求めて、見習うべき点は見習い、反面教師にすべき点はそうする必要があるのじゃないか？
新約聖書はそういう読み方が正しいと、今の私は思っている。